【感想】電柱鳥類学 スズメはどこに止まってる?

三上修 / 岩波科学ライブラリー
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
4
5
3
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0
  • 電気がある鳥の暮らし

    鳥にとっても電気(設備)は便利だったとは。視点が意外で面白い。

    投稿日:2021.07.10

ブクログレビュー

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  • cronista

    cronista

    ♪ぼ~くは三丁目の電柱です~♪ 雨の日、風の日、街角に立ち、通りを見てます、眺めています~♪

    夕焼け、お~そらは、いわし雲~♪

    電柱と言えばこの東電のCMソングが浮かぶ世代です。

     それはさておき、春から初夏にかけては鳥たちの子育てシーズン。ツバメは民家の軒下で、スズメは電柱の腕金や変圧器の中で営巣してヒナを育てる。ムクドリが民家の戸袋で子育てしているのに出くわしたこともあるし、シジュウカラが玄関ポストで子育てする様子を追ったテレビ番組もあった。都市で暮らす鳥たちは人間が作った構造物をちゃっかり利用する。

     電柱に巣をつくる代表格はザ・普通の鳥、スズメだ。(これ、著者が以前に書いたスズメの本で言っていたこと)

     スズメはその小さい体を最大限に活かし、他の鳥では入り込めない電柱の変圧器(ポリバケツみたいなあれ)の中や、それを支える腕金(電柱の横棒)の中に巣をつくる。

     カラスも電柱に巣をつくるらしいが、うちの近所じゃ見かけない。カラスは上から巣を見られるのを嫌うらしいから電柱より高い木があれば、そっちにつくる。自分もよくカラスの巣を見つけるけど、だいたい10メートルくらいある木の上だ。

     先日、ハシブトガラスが変圧器の下から容器を突っついていた。外からは見えないけれどスズメの巣があるのだろう。ちょっと離れた電線の上で親スズメがジュジュジュジュッと、警戒音を出して、ヒナにジッとしているようにと鳴いていた。

     翌日同じ場所を見上げてみたら、虫をくわえた親スズメが変圧器の下でうろちょろしていて、それを10メートルくらい離れた電線の上からハシブトガラスが見てた。スズメからしたら、巣があることを知られたくないという本能から変圧器の中に入らなかったのだろうけれど、残念ながらカラスは頭がいいのでもう場所は覚えてしまって、巣立つ瞬間に仕留めてやろうと狙っていたに違いない。自然は厳しいから、スズメはカラスがいないときに巣立つしかない。

     講演などで、著者は電線にとまる鳥は感電しないの?との質問をよく受けるらしいが、ほぼ心配ご無用とのこと。そもそも剥き出しの電線はなく電気を通さない素材で覆われているし、仮に剥き出しでも感電しないらしい。電流は抵抗が少ない方向へより流れやすいため、わざわざ抵抗が大きい鳥の体に向かっては流れないからだ。人間も片手でぶら下がってるぶんには感電しないらしい。(もう片方の手で何かをさわると電気が通ってしまうから感電する)

     変圧器や腕金の中で巣は暑くないの?という質問もよくあるとのこと。これは自分も疑問に感じていた。著者の実験によると、中は確かに外気よりは熱いが、3℃くらいしか上がらないらしい。巣を使うのは子育てシーズンは夏前の5月から6月だけで、真夏に金属の中で過ごすわけではないから、蒸し風呂のようなことにはならないようだ。逆に夜は冷えるから、金属でヒナの体が冷えてしまう心配のほうがあるという。
     なるほどね。

     著者はスズメの本をよく書いている方だから、スズメ愛に溢れた本かと思って読んだのだけれど、どうも電柱愛にも溢れている方のようだ。予想外に電柱に関する記述が多かった。電柱を見る目が変わった。
     結構その部分も面白かったので、電線好きタレントで有名な石山蓮華さんのインスタをチェックしてみた。見事なまでに電線の写真しかなかった。電線好きであって、電柱好きではないようだ。自分は鉄塔は好きだが、電柱や電線にはそんなに興味はない。鉄道好きな人も、いろんなところに‘’鉄分‘’を感じるから、電柱好きや電線好きにも、いろんなタイプがいるのかもしれない。
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    投稿日:2022.04.26

  • hkobayashi

    hkobayashi

    電柱鳥類学という見慣れない学問(笑)の本です。鳥の話かと思いきや、初めは電線の話しが続きます。でもこれ結構面白い。
    そして考えてみれば、電柱・電線はできてから 150 年くらいだし、ひょっとしたらもう少しすると無くなってしまうかもしれない。電線に鳥が止まる様子を見られるのも今だけなのかも知れません。なるほど〜
    ちなみに私も電線かなり好きです。
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    投稿日:2022.04.07

  • tagutti

    tagutti

    <目次>
    第1章  電柱と電線の基礎知識
    第2章  鳥、電線に止まる
    第3章  感電しない鳥たち
    第4章  鳥、電線に巣を作る
    第5章  電力会社、鳥と戦う
    エピローグ  電柱鳥類学の将来

    <内容>
    なるほど、こんなことも学問になるし、電力会社や鳥たち(おそらく)にも感謝されるだろう。でも誰もやっていないので、データがない。著者は、学生たちを使いながら、できる調査を集めて、電柱の原理・原則も踏まえて、いろいろとアドバイスがはいる。天下の岩波なので、そんなに変な話ではないし、こんなことも研究になるんだということを、子どもたちに教えたい。
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    投稿日:2022.03.03

  • よむ子

    よむ子

    ちょっと物足りなさは感じるけれど、非常に面白い本でした!
    自分が電柱好きかもしれないって事が発覚。
    鳥が好きだから読んだはずなのに、なぜか電柱の方にドキドキしてしまった…。

    投稿日:2021.12.25

  • AUsako

    AUsako

    電柱にとまる鳥たちの研究。
    普段何気なく見ている景色だが、言われてみれば百数十年前には存在しなかった景色で、百年後にはなくなっているかもしれない景色なんだな、とそこから感心した。
    最初の方の電柱そのものの解説がかなり細かく感じられて、鳥の話まだか??と焦れったかった。あとの話で用語が出て来たときに理解しやすかったので筆者の優しさではあると思う。
    あとがきで書かれているように、いずれ博物館や歴史館で「いまはなき電柱と鳥の関係」といった展示がされていると想像するとワクワクする。
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    投稿日:2021.11.03

  • musamika

    musamika

    こんなに電柱・電線のことを知れたのは初めて

    電柱に種類があるなんて知らなかったし

    変圧器や碍子の役目もわかった

    この基礎知識は思わぬ収穫でした

    鳥にとってもまだ新しい文化ともいえる電柱

    その割には あらゆる部分を

    自分の都合のいい様に使い

    使われない様に工夫する電力会社

    知恵の戦いが面白い
    続きを読む

    投稿日:2021.10.25

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