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ペニー・ジョエルソン, 河井直子 / 角川書店単行本 (9件のレビュー)
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総合評価:
パドラッパ
原題が良いダブルミーニングになっています
重度脳性まひでコミュニケーションが取れないけれど、人や周りをよく見て物事をよく考えている好奇心旺盛な少女が主人公。彼女は近所で起こった凶悪事件の核心をひょんなことから知ってしまい、また、その彼女自身の…安全が脅かされているのだが、彼女はそれを表現できない! 深く爽やかなミステリィに感動しました。続きを読む
投稿日:2021.11.09
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1/35少年
脳性麻痺で体が殆ど動かせない少女が殺人犯を知ってしまう。発信出来ない障害を乗り越え、犯人を伝えるまでのサスペンス風物語。 少中学生くらいがターゲットなのかな。文章はかなり易しく、さくさくと物語が進み…ます。 ハッピーエンドで終わりますが、自閉症やかんしゃく持ちの子供のエピソード等ちょっとしんどいシーンもあります。大人が読んでも学ぶことできる良書だと思います。読書感想文にぴったり。 最終的に主人公は鼻呼吸で意思を伝える手段を獲ます。 この本を読んだ後には、実際に閉じ込め症候群に陥った患者がまばたきのみで書き上げた『潜水服は蝶の夢を見る』もおすすめです。続きを読む
投稿日:2021.11.13
読生
常に受け身でいるしかないってつらいな。 何の発信もできない。 ヘレン・ケラーのように受信が全くできない状態もつらいけど、受信はしっかりできているのに発信不可能というのもとんでもなくストレスが溜まるしつ…らいだろうな。 体の不調も、誰かに気づいてもらわないと自分では何もできない。痒みとか地獄だろうな…。 相手の理解が間違っていても訂正できないしね…。 常識が壊れる。 でも彼女にとってはそれが常識。 それこそが最大のギャップなのかもしれない。 小説を読んでもらうの好きみたいです。 想像の翼は自由に広がる。 彼女は知っている。発信が自由にできる世界を。 だから、常識が壊れない。 相手の気持ちも想像できる。 知ってるって大事、知識って大事。想像力って大事。 でもそれは発信できる世界が相手だからなのですよね。 彼女は発信ができないから、その気持ちを想像するのは本当に難しいのだろうな。続きを読む
投稿日:2021.01.31
yo-5h1n
このレビューはネタバレを含みます
わたし=ジェマは十四歳。重度の脳性まひで、二歳からロレイン夫妻の家に里子として迎えられて暮らしている。 家族は他に、六歳のフィンと九歳のオリビア、住み込みの介護ヘルパーのサラ。 身体を動かすことも話すこともできず、生活の全てを介助に頼っているけれど、目も見えるし音も聞こえている。頭の中も心の中も普通のティーンエイジャーと変わらない。 わたしが誰にも話せないとわかっているからか、ときどき人に言えない秘密を打ち明ける人がいる。 でも、まさか、殺人を打ち明けられるなんて。 なのに、それを誰にも伝えられない… 書評で見て手に取った本。 スリリングなストーリーの中に、障害のある子供たちの生活の様子を自然に織り込んで、とても興味深く読ませてもらった。 四肢麻痺のリンカーン・ライムの上(?)をいく、脳性麻痺のジェマが、障害に苦しみ悩みながらも、学びたい、伝えたいという意欲を失わないのが素晴らしい。 ジェマの双子の姉妹・ジョディが、実際にジェマに会った時、動揺のあまり逃げ出してしまったエピソードも、リアリティを与えている。 これまでたくさんの物語に心の栄養をもらってきたのと同様、この本では、いってみれば“出来ない事だらけ”のジェマが勇気や希望を教えてくれる。 魔法や異世界やスーパーヒーローを楽しむように、ハラハラドキドキしながら、自然に障害者への理解が進むといいな、と思う。 それにしても、あえて障害のある子供を受け入れる里親制度、介護ヘルパーが家族のように暮らしていることなど、日本ではまだまだ考えられないことばかり。 障害のある人も、たまたまそうではない人も、普通に一緒に暮らせる社会って、こんな形の先にあるのかなぁ…
投稿日:2020.09.28
図書館あきよしうた
里親と暮らす14歳のジェマは、重度の脳性麻痺で、体を動かすことも話すこともできないため、自分の思いを伝える術を持たないまま成長したが、周りの人からは一方的な聞き手として秘密を打ち明けられることも多かっ…た。ジェマは、彼女の介護ヘルパーサラの恋人ダンから、彼自身が、近所に住む青年ライアンの殺人事件の、未だ見つからない犯人であるとほのめかされるが、それを他の人達に伝えられすもどかしく思っていた。外見は好青年であるダンの正体をサラに伝える方法を模索しているとき、ママとサラの関係がぎくしゃくすることが増え、サラは突然行方不明となる。 コミュニケーションの手段を持たないために、意思表示ができなかった少女が、それを獲得し、自己表現する喜びを知り、周囲を動かしていくサスペンス仕立ての物語。 *******ここからはネタバレ******* しっかりとインプットし、考える力もあるのに、アウトプットする方法のない無力感が、サスペンスであるために増幅されて感じる。 自己表現できないことで、周囲から無力な存在と扱われがちな様子も描かれ、胸が痛むが、家族を含め、周囲の協力者が、愛情深く忍耐強く彼女や、他の里子と接しているのがとても救いになっている。 ジェマの双子の姉ジョディは、まだ同じ14歳なのに、一人でジェマと会いに来たことに驚く。養親がいるのなら、せめてドアの外まででも付き添わなかったのか?それとも英国はそういう国なのか????? 幼い頃に生き別れた肉親と合う、しかもその相手が、自らコミュニケーションが取れない状態とあれば、並大抵の勇気ではないと思うのだが。 ジェマが話す術を手に入れたことに安心するとともに、多くの人たちが自分の言葉を伝える方法を得て欲しいと思える話。 199頁から200頁の初め。 パパとケイトは遺体確認のために出かけている筈なのに、いきなりケイトが「ママやパパといっしょにキッチンテーブルを囲みながら」話をし始めるのに違和感。「帰宅後」くらいつけておかないと、場面転換がわからないのではないか? 内容は平易だけれど、殺人や誘拐・拉致などの犯罪を扱っているので、高学年以上にオススメします。続きを読む
投稿日:2020.03.10
nijntje1192
伝えたいことが溢れているのに、何一つ伝えられないもどかしさ。両親とサラの存在がなければ絶望していたかもしれない。オリビアやフィンの行動もリアルで良い。
投稿日:2019.12.14
羊さん
重度の脳性麻痺で話すことも身の回りのことすらもできないジェマ、14歳。里親の元で同じく里子のフィン(自閉症)とオリビアと暮らしている。介護ヘルパーのサラは一緒に暮らしながら介護してくれている。何も話せ…ない、何もできないジェマだが、読むことも考えることも状況の理解もちゃんとできる。サラも里親である両親も理解している。ただ、サラのボーイフレンドのダンは、ジェマは何もわかっていないと思っている。そして、他の人の前では優しい顔を見せているが、ジェマと二人きりの時はジェマを馬鹿にし本当の顔をのぞかせている。ジェマが誰にもそれを伝えられないことをわかっているから。 そんなジェマの近所で殺人事件が起こる。そして大好きなサラが行方不明になる。ジェマは、その犯人がダンであることに気づきどうにか皆に知らせたいと思うのだが…。 ほとんど動けないジェマが息を吸う事でパソコンを操り会話ができるようになる。実際に今、そういった装置が開発されているという。ちょうど、この本を読んでいるころに参院選で舩後靖彦氏が当選し、眼で指し示すことで会話をすることが大きく取り上げられていた。 そういった技術開発もすごいけれど、様々な障害を持つ子どもを積極的に里子として受け入れる英国の制度に関心した。 日本はまあまだだなあ、と思ってしまう。続きを読む
投稿日:2019.07.24
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