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R・D・ウィングフィールド, 芹澤恵 / 東京創元社 (27件のレビュー)
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総合評価:
ABAKAHEMP
これまでとは少し趣が違うシリーズ最終作
いつもは下品でワーカーホリックの上司フロストの部下となる新人の視点から、読者は架空の町デントンを旅することになるのだが、今回はフロストの視点になっている。 これは、署長らによるフロスト追放の画策がサ…ブテーマとなっているため、彼は住み慣れたわが家を追い出される瀬戸際まで追い詰められ、たびたび亡くなった妻への思いに引き戻されるという展開上のことなのだろう。 もうひとつ意外だったのは、いつもは読者もへとへとにさせるほど徹夜が続くのに、今回のフロストは割と休息時間が多く、短時間ながらも寝ているのだが、へまは相変らず。 芹沢恵さんの訳は、シリーズを通して評価が高く、今作でも微妙な言い回しを含めた冗談の掛け合いを日本の読者にもニュアンスが伝わるように上手に訳されているのだが、フロストの携帯が鳴るのを常に"さえずる"と訳されたのには違和感を感じた。 あのフロスト警部が着信音を小鳥のさえずりのような穏やかなメロディに変えているわけではないだろうにと思って原文を当たると、ただ"when his mobile rang"を"携帯電話がさえずりだした"と訳していた。 考えに考えての訳かもしれないが、イメージとかけ離れた不釣り合いな印象。続きを読む
投稿日:2017.08.28
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xan8823
このレビューはネタバレを含みます
また、いや~なヤツきました。 その名もジョン・スキナー主任警部 マレットよりも堂々と、他人の功績を自分の手柄にかえる男。そうやってのし上がった男。一緒に働く人々から嫌われている男。 全く、そんな輩を喜んで連れてくるマレットという男も、小さい男だよ。 マレットだけでもうざいのに、もう一人増えてうざさ爆発。 そういう輩からは嫌われてしまうフロスト。 でも、一緒に働く仲間は、色々振り回されるし、下品な冗談も聞かされるけど、なんだかんだで、信頼してんだよね。そんな彼をね。人望あるよね。街の住人からもね。 うざい上司の二人が画策するのは、フロストを移動させること。 着々と進めています。 でも、本当にいいの? 今までも、なんだかんだ、フロストが事件解決の鍵をつかんできてるじゃない?いなくなったら事件解決しなくなるよ?>マレット 今回もまた、少女が行方不明です。 そして、小児性愛者グループが教会を拠点に活動してござる。こちらはFBIが捜査してて、お手伝い的に捕まえましたけど、その中には、行方不明になった少女の父親が混ざっています・・・ そして、行方不明の少女とそのボーイフレンドが死体となって発見された・・・ 父親の涙は 素直に受け止めてよいのか? 悲しい結末を迎えてしまった横領事件もありました。 横暴なスーパーの社長に対して脅迫事件も起きています。こちらは犯人取り逃がしっぱなしです。 無謀に一人で犯人逮捕に向かったモーガンは殴られて病院送りになったり。 あぁ、今回も、モーガン刑事が色々やらかしてます。 学習しない男。それがモーガン。 フロストは尻ぬぐいを相変わらずしてくれて・・・ 良い上司じゃないか! そういえば、ドライスデールの代わりに新しい検屍官が。フロストといい関係になるんでしょうか?せっかくの約束忘れててそのままになってるけど、挽回できるのか? だけど、ドライスデール先生は、やめたわけじゃあなかったw そういえば、切断された足がちらほら見つかっているけれど、そっちはまだ、なーんも進展がないですね・・・ スキナーに嫌がらせされている、新人婦人警官ケイト。 彼女が頑張ってんのに頑張らいでか!とフロストが奮闘しようと心に誓ったところで下巻に続く。 まったくもぅ、先が気になって仕方なし。 でもね。 これ読み終わるとね。 フロストシリーズ終わりなの。 短編見つけてきたから、もうちょっとだけは読めるけど。 先は気になるけど終わるのも嫌。 葛藤w
投稿日:2023.04.21
瑠璃色
毎度ごまかしていた車両維持費の請求書の改竄がとうとうバレてしまい左遷の危険に陥るフロスト警部。まいどのことながら少年少女が誘拐されている。 今回の相棒は前巻に引き続きお芋くん。最終巻とあってちょっとし…んみりしている。続きを読む
投稿日:2022.07.23
highriver
今回も最高に面白かったフロスト警部だが、これが遺作でシリーズが終わるのがとても残念です。 訳者の芹澤恵さんのインタヴュー記事で「この訳で本当に合ってるのかな?」と思うとありましたが、気持ちがよく分かり…ます(笑)。続きを読む
投稿日:2022.04.10
tsuchinoko2021
『A Killing Frost』…日本版では『フロスト始末』(上下巻 創元推理文庫)を読了。 フロスト警部シリーズの6作目であり、R..Dウィングフィールドの遺作である。 今更ですが、イギリスの警察…小説の金字塔であり、自分にとっても最高峰と言っていいぐらいの海外ミステリです。 前作『冬のフロスト』が2014年に上梓されたとき、遺作の『A Killing Frost』の翻訳は2020年以降になるという下馬評でしたが、うれしいことに3年後の2017年、待ちに待った翻訳です。 嬉しかったですね。 一行一行を舐めるように、慈しむようにページをめくりました。 遺作となった今作はシリーズの中でも最高傑作だと思いますね。 このシリーズをもう読むことができないと思うと、思いっきり寂しくもありますが、私の心の中にはフロスト警部がずっと生き続けていく気がします。 猥雑で下品、それでいて優しくて、どこか哀愁が漂うおっさん。 そしてめちゃくちゃ忙しく、眠ることさえ許されない仕事師。 こんな魅力的なキャラは二度と現れないと思います。 さらば、フロスト警部!!続きを読む
投稿日:2021.01.26
koba-book2011
「フロスト始末」(上・下)R.D.ウィングフィールド。芹澤恵訳。創元推理文庫。原著は2008年英国で発表されたようです。 2019年1月に読み終えているようです。 フロスト・シリーズ最終作。作者のウ…ィングフィールドさんが2007年に死去。遺作です。でも未完ではありません。 死病の床で完成されていたそうです。拍手。パチパチ。 病床で弱りながらとりあえず最後まで書いた、とか。 ほぼ未完だったけど編集者が手を入れてなんとか完成させた、とか。 そういう感じは読んだところまったくしません。堂々たる傑作。 まあ、ほんとのところどうなのかは分かりませんが。 # 相変わらず、混沌とスピード感と緻密さのエレクトリカル・パレード。 一方で、スタイルや美学にこだわらない泥臭い、下品で人間くさい、猛烈な圧力の、ヘヴィメタル・エンターテイメント。 このシリーズを語るときに、矢張りヰの一番には主人公の中年(初老?)警部であるフロストの、 連続シリーズの主人公としては相当に冒険的な下品さ、卑猥さ、が注目されることになります。 それに、ダーティ・ヒーローなんてものぢゃないんです。単にダーティ。 普通に警察なり会社なり、速攻でクビになっておかしくないような不正を、フロストは犯しちゃいます。 それも、「そう見えて、実はそうぢゃなかった」という構造ではなくて、ほんっとに悪いことしてます。 さあ、だけど応援しちゃいます。 これは一寸、興味深い疑問なんですが、「フロスト・シリーズに10代や20代の若者たちは熱狂するのか?」。 上記の味わいも含めて食べ物で言えば、確実に雲丹とか生牡蠣とか鮒寿司とか豆腐餻とかブルーチーズとか山羊とかモツとか、そういう類いのものです。 臭い。苦い。けれど、癖になる旨さ。 他に例えれば。煙草だって、15や16で始めて口にしたときから「旨い」と思う人はほぼいないでしょう。 不健康で不健全で違法で悪徳な香りに憧れて始めて、続けて、ハッと47歳になったときには、「ああ、煙草がうまい」と心底から震えたりします。 フロストも(煙草と比べるのが妥当かどうかは兎も角)我ながら、若い頃に読んでも「面白い」とは思ったでしょうが、心底震えたりはしなかったのでは。 # ですが、そういう持ち味は、さておいて。 そういう持ち味議論に隠れて、実は舌を巻くのはエンターテイメントとしての執念。 謎解き、ミステリ、ドンデン返し。それが1本の筋として流れるのだけど、並行して別の事件が起こり、クロスして3つ目の事件まで起こる。 さらにパラレルで署内で行われる胃腸がげんなりするような権力争いと出世競争、そこにカンウンターを入れるギャグと皮肉精神。 更に主人公に訪れる、破滅の危機・・・。 そして、崖に爪を立てて血を流してでも、とにかく「安易な性善説」と「お涙オセンチ感動路線の決着」だけは避ける。 その慄然とするまでのエンタメ精神・・・。 もう、これは本当に凄いンです。 ここまでの執着と執念で小説を書ける人は、なかなか居ません。 かろうじて横山秀夫さんなんかが近いかも知れませんが、横山さんは究極やっぱり短編アーティストで、ウィングフィールドさんの胸板の厚いパワープレイの迫力はありません。 ウィングフィールドの、この弩弓の迫力の前では、伊坂幸太郎さんも小さく感じます。プレミアリーグとJリーグの差・・・。 海外でも、スティーブン・キングさんやエルロイもすごいンですけど、やっぱりお国柄、文化なのか、どこかザックリ感とスプラッタ感があります。 (デニス・ルヘインさんが、比べ得る存在かも知れません) これは、ウイングフィールドさんが、前職が放送作家だった、と言う事とも関係があるかも知れません。 なんというか、「とにかくスピード感!」みたいなブレなき精神。 そして、「冬のフロスト」もそうだったはずなんですが、この「フロスト始末」も、 ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに、文庫本で言えばラスト1頁のところで、鮮やかにひっくり返される。 もう、この技術。この執念。 涙、なみだ、のスタンディングオーベーションです。 創元推理文庫ですし、ミステリ小説、犯罪小説、警察小説なんですけれど、 こういう技術こそが、小説がアートである、ということなんだと思います。 2020年、あるいは2021年あたりに、シリーズ全部再読しようと目論んでいます。 (こういうとき、電子書籍は圧倒的に強いんですよね・・・場所を取らないし、汚れたり傷んだりしないから)続きを読む
投稿日:2019.12.05
へ〜た
R・D・ウィングフィールドの遺作にして、「フロスト」シリーズ最終作。原著は 2005年、翻訳は 2017年の出版。いつものように夜を徹っして読みふけり、とうとうこの最高に面白いジェットコースター警察小…説シリーズも全巻読み終わってしまった…。 と思ったら、著者の遺族の許可を得て別人による続編が書かれているらしいので、それでも読んでみるか。続きを読む
投稿日:2019.09.07
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