【感想】赤ヘル1975

重松清 / 講談社文庫
(48件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
22
11
10
1
0
  • 2016年9月優勝!この時期だからこそ、ファンでない私でも感動できる。

    広島東洋カープの快進撃がTYや新聞紙を賑わせています。
    広島ファンでない私もついつい「がんばれ広島!」と心の中で応援していますが、
    なんで応援しているんだろう?と自分でも気付いていません。
    その疑問を解決したくて読んでみました!

    『赤ヘル1975』とタイトルにありますが、野球やカープ優勝の事はメインではありません。
    1975年東京から広島に引っ越したマナブと地元少年たちの友情や恋心、
    原爆が落とされマイナスからの出発、家族を亡くし後遺症で苦しむ人たちが
    カープを応援することで元気を取り戻す。
    広島の人々が負っているものとカープの活躍が丁寧に書かれ、
    カープと広島の街は一緒に育ってきた“親子”のような絆で繋がれていると感じました。

    2016年9月優勝!この時期だからこそ、ファンでない私でも感動できます。
    来年この本を読んでも同じ感動は絶対ないでしょう。
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    投稿日:2016.09.01

  • 25年ぶりの優勝ありがとう

    カープが25年ぶりの悲願を叶えてくれた時に、心から「ありがとう」と思いました。

    今だからこそ「昔のカープ」を読みたくて手に取りました。

    なぜカープが広島の人々に愛されるのか?を今さらながら、考えさせられた気がします。
    敗戦からの復興のなか、原爆による後遺症や差別のなか、もがき苦しんでいる人々のなかで唯一の希望とも言えるカープ

    そのカープが弱いから、応援する。
    弱いカープを応援することで、弱い自分を応援するかのように。

    そしてその応援し続けたカープが遂に初優勝出来たときに、「おめでとう」の声援と「ありがとう」の声援が続きます。

    それは今年25年ぶりの優勝で「ありがとう」と言える自分の気持ちにシンクロして来ます。

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    投稿日:2016.09.11

  • 「広島カープ」それは、広島市民の、祈りにも似た大きな夢!

    単純に、1975年に広島カープというプロ野球チームが初めて優勝した話だと思っていたけど、そんな生易しい内容ではなかった。

    戦争が終わって17年後に生まれた、ヤスとマナブとユキオという3人の中学1年生を中心に、カープ優勝までの軌跡と、原爆投下から30年たった今でも、街中に、また、身近な人達に刻まれた生々しい原子力爆弾の記憶というか、傷痕が描写されていて、前半は本当に息苦しささえ感じました。

    後半、カープの優勝パレードに集まった人達が「優勝おめでとう」と声援と拍手を贈るなか、亡くなった家族の遺影を掲げて「ありがとう」「優勝してくれて、ありがとう」と、選手達に手をあわせて拝んでいる人が大勢いた。というクダリでは、広島が抱えている重みをヒシヒシと感じて、泣けてしまった。

    いつか、物見遊山ではなく、心して、原爆ドームや資料館に行ってみたいと思います。
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    投稿日:2017.03.04

ブクログレビュー

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  • じゅう

    じゅう

    重松清の長篇作品『赤ヘル1975』を読みました。
    重松清の作品は、9年前に読んだ『最後の言葉 戦場に遺された二十四万字の届かなかった手紙』以来なので、久し振りですね。

    -----story-------------
    一九七五年――昭和五十年。
    広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。
    やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。
    カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。
    まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
    -----------------------

    講談社発行の月刊小説誌『小説現代』で2011年(平成23年)8月号から2013年(平成25年)7月号まで連載され、大幅に加筆修正したうえで2013年(平成25年)刊行された作品です。

     ■プロローグ
     ■第一章
     ■第二章
     ■第三章
     ■第四章
     ■第五章
     ■第六章
     ■第七章
     ■第八章
     ■第九章
     ■第十章
     ■第十一章
     ■第十二章
     ■第十三章
     ■第十四章
     ■エピローグ
     ■文庫版のためのあとがき


    1975年(昭和50年)、広島市への原爆投下による大空襲被害から30年が経過したこの年、東京から中学1年生の少年・マナブが広島市に引っ越してきた…… この年、広島東洋カープはいわゆる「赤ヘル」と呼ばれるユニフォームにイメージチェンジを図るが、開幕10試合の段階では4勝6敗とわずかに負け越しており、悲願の優勝への軌跡が始まろうとはだれもが気づかなかったときだった、、、

    この頃から、「よそモン」マナブは、広島でやんちゃな野球少年のヤスと、新聞記者を目指したユキオ達とふれあい、街に少しずつ馴染んでいく…… そして広島の街は、カープ初優勝フィーバーが巻き起ころうとしていた…… 。

    私が9歳だった1975年(昭和50年)の広島の街とカープの初優勝を描いた作品です…… 私はこの年をリアルタイムで体験したので、小説の中に登場する場所や人物、出来事に親しみや懐かしさを感じましたね、、、

    主人公である東京から転校してきたマナブという少年が、野球少年のヤスや新聞記者志望のユキオと友達になり、広島の歴史や文化に触れながら成長していく物語…… 彼らの友情や家族の絆、恋愛や夢など、青春の喜びや悩みがリアルに描かれていました。

    本作のもうひとつの主役は、赤ヘルと呼ばれるユニフォームに変わった広島カープ…… カープは開幕から低迷していましたが、徐々に勢いをつけて快進撃を続けます、、、

    物語の中でカープの試合結果や選手たちの活躍が詳細に書かれており、当時の熱狂的なファンの声や雰囲気も伝わってきましたねー 広島とカープに対する愛着や誇りを再確認できたし、戦争や原爆の影響を受けた広島の人々の苦悩や希望も感じられましたね… 自分自身を振り返るという意味でも価値のある一冊でした。
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    投稿日:2023.11.13

  • 43street

    43street

    文庫本で600ページを超える大作?
    ん~、半分は広島カープの初優勝の話なので、そこを外せば半分で済む物語。
    戦後30年の高度成長期末期の頃、まだまだ生活するのに精いっぱいの人たちがたくさん居た頃の話なので、そこのところは懐かしく読ませて頂いた。
    重松清の本は久しぶりだったけど、これはあまり人には勧めないだろうなぁ。
    という事で星二つ。
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    投稿日:2023.09.12

  • きゃっちゃーT

    きゃっちゃーT

    1975年。終戦からまだ30年しか経っていない広島へ転校してきた中学生のマナブと広島育ちの同級生ヤス、ユキオ、そしてクラスメートの真理子との交流の話。タイトルからは赤ヘル軍団カープの初優勝への軌跡がメインテーマのような印象を受けるが、実際はそうではない。赤ヘルの快進撃はむしろBGMで、中学生同士のぎこちない友情と、原爆被害の悲惨さあるいは戦争の記憶を継承していくことの難しさとが交互に物語の主旋律をなしており、特に後者は相応に重いテーマとなっている。

    赤ヘル初優勝のストーリーを主に期待して本書を手に取る人は、やや期待を裏切られるかもしれない。ただ、荒くれものが多かった当時の野球界のエピソードは現代の常識からの想像を超えていて、そこだけピックアップしても興味深く面白い。その意味では、単に野球好きというだけで本書を読むのも決して悪くはなく、もしカープ好きならば球団のルーツとバックグラウンドを理解する上で間違いなく一読に価する。

    いくつも絡み合うテーマをよく深堀りして描き切ったなと思わされる一冊。
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    投稿日:2023.07.30

  • びん

    びん

    カープが初優勝をしたのは広島県人になって2年目のことで、優勝の瞬間は歯医者の診察台の上にいた。 「もうすぐ優勝が決まるよ!」という奥からの声に先生は治療器具を手にしたまま診察室から出ていったきり帰ってこず、1時間ほど天井と医療ライトを眺めていた思い出がある。 当時の広島県人の思いが詰まったユーモアとペーソスに溢れた作品だった。個人的な思い入れもあり、また何年かしたら読み返したい。(o^^o)v続きを読む

    投稿日:2023.04.29

  • あさ

    あさ

    「きよしこ」というドラマを見て、原作が重松清。自伝的な話で、大人になってからの主人公がいい感じだったので、この人の本を読んでみようと探してみたら…
    私がカープを好きになった年1975年、そのままのタイトルの『赤ヘル1975』という本を見つけ図書館で借りました。

    転々と転校を繰り返す中1の主人公が、広島に来て過ごす間の、街と人とカープとの関係が、色んな角度から描かれています。

    親しくなる2人の友人と、1人の女の子の関係を中1らしく描いた青春もの
    そしてその友人や近所の人たちの、原爆や戦争との深い関わりを知り、夏の広島を感じる。---特に、原爆を記録に残そうと絵を描こうとしても描けないおじいさんの話とその絵の描き方が真に迫る感じで感動しました。

    それと並行して描かれるカープの活躍。
    今まで下位球団だった市民球団の初優勝の年の流れを細かく再現されています。

    今まで色んなこの著者の書評を読んできたけど、なんとなく読まなかったのは、子供の話でもなんか泣けるとか書いている書評を読んだからなのですが、やはりこれも泣かされます…少年の友情に。

    カープの活躍、衣笠祥雄の活躍や山本浩二がホームランを打つ挿話、そしてファンの乱入などその年の様子が詳しく描かれています。
    私がもっと好きになっていくのはこのあと高橋慶彦や達川や川口、津田などの時代。
    この話では最後に北別府学が新人として出てきます。ここからがカープの強い時代の始まり!
    続きを読む

    投稿日:2022.08.28

  • hibu

    hibu

    1975年の広島を舞台に描かれる少年たちの友情の物語。広島カープが優勝に突き進み、街や住人の熱狂とともにじんわりと心が暖かくなる物語です。オススメ!

    投稿日:2021.12.12

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