【感想】造物主の掟

ジェイムズ・P・ホーガン, 小隅黎 / 東京創元社
(23件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
11
5
4
0
1
  • 宇宙最高のペテン師

    主人公のザンベンドルフ氏は自称心霊術師。
    彼の人を食ったような態度や胡散臭さにとてもイライラさせられます。

    そんな彼が、タイタンで発見された機械生命の文明で繰り広げる一大ペテン。
    読者もいつの間にか彼と彼のチームを応援してしまう。
    彼は最高のペテン師だ!

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    投稿日:2016.09.26

  • ハードSF的異世界ファンタジー?

    とてもユニークな設定のハードSFです。
    科学者VS詐欺師の流れで進むのか、と思わせておいて…

    異星の独自に進化を遂げたロボット文明…
    しかも中世暗黒時代のヨーロッパを思わせる文化を持っているという…

    彼ら機械人自身は意思を獲得したハイテクロボットなのにもかかわらず、人類の中世程度の文化しか持っておらず、人類からすればまさにカオスな世界です。

    そこに暮らす彼ら機械人たちの姿が生き生きと描かれています。宗教や科学を探究しようとする者や権力を我が物にしようと陰謀を画策する者たちなどが。

    その世界を我々人類が訪れて関わっていくことになるお話なのですが、私は、これは”ハードSF的異世界ファンタジー”だ、と感じま
    した。
    しかし一筋縄ではいかないのは、この世界が気圧が地球の1,5倍、気温は零下179℃、重力が0,14G、メタンガスと氷の大陸に覆われた本当の意味での異世界だということ。

    また機械人たちがどうやって”進化”し子孫を残してきたのかなど、興味深い設定になっています。
    著者のホーガン氏はこれら設定(屁理屈?)を考えていたときは、きっとニヤニヤされていたのではないかと思います(笑)

    終盤は意外とあっさり終わってしまうので、続編の”造物主の選択”が気になるところ。
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    投稿日:2016.09.04

  • ちょっと難しいかも?

    「星を継ぐもの」シリーズを読み切りあまりにも面白くテンポも良く読めたので
    同じような感覚で読めるだろうと期待して購入してみましたが同じ作者の作品でも
    これはまた別の感覚で読む作品であると思わないとなかなか楽しめないかもしれません。

    作品自体は面白くジェームス・P・ホーガンワールド全開ですが、
    「星を継ぐもの」が作品の中に入り一緒に謎解きを楽しむ作品に対して
    こちらの作品は作者の世界観を堪能し作者と対話するかのような作品になっているように
    思えます。
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    投稿日:2017.02.18

ブクログレビュー

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  • oukayuka

    oukayuka

    大昔の異星人が残した開拓用建設マシンが自律性を得て、タイタンに文明を築いていたという異色のファーストコンタクトもの。
    ホーガン作品の主人公はほとんど科学者だが、本作はなんと心霊術師。しかし悪者に見えた彼が、機械人との邂逅により変質して意外なラストに繋がっていくのはさすが。続きを読む

    投稿日:2023.09.30

  • 一条浩司(ダギナ)

    一条浩司(ダギナ)

    土星の衛星タイタンを舞台にしたホーガン節の傑作。独自に進化した機械人たちの文明は中世西欧風の世界だった――。

    冒頭の、ロボットたちが独自の文明世界を構築していく過程が、これぞSFという感じで面白い。その後は、ホーガンおなじみの、組織と人間関係の軋轢の中で真実への探究心を燃やす主人公たちが登場する。本作ではザンベンドルフとマッシーが対立しつつもやがて信頼関係を築いていく姿が、『星を継ぐもの』のハントとダンチェッカーを思い出させて、やはりこのあたりのキャラの書き方はうまい。ただし、人名が多すぎて読みにくくなっているのもお約束。

    ハードSFとしての本質的な部分はプロローグで語り切ってしまっているようで、接触した機械人文明が中世ヨーロッパ風なのもあり、本編は実は人間世界についてのアナロジーな気がする。SFは突き詰めると宗教的な論議になってしまうのか、機械人たちの形而上学的な会話が興味深い。ここから宗教と人間性に関する論点にスライドし、中世文明VS現代文明のような形でドラマが展開する。物語の展開そのものはとても面白く、後半はさすがホーガン、と何度もうならせてくれた。しかし同時に、本書からは「精神的に進歩しようとしない一般大衆」への強い憂慮と批判が強く感じられる。根本にある作者の思いを特に汲み取れる作品だったかと思う。「愚かな大衆はどこまでいっても馬鹿なままだ」――作者の強い悲しみを感じるラストの一シーンに、現代の日本の大衆の姿が重なって見えた。1983年刊、すでに40年前の小説だが、まるで今の時代を見てきたかのような書き方が何箇所もあるのでひとつ引用してみる。

    P347 「よかろう、きみが今日の大衆に対して抱いている気持はわかっている」マッシーは両腕を宙にふり上げ、「彼らが二十一世紀に育ち、史上いかなる時代の人々よりも完備した学習と教育の機会に取り巻かれながら、その特権を利用しないほど愚かなら、それはきみの知ったことじゃない。彼ら自身の選んだ道だ」

    とはいえ、主人公たちと機械人との交流は希望が持てるものだったし、小気味良いユーモアで後半は何度も笑わせてもらった。なるほどそういう意味だったのか!と舌を巻く、絶妙な「タイトル回収」の巧手も健在。続編は絶対面白いでしょうコレ!
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    投稿日:2023.06.10

  • daisuket

    daisuket

    『星を継ぐ者』シリーズ以来のホーガン。やっぱホーガンめちゃくちゃ面白い。

    ロボットやAIの分野ではシンギュラリティが焦点になることも多いですが、この作品は逆でロボットたちが中世封建的な社会を築いて科学革命に至っていないとしたら…という発想。

    このあべこべの発想に立つことで人間とは何かとか、社会とは何か、あるいは人間は何を問いうるかといったことを考えさせられますし、主人公がインチキ心霊術師で人は真実を見つめているかという問いに角度をつけた皮肉まで突きつけられます。

    ホーガン作品の異星人との「個人的な通じ合いの感覚」の描き方も好き。
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    投稿日:2022.12.04

  • memo

    memo

    名前を覚えるのがしんどい/ 後半の巻き返しからは面白かった/ 機械生命体と細かい設定も良い/ 『米国政府』と出てきてなるほどな、と思う/ 

    投稿日:2018.10.08

  • leerlibros

    leerlibros

    設定が幾分ご都合主義というか、ガニメデシリーズで感じたような虚構としてのリアリティが弱いように感じた。
    であるが、魅力的な設定でもあり、概ね楽しく読めた。
    一方で登場人物が非常に多く、それぞれが結構な頻度で物語に関わってくるため、読みながら誰が誰なのか判別に苦労することが多かった。口調や行動規範によって判別することも難しく、そこに関してはアニメ/漫画的な過剰なキャラ付けのないリアルさ、と言えるかもしれない。読み手の問題ではあるだろうが、翻訳文が意味を取りにくいと感じた箇所も散見された。
    ネガティブな要素ばかり書いてしまったが、序盤から中盤にかけて、地球から舞台が移り変わるあたりでは、特にワクワクさせられ、次へ次へと読んでしまった。再読するともっと面白さがわかるかもしれない。続編も読んでみたいと思う。
    続きを読む

    投稿日:2018.03.26

  • 杉浦印字

    杉浦印字

    興奮の導入、そして始まる「神様もつらいよ」。キリスト教のパロディも愉快に、理解不能な事物を理解するために神の言葉と奇跡への「変換」が起こるメカニズムの具体化が抜群に愉しい。ロマンチックなほど探求の精神を信じる作者の姿勢も痛快だった。心理学者のマッシーをさしおいて詐欺師もどきのザンベンドルフが主人公なのは、ショーマンにしかできない事もあるからなのだろうな。続きを読む

    投稿日:2013.07.24

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