通りすがりの読書家さんのレビュー
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14
このユーザーのレビュー
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スター・レッド
萩尾望都 / Sho-Comi
これぞ不朽の金字塔!
4
何度でも読みたくなるすばらしい作品です。
少女マンガ系SFでは不朽の金字塔と言ってもいいと思います。
作品世界がSFということで、特に女性にはハードルが高いと考える方もおられるでしょうが、
決してそん…なことはありません。
少年向けSFのようにマシンや兵器などの描写はほぼありません。
どちらかというと精神世界の描写が多い作品でありテーマでもあります。
かなり古い作品ではありますが、全く古さを感じさせずに一気に読んでしまいます。
というか途中で止めたくないみたいな。
作品はレイ・ブラッドベリを思わせるような独特のSF世界を
萩尾望都先生ならではの透明感ある美しいタッチで描かれていて、
見入ってしまいます。
そして壮大かつ感動的なストーリーと魅力的なキャラが相まって心に深く残る作品となっています。
できれば大きめのタブレット端末で堪能したいトコロですね。
続きを読む投稿日:2014.11.16
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七王国の玉座〔改訂新版〕(上)
ジョージ・R・R・マーティン, 岡部宏之 / 早川書房
アメリカのTVドラマGame of Thrones原作第1巻
2
ものすごい緊張感のある作品。ファンタジーだからといって夢と冒険、あるいは勇気と友情などを想像してはいけない。
ここにあるのは陰謀と殺戮と裏切り、そして死と恐怖です。これぞダークファンタジー。
緻密に…設定構築された世界は、暴力的で薄汚れており下品さを感じますが、その世界観こそがファンタジー作品とは思えない恐ろしい程の緊迫感とリアリティーを生み出しています。
多数の登場人物たちは皆個性的で、この世界の中でたくましく生活していますが、いつも死と隣り合わせで1ページも見逃せない緊張感。読んでいる方が喉がカラカラに…(笑)
本”七王国の玉座”はシリーズのプロローグ的な役割を担っている作品。
この辛口の氷と炎の歌シリーズは文句なくオススメです。
最後に…”冬来たる”です(笑)
続きを読む投稿日:2016.09.10
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楽園の泉
アーサー・C・クラーク, 山高昭 / ハヤカワ文庫SF
読後感よし
2
大雑把に言えば、赤道上にある島から大気圏外に至る巨大なエレベーターを建造するお話ですが
単純に波瀾万丈があるだけでなく、遙か古代の物語とも平行に話が進み、飽きさせない展開となっています。
そして、名著…幼年期の終わりを思わせるエピローグもクラークファンを唸らせます。
地味ではありますが、私はアーサー・C・クラーク作品の中でも最も好きな一作です。
続きを読む投稿日:2014.10.04
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造物主の掟
ジェイムズ・P・ホーガン, 小隅黎 / 東京創元社
ハードSF的異世界ファンタジー?
2
とてもユニークな設定のハードSFです。
科学者VS詐欺師の流れで進むのか、と思わせておいて…
異星の独自に進化を遂げたロボット文明…
しかも中世暗黒時代のヨーロッパを思わせる文化を持っているという……
彼ら機械人自身は意思を獲得したハイテクロボットなのにもかかわらず、人類の中世程度の文化しか持っておらず、人類からすればまさにカオスな世界です。
そこに暮らす彼ら機械人たちの姿が生き生きと描かれています。宗教や科学を探究しようとする者や権力を我が物にしようと陰謀を画策する者たちなどが。
その世界を我々人類が訪れて関わっていくことになるお話なのですが、私は、これは”ハードSF的異世界ファンタジー”だ、と感じま
した。
しかし一筋縄ではいかないのは、この世界が気圧が地球の1,5倍、気温は零下179℃、重力が0,14G、メタンガスと氷の大陸に覆われた本当の意味での異世界だということ。
また機械人たちがどうやって”進化”し子孫を残してきたのかなど、興味深い設定になっています。
著者のホーガン氏はこれら設定(屁理屈?)を考えていたときは、きっとニヤニヤされていたのではないかと思います(笑)
終盤は意外とあっさり終わってしまうので、続編の”造物主の選択”が気になるところ。
続きを読む投稿日:2016.09.04
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狼と香辛料
支倉凍砂, 文倉十 / 電撃文庫
アニメの原作
1
始めにアニメを見て面白かったので、原作である本書に興味を持ち読んで見ました。
基本的にアニメ版はほぼ原作を踏襲した内容となっていますが、わずかに登場人物設定などに違いがあります。
おそらくアニメとして…盛り上げるためと、分かり易くする為と思われます。
本作はアニメを見た人も違和感なく読むことができ、
さらにアニメでは表現に限界のある心理描写も、本ならではの文章表現で分かり易いです。
あのシーンではこんなことを考えて行動していたんだな、と納得できるということです。
ファンタジーとして分類される本書ですが、中世ヨーロッパ的な独特の世界観と商人達の生活がしっかり描き込まれていて
いつの間にか物語の中に引き込まれてしまいます。
ライトノベルとしていくつかの賞を受賞しているということですが、十分うなずける作品でした。
あと、サクサク読めるので電子書籍向きの作品化もしれません。
続きを読む投稿日:2014.10.12
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百億の昼と千億の夜
光瀬龍 / 早川書房
膨大なエネルギーが必要
1
学生時代に読んで衝撃を受けた作品です。
電子書籍化されて久しぶりに読んで見ましたが、やはり名作は名作で、古さなどはみじんも感じさせませんでした。
他の方もレビューされているとおり、本書は日本SF小説…における最高傑作の一つと思います。
物語は実に静かに、かつ詩的に始まりますが、読み進めていくうちに次第に謎めいてきて、
読み手の脳内で様々な疑問や、あるいは混乱を生じさせていきます。
そのうち、時間や空間という観念さえ混沌としてくるなかで、徐々に物語が見えてくるのですが…
あまりにも話のスケールが大きすぎて終点が見えてこない感じで、自分でもどんな結末を期待しているのかが、
わからなくなってきます。
そしてついに読み終えた後、何とも形容しがたい感覚が心の中に深く残ります。
その感覚は"諸行無常"とでも表現すればいいのでしょうか。
もはや面白いとか、面白くない、といった批評すら、この作品には相応しくないと思ってしまいます。
少なくとも、こんな感覚を覚えるSF作品を私は他には知りません。
まちがいなくオススメです。
ただし、この作品を読むためには、膨大なエネルギーが必要なのでご注意を…
続きを読む投稿日:2015.04.15