【感想】坂の途中の家

角田光代 / 朝日新聞出版
(243件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
54
100
64
4
0
  • 本当にほんのわずかな差で、私も被告人のようになっていたかもしれない。。。

    角田氏の作品を読むのは初めてです。
    普段ミステリばかり読む私が手にとったのは、心理サスペンスの帯です。

    主人公にも、被告人にも、感情移入し過ぎて冷静ではいられなくなりました。
    わかるわかる、あるあるこういうこと、と終始感じていました。
    主人公や被告人が感じていることを、理解できない人がいる、ということもわかります。
    自分が感じていることを率直に話すことができる人がいる、ということは
    とても稀有で貴重な存在だと感じました。
    「ふつうってなに?」と改めて考えました。

    この作品はぜひ老若男女に読んでほしいと思います。
    この主人公と被告人のことを理解できる人も、できない人も。
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    投稿日:2017.04.03

  • 嫌な感じだけどひきこまれます

    味の濃い脂っこいチャーハンを食べた後のような心地です。角田作品を読んだ人特に男性に、この年回りの女性が皆こんな風に思って生きてると思われたら嫌だなと思います。私は乳児だった頃とてもおとなしく、必要以上に泣かなかったそうで、母は近所の人から「赤ちゃんいなくなったのかと思った。病気なの?」と言われたそうです。母は子育て時期に小児科の医療関係者や近所の人、親類などから無神経な言葉を山ほど受けたといいます。今ではずいぶん配慮するようにはなったでしょうが、態度や表情で傷つける人々は絶えないし疑心暗鬼も世の常です。続きを読む

    投稿日:2016.10.20

ブクログレビュー

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  • 1409858番目の読書家

    1409858番目の読書家

    妊娠出産産後のわけのわからない不安定な心情。
    多かれ少なかれきっと感じたことのある恐怖。
    よっぽど恵まれた環境にいた人以外は、
    理解できると思う。
    自分の時はどうだったかを思い出しながら、苦しくなりながらも先を読まずにはいられなかった。
    子供がある程度大きくなるまでは、その気持ちはずっと続くものだと思い込み絶望したことを思い出した。
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    投稿日:2024.04.04

  • lbsh

    lbsh

    このレビューはネタバレを含みます

    裁判員制度に選ばれた専業主婦の里沙子。
    3歳の娘を義理の両親に預け、法廷に通う10日間の物語。

    事件の内容は幼い我が子を浴槽に落として殺害した事件。
    嫌々ながらも裁判員補助として通い始めるが、どんどん事件に引っ張られ、容疑者に自分を重ね合わせていく姿が読んでいてとても息苦しく、たびたび怖さから鳥肌が立ちそうになる。
    裁判員制度に参加する前と後で、自分の夫への見方が全く違うものになってしまったところは本当に怖い。

    ・母乳育児に苦しみ、半ば囚われるものの終わってみたらめちゃめちゃどうでもよかったことに気づく
    ・育児がうまくいかなかったり子供の発育に心配なことがあると周りにうまく相談できなかったり見栄をはってしまったりして余計に1人落ち込む
    ・優しい言葉でも暗に貶められることを言われていたことに気がつく
    ・自分がとても頭が悪い人に思え、怖くて意見が言えなくなったり自分の発言に自信がなくなる
    とか、あーわかる!と思うことも多々。

    里沙子にとって嫌な思い出の数々がどんどん芋蔓式に思い出されていくところはとてもしんどかった。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.24

  • ハルめめ

    ハルめめ

    裁判員裁判で補充裁判員になった理沙子。事件は、赤ん坊を浴槽に沈めて死なせてしまった母親の裁判。理沙子は審理の過程でいつしかその母親に自分自身を投影していく。自分は母親失格なのか、夫はモラハラなのか、姑や自分の母親の言葉などすべてが自分の中で疑心に変わり不安定になっていく。子育てや家族のあり方に正解なんてないんだなと思った。続きを読む

    投稿日:2024.03.21

  • トッチ

    トッチ

    2歳(3歳近かったかな)の子供を育てている専業主婦の里沙子に、裁判員制度の裁判官の仕事が来ます。

    その被告人が、8ヶ月の赤ちゃんをお風呂に落としてしまった母親で、裁判が続くと同時に、里沙子がその被告人に同調していってしまいます。

    里沙子の気持ちが痛いほど分かり、途中でしんどくなりました。(特に、子供が絡んでくるあたりは、本当にそういう時あるよね。という感じになり)

    あーちゃん(主人公の娘)は、自分に何かあっても、ママだけは私の事をまっさきに考えてくれる。という母と子の信頼関係ができているから、あーちゃんはママにたいしてだけワガママになるんだよって、慰めてくれる人はおらんのかーい!(と、思いながら読みました)
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    投稿日:2023.08.16

  • あやこ

    あやこ

    子育てに追われる日々の中で里沙子に送られてきたのは、裁判員の候補者になったというお知らせだった。
    子どもを虐待死させたという女の裁判を通して、なんとなく居心地の悪さをおぼえる夫とのやり取りや子育てのストレスと向き合うことになり、これは自分のことではないと思いつつもつい自分と重ねて自分が裁かれているかのような気持ちで裁判の行方を見守る里沙子が最後に下す判断とは。

    かつてモラハラされていた日々を思い出してしまった。
    この世には、相手を貶めることでしか自己肯定感を上げることができないひとたちがいて、そんなものに付き合わされた日には心がどんどん死んでいく。
    そういうのって目に見えた暴力じゃないから本当に厄介で、それこそ正論を振りかざしたりするから下手すると周りからもおかしいのはこっちだってことになりかねない。

    みんなもっと自分を大切にね。
    続きを読む

    投稿日:2023.06.22

  • KAORI

    KAORI

    うーん、怖かった〜
    なんかこう他人事とは思えない感じが。
    子育て中って、ほんと周りから責められているような気になるもの。
    子どもは理不尽だし、言葉も通じないし、
    母親自身が自分を押し殺していればいるだけ、
    我慢を溜め込んでいればいるだけ、
    子どもは泣き喚くという。

    そして自分は我慢しているからこそ、
    そんな子どもにイラつくという。

    自分が我慢してたんだ怒りを溜めていたんだと
    気づくことがまず最初の一歩だと思う。

    それに気づいた主人公はこれからどんな道を歩んでいくのかな。
    続きを読む

    投稿日:2023.05.31

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