1985 猛虎がひとつになった年 (Sports Graphic Number PLUS(スポーツ・グラフィック ナンバー プラス))

鷲田康 / 文藝春秋
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
4
3
1
0
0
  • すべての野球ファンにとっての「1985」

    虎党ではないので、何が特別なのか疑問だった。
    1984ではなく86でもなく、なぜ1985なのか?
    しかし読み終わると腑に落ちる。
    「あぁこれはすべての野球ファンにとっての1985なのだ」、と。

    書によれば、「伝説のバックスクリーン三連発」も正確には「二連発」らしい。
    しかもこれが優勝の大きなポイントになったというわけではない。
    (ただし、いつもスロースターターなバースが開幕早々から爆発するきっかけにはなったし、抑えの二本立てが確立した試合でもあった。)

    監督の采配は「もう無茶苦茶で何が何だか分からない」とこぼされるほど我慢を知らない投手起用で、マウンドで交代を告げるときに明日の先発も託す吉田に、バースも「Oh、No」と天を仰ぐシーンは笑った。

    ともすれば短気で兄貴肌の吉田が、ベンチ内での采配批判にも寛容に構える親父的存在に成長する様は面白い。
    なかなか「優勝を目指せ」と口にしない吉田が、選手揃っての直訴を受け入れ、ミーティングでハッパをかけるシーンは感動的だ。

    ただ中でもすごいのは、シーズンわずか5本しかヒットを打たなかった川籐をベンチに置き続けたことだ。
    選手個々の実力は高いのに、あと1勝が勝てず、内紛に明け暮れ、やることが個々バラバラの阪神をひとつにする魔法の鍵は、首脳陣と選手をつなぐまとめ役を置くことだった。
    「選手の気持ちをひとつに」、とはよく言われるフレーズだが、選手の顔を、喧しいファンや不実なフロントではなく、個々の成績でもなく、まずはチームに向かせること。
    チームが勝つために、同じ方向を見る。
    そのために、まとめ役は不可欠で、川藤ほどの適任者はいなかった。
    続きを読む

    投稿日:2016.01.17

ブクログレビュー

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  • yopi0730

    yopi0730

    鷲田さん、ホンマにすごいとかでは終わらない作品です。阪神ファンではないけども、当時の状況などがすごくわかりやすい作品でした。

    投稿日:2019.02.22

  • tetsuya44

    tetsuya44

    あの年の興奮を振り返るだけでなく、当時は知らなかった背景なども知ることができる。

    まず、1985年のチームは、安藤監督が作り上げたという。実際、1984年の終盤には、真弓は「来年優勝するから」と口にしていた。
    5年契約の4年目が1985年だったが、前年終盤のホームラン王争いのための四球合戦の影響もあり、吉田監督に交代。
    大きな補強はなかったが、コンバートや若手の抜擢で基本布陣を完成させ、キャンプでは阪急の取り入れていた総合ノックで守備を鍛えた。
    二遊間の岡田、平田は居残りで守備を特訓したという。

    投手力は弱いが攻撃は何とかなる、しかし攻撃をチームとしてまとめることの重要性から、「一丸」「挑戦」を掲げてスタート。
    続きを読む

    投稿日:2018.12.02

  • khiramatu

    khiramatu

    この年の阪神のことを、それはそれは詳しく書いてあります。当時小学生で大阪に住んでいた自分としては懐かしく、覚えていないこととか知らなかったこととかたくさん勉強になって楽しませてもらいました。

    投稿日:2016.02.27

  • ABAKAHEMP

    ABAKAHEMP

    虎党ではないので、何が特別なのか疑問だった。
    1984ではなく86でもなく、なぜ1985なのか?
    しかし読み終わると腑に落ちる。
    「あぁこれはすべての野球ファンにとっての1985なのだ」、と。

    書によれば、「伝説のバックスクリーン三連発」も正確には「二連発」らしい。
    しかもこれが優勝の大きなポイントになったというわけではない。
    (ただし、いつもスロースターターなバースが開幕早々から爆発するきっかけにはなったし、抑えの二本立てが確立した試合でもあった。)

    監督の采配は「もう無茶苦茶で何が何だか分からない」とこぼされるほど我慢を知らない投手起用で、マウンドで交代を告げるときに明日の先発も託す吉田に、バースも「Oh、No」と天を仰ぐシーンは笑った。

    ともすれば短気で兄貴肌の吉田が、ベンチ内での采配批判にも寛容に構える親父的存在に成長する様は面白い。
    なかなか「優勝を目指せ」と口にしない吉田が、選手揃っての直訴を受け入れ、ミーティングでハッパをかけるシーンは感動的だ。

    ただ中でもすごいのは、シーズンわずか5本しかヒットを打たなかった川籐をベンチに置き続けたことだ。
    選手個々の実力は高いのに、あと1勝が勝てず、内紛に明け暮れ、やることが個々バラバラの阪神をひとつにする魔法の鍵は、首脳陣と選手をつなぐまとめ役を置くことだった。
    「選手の気持ちをひとつに」、とはよく言われるフレーズだが、選手の顔を、喧しいファンや不実なフロントではなく、個々の成績でもなく、まずはチームに向かせること。
    チームが勝つために、同じ方向を見る。
    そのために、まとめ役は不可欠で、川藤ほどの適任者はいなかった。
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    投稿日:2016.02.06

  • 宮本知明

    宮本知明

    伝説のバックスクリーン3連発が飛び出し、新たなクローザー中西清起が生まれた1985年。開幕4カード11試合が終わった時点で、1番真弓426、6ホーマー。3番バース381、7ホーマー。4番掛布293、6ホーマー。5番岡田447、3ホーマー。平田450。1試合平均約8点のチームは単独首位をひた走る。日本シリーズも、管理野球を見事に打ち砕き、球団史上初の日本一に輝く。大阪魂が萌えに燃えあがった1年であった。栄光の軌跡が幾多の感動とともに綴られている。終章は、一転、栄華から落剥していく暗黒時代が語られる。選手一人ひとりの辿った足取りが興味深い。明暗あわせたタイガースの真の姿をみることができる。続きを読む

    投稿日:2015.12.09

  • 臥煙

    臥煙

    【昭和60年、社会現象を巻き起こした阪神タイガース。21年ぶりにリーグ優勝、球団史上初の日本一に輝いたチームを追ったノンフィクション】昭和60年、自分が中学に入った年、興味が広がった多感な時期なのか実に印象深い年。おニャン子クラブ、チェッカーズ、日航機墜落などとともに忘れられない阪神タイガースの優勝。もっと書籍化されてもいいと思うがあまり見当たらない。本書は発売日に即買い。
    阪神の吉田監督第二次政権の1年目。前任の安藤監督のチーム作りも評価しているところが本書の素晴らしいところ。
    トップの真弓からバース、掛布、岡田の伝説のクリーンナップ。だが本書はキャッチャー木戸、ショート平田を軸とした守りの固さを指摘する。
    各選手のインタビュー、各選手がそれぞれの役割を果たしたことを勝因として挙げる。
    スター選手の仲が悪いのが阪神タイガース。掛布、真弓、岡田などを陰でまとめた川藤の努力も忘れてはならない。初代ミスタータイガースの藤村富美男の最晩年。川藤を誉めに面会に来るところはちょっと感動。
    阪神タイガースの活躍は1年で終わる。まさかバースも掛布もわずか2年後に対談するとは当時誰も思わなかっただろう。
    当時の各選手の成績を見て驚いたのは三振の少ないところ。バース、岡田、掛布、真弓いずれも60個未満。この年三振王の中日宇野でも二桁。こんなところにも時代を感じる。
    プロ野球がこれだけ盛り上がったのも珍しいことだろう。この年に匹敵するのは昭和50年の赤ヘル旋風ぐらいだろう。
    期待どおりに楽しめた一冊。改めてチーム成績を見るとホームランも多いが犠打もリーグ一位だったり監督の意図した守りこそ勝因だったのだと新たな発見もありました。
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    投稿日:2015.10.25

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