【感想】洞窟オジさん

加村一馬 / 小学館
(32件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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  • 人間社会から逃れた43年、そしてその後

    BSでドラマとして放送されるまで、この著者、加村さんの存在について知らなかった。
    概略は「書籍説明」で触れられているとおりだが、過剰な描写はなく、淡々と語るような文章が続いている。43年間、過酷な生活だったにちがいなかろうが、むしろユーモラスな物語に読めてしまう。ウサギやイノシシの捕まえ方、フキノトウはむしろ大きいものの方が旨いなど、サバイバル生活に感心するだけではなく、ヘビとカエルが同じ穴で冬眠していたとか、30過ぎてからの童貞喪失とか、電車の中で読んでいて笑いを堪えるのに困った。

    ただ、親の虐待やシロが死んでしまったとき、また自殺しようとして富士の樹海を歩き回ったときなど、読み進むのが辛くなるような箇所もある。シロは家出した加村さんの後を1日遅れで追いかけてきた犬だ。ドラマでは発熱して寝込んだ加村さんの額の手拭いを水にひたして取り換えるシーンがあり、過剰な演出だと思ったのだが、この本によると事実らしい。本当に信頼していた相棒がいなくなってしまった喪失感はいかばかりだろうか。

    10章までは加村さんが「発見」された直後の2004年に刊行されたものだ。
    加筆された11章以降では「書籍説明」にあるように、真剣に向き合ってくれる人と出会ったことで加村さんは人間的な喜びを感じられるようになり、人のために生きることができるようになったことが記されている。

    暖かい気持ちになれる一冊だ。
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    投稿日:2015.11.02

  • “何者でもない者”として、生きるということ

    13歳で家を飛び出し、43年ものあいだ人里から離れた山中で暮らす。こんな衝撃的なサバイバル生活が、現代の日本で行われていたというのですから衝撃です。

    家庭内暴力に苦しみ、リュックサックに干し芋を詰め込んで家を出た著者。彼の後をついてきた愛犬のシロと一緒に、山での生活を始めます。

    食事はもちろん自給自足。ヘビ、ネズミ、ウサギ、更には河川敷で魚を獲って飢えを凌いでいきます。とはいえ、人の接触を完全に絶っているわけではなく、時には見つけた珍しい花や魚を売ったりして、小額のお金を手にすることもありました。
    そして、ひょんなことから社会にその存在を認知され、57歳にして山から街の生活に移り変わることとなるのです。

    現代のロビンソン・クルーソーとも称されるその生き様。
    彼が語る数奇な半生記には、きっとあなたも魅了されるはずです。
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    投稿日:2015.12.24

  • おもしろい!

    今の時代では考えられないが、想像が広がるので
    ページをめくる手がとまらなかった。

    投稿日:2016.11.21

  • 淡々と読み進めてしまいました

    凄く感動する内容ではなく、また、悲劇でもない。

    ただ、当時、彼には逃げる場所や助けてくれる人がいなくて「社会」から逃げた。

    でも、野生にはならず、良心も捨てなかった。オジサンには南の島で発見された旧日本軍の兵士が人間性を捨ててゲリラ化しメディアによって「神格化」された悲劇とは真逆な人間臭さと希望があります。

    私は心温まる事はなかったのですが、人は必ず人と関わらなければならないし、幸せのあり方はやはり人によって違うとあらためて感じました。
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    投稿日:2016.12.09

ブクログレビュー

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  • Anony

    Anony

    感想
    人を拒絶する。ずっとし続ける。だけど人の温もりが忘れられない。それが人間。社会復帰を果たしたオジさん。洞窟の外の幸せを噛みしめて。

    投稿日:2024.04.18

  • まに

    まに

    タイトルでは面白い本かと思ってしまいましたが、
    子供の頃に家出して洞窟で生活していたおじさんの話です。
    悲しくて、どこか優しい本。

    私はおじさんに会ったら抱きしめたいと心から思いました。

    投稿日:2024.03.21

  • いおりんwolf

    いおりんwolf

    このレビューはネタバレを含みます

    ちょうど他の洞窟関連の本に夢中になっていた時に、たまたま目にとまり読んだ本。
    洞窟で半生を生きてきた人と聞いただけで、やはり生い立ちは普通ではないと予測はついたが、実際ひどい内容だった。親からの愛情に飢え、人間不信になってしまった加村さん。山へ逃げる気持ちもよく分かった。

    富士の樹海のエピソードは、かなり強烈だった。
    自殺のメッカだとは聞いていたが、実際そうなんだな。

    愛犬シロが何度も命を救ってくれたシーンは感動して思わず涙が出た。これだけ心を通わせていた犬の最期は本当に心が締め付けられる程辛かっただろうと思う。

    波乱万丈な半生ではあったが、加村さんのお人柄からだろうか、出会った人達から慕われ今は施設で幸せに暮らされているという事なので、安心して本を閉じる事が出来た。
    こんな生き方の人もいるんだ、と本当に勉強になる本だった。巻末に獣の食べ方やサバイバル術が絵付きで載っており、シュールで面白かった。(実際自分もサバイバルせざるを得ない状況の時は役に立つ内容だと思う)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.04.13

  • サイバー飯テロ

    サイバー飯テロ

    テレビ番組で特集していて興味を持ち購入。
    まあすごい人生です。常識の範囲外。普段の生活であたふたしているのがバカバカしくなる。生きるとは何かを改めて考えさせられる。
    作者は幸せだったのか?そんなことを考えても自分の考えると幸せと全く尺度が違うように思えて何か清々しささえ感じる。続きを読む

    投稿日:2022.11.20

  • ひゃっほう

    ひゃっほう

    確かAmazonでオススメに出てきて、何となく面白そうと思って手にしましたが、期待以上のおもしろさでした。
    ノンフィクションでしかも自叙伝というと、内容よりも文章の粗さに読み進めるのが辛くなることが多いのですが、加村さんの文章はもちろん巧みではないものの、無駄な装飾がない文体には好感が持てます。

    私の両親とさほど変わらない年齢の方がこのようなサバイバル生活で生活してきたことに驚き、わずか13歳で家出したにも関わらず、生きていくためのサバイバル能力の高さに驚き、
    社会に戻ってからもまっすぐで自分に正直である姿勢に感銘を受けました。

    決して真似したい人生ではないけれど、彼のまっすぐさと逞しさには学ぶべきところがあると思います。

    どうか社会に戻った加村さんが本書にある暖かい人間関係に恵まれて、もう二度と寂しい思いをせず、毎日暖かいお布団で眠れますように。

    2020年59冊目。
    続きを読む

    投稿日:2022.09.03

  • 1692747番目の読書家

    1692747番目の読書家

    孤独では人足り得えず。でまとめたのかな?という印象で、実話だけど本人の言葉で語られた感じの薄い本でした。
    でも山から街まで自身の力で生きてきたサバイバル術は凄い!自殺を考えなおす場面など、乗り越えてきたものの重みを感じました。続きを読む

    投稿日:2022.03.05

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