明日と明日

トマス スウェターリッチ, 日暮 雅通 / ハヤカワ文庫SF
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 3.0
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  • 悪夢のような明日(未来)

    アメリカの都市ピッツバーグがテロ攻撃にあってから10年。仮想現実空間上に再現されたピッツバーグで保険調査に従事するドミニクは、調査の傍ら亡き妻との幸せな記憶が残るアーカイヴに入り浸る毎日を送っていた。ところがアーカイヴ内で偶然見つけた調査対象の女性の死体を調べる内に何者かがそれを消そうとした痕跡を発見する。事実を突き止めようとする彼の前に立ちはだかる正体不明の敵と自身の精神疾患。果たして彼は真実と幻影、過去と現実が交錯する迷宮(アーカイヴ)の中から真相を突き止めることができるのか・・・。

    海外の作品らしく話の発端からの助走が長く、ディテールに拘る描写やエピソードが合間に挟まるので話しのリズムになかなか乗れない。また初めは背景説明がほとんどされないので登場人物たちの会話や行動から世界がどうなっているのかを読み解く必要があるなど欠点が目につく作品ではある(作者の処女作)。しかし近未来SFとしては大変良く出来ていて、多分ここ十数年内にはあり得る世界と思わせるだけの設定が施されている。都市をまるごとデータ化してアーカイブしたり、「アドウェア」と呼ばれるネットワークと直接繋がるウエットウエア、ARやVRなどが日常生活のなかに氾濫した世界、テロが横行し犯罪者や被害者がランキングされ個人情報が売り買いされ晒される世界と暗い未来が描かれている。

    その世界で主人公が巻き込まれて行く事件も陰惨でどうにもやりきれないのだが、ストーリー展開や謎の提示の仕方などが上手いのでついつい読んでしまう。また詳細に作りこまれた世界にどっぷり浸れるのでこの手の世界観が好きな人はハマる事間違いなし。妻を突然亡くしトラウマを抱えたドミニクは精神的にはかなりイッちゃっている人物なのでハードボイルドにはなりませんが今風の等身大のヒーローではあるのでそこそこ好感は持てます。彼の魂の再生と冒険の果てに待っているラストは結構切ないですけど・・。

    だだなぁ、やはり冗長すぎるなというのが正直な感想。今の3分の2か思い切って半分ぐらいのボリュームでコンパクトに纏めてればかなりの傑作になったのにとは思う。
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    投稿日:2015.10.20

ブクログレビュー

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  • 愛と幻想

    愛と幻想

    展開に触れず感想を言うのは難しい。情報氾濫可視化社会をテーマにしているのは『ドーン』に似ている。あとは、別作品のことが頭をよぎるがネタばらしにつながるので控える。アメリカ文化に馴染みがあるなら面白いと思う。やや米国内向きのテキストかな。でも、面白く読み通せた。続きを読む

    投稿日:2017.12.18

  • persona5

    persona5

    SFというより推理小説といった感じで現代ドラマのような感じで読んでいた。この手の話がSFだと思えないくらい技術が進歩したんだと思った。アドウェアに関する説明が少なく、最後の方まで読んでみて、その概要が掴めたといったところ。全般的に暗い展開が続き、読んでいて辛かった。近未来SFは僕には向いていないかも。続きを読む

    投稿日:2017.04.10

  • やすお

    やすお

    あらゆる映像が記録され、任意の場所の特定の時間のシーンをAR(拡張現実)で何回も体験できる世界。ピッツバーグが自爆テロで木端微塵に破壊された。妻をそこで亡くした主人公のドミニクは10年が経過したものの、過去の世界にARで浸っている。その背景の中、殺人事件に巻き込まれ、ARの世界で犯人探しをする。昨今はARやVRがもてはやされているが、果たしてこれらは人を幸せにするのだろうかと疑問に思う。本作品はフィクションであるが、法が整備されれば今でも実現できる世界のように思える。体内に機械を埋め込むのは今すぐというわけにはいかないだろうけど、スマートフォンなど代替機器はあるので、似たようなものは実現可能だ。そう考えると技術が必ずしも人を幸せにするとは限らず、ディストピアの実現に向けて我々は日々努力をしているのかと思うと滑稽でさえある。本書はエンターテイメント作品としては面白い。映画でも観たいくらいだ。純粋にフィクションとして捉えられないのが怖い。随所に出てくる実在の企業名などもリアリティを添えるので、余計に余計な事を想像してしまう。続きを読む

    投稿日:2017.01.30

  • mikutemozadown

    mikutemozadown

    このレビューはネタバレを含みます

    途中、あまりにもバンクシーなキャラの描写に読む気が失せかけたが、最後まで読めばこれはこれであり。舞台もトリックもちゃんとサイバーでポスト・アポカリプスだけど、「都市と都市」やプリーストみたいなぶっとんだ志向性はなく、読後感は「ああノワールだった・・・」。バロウズやディックの味わいは薄く、ギブスンがきっちりノワールな長編を誰かと映画用に合作した…みたいなかんじ。仮想空間の描写にひと工夫あれば、ポスト・ブレードランナーの第一候補になるかも。デ・パルマ監督で観たい。

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    投稿日:2015.12.16

  • mariko

    mariko

    テロリストによる核攻撃により消滅した都市。
    亡き人の面影を求めてアーカイヴに「ログイン」する人々。

    「アドウェア」が人間の認知機能を(そして欲望をも)拡張し、凄惨な殺人事件までもがエンターテイメントとして消費される世界。

    ありうる、ありうることだ。
    感傷的で悪趣味で野蛮な近未来。
    ここに書かれていることの半分はもう既に起こっているのではないか?



    物語は伏線が収斂していく後半が消化不良でした。
    「そうでなければならない」必然性がなくて。
    続きを読む

    投稿日:2015.10.14

  • toca

    toca

    サイバーパンク風のSFミステリ。
    ハードボイルド的な側面も強い作品ではあるが、正直、ミステリ部分に関してはありきたりな印象。それに対して、細々とした道具立てやSFガジェットの描写は非常に臨場感があって良かった。後者が良かっただけに前者の甘さが残念。この著者はSFの方が向いているのかもしれないなぁ。続きを読む

    投稿日:2015.10.04

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