【感想】ホテルローヤル

桜木紫乃 / 集英社文庫
(351件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
36
109
137
36
9
  • やっと読みました。

    タイトルは本書を読み終える時間のことではなく、著者と同じ街に住み、直木賞を受賞した時から読もう読もうと思っていて、という意味です。
    7つのエピソードが「ホテルローヤル」を通して描かれ、エピソードの時間軸はホテルローヤルの死(廃墟化=現在)から誕生(建設=過去)に向かって進んで行きます。
    本書の色合いは釧路の夏の海霧の如く、深く暗く「生=性=優しさ」を見せてくれます。(結構好き嫌いの出る本ではないかと思います)
    「性」に翻弄される「生」、そこに有る「優しさ」は何時まで続くのか・・・・
    私の描くラブホのイメージと違うのは都市部と郡部の違いだからかなぁ(笑)
    1番の違いは、本エピソードにも書かれている、人口減のせいでしょうね。
    北海道の郡部に向かって走ると、結構ホテルローヤル(名前は違うが 笑)が道端に見受けられます。
    自分の周りのラブホに照らして見るのも面白いかと思います。
    桜木さんの違う作品も読んでみたいと思います。
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    投稿日:2015.11.23

  • Heavy

    読み終えた後、軽い本だというレビューを読んで驚きました。
    やはり、人間の感性は人それぞれなんだな、と。
    連作短編ですが、私にはとてもヘビーで、一気には読めませんでした。
    同じく北海道出身、芥川賞候補に何度も上りながら叶わず、41歳で自害した佐藤康志に共通する、
    底辺で必死に生きる人間への暖かい目を感じました。北海道の風土のなせる技、でしょうか。
    生と性、決して切り離すことの出来ない人間の性(さが)に真正面からぶつかっている、とても
    真摯で重い小説と感じました。
    感じ方は、それぞれの人生の重さ、かもしれません。
    おっと、重いから良いわけでは決してありませんが。
    大人のあなたは、一度読んでみて損は無いと思います。こういう世界もあるでしょう。
    続きを読む

    投稿日:2015.08.19

  • るラブホテルを舞台にした短編集。

    北海道にあるラブホテル「ホテルローヤル」を舞台にした7編の短編集。第149回直木賞受賞作。
    話を経るにつれ、過去へ遡っていきます。
    軽い文体で読みやすいですが、内容はしっとり。心地よくジワジワ染み込んでいきます。
    読み返すと、受け取り方が変わって、2度面白いです。
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    投稿日:2017.02.19

  • ホテルローヤル

    とっても軽く読める本です。飽きずに楽しめました。でも最後の終わり方が続きを連想させそうで、、兎に角ちょっとした時間にスラスラ読めるのが良い方にはオススメ。

    投稿日:2015.07.22

  • ホテルローヤルを読んで

    お気に入りになった音楽と読書が趣味の人のブログを読んでいると、ホテルローヤルの感想が載ってました。
    それを読んで 私も早速読みたくなり、徒歩5分の図書館に借りに行きました。
    検索すると、何と!予約者263人。一様予約したけど 何か月先になるやら・・・。
    家に帰り ソニーから電子書籍券¥1000が送られてきていたのを思い出し、これを使って購入してみました。
    だが、ダウンロードが出来ない。
     ソニーに電話で問い合わせると、他の方法でのダウンロードを親切に教えて頂き 読むことが出来ました。

    北海道出身の桜木さんが書いた 直木賞受賞作のこの本は、同じく北海道に長く住んでいた私にはとても身近に感じられ、時間を忘れて 一気に読み切りました。
    ふ~ん、面白かったが感想。 今は首都圏に住んでおり、時々飛行機で女満別空港に向かう時、良く釧路湿原が眼下に見えました。読み終えた時 あの景色の中に本当にホテルローヤルがあったのだろうか、なんて思いが駆け巡りました。
    しかし ここ2~3年乗った飛行機は釧路湿原の上空を通らず 残念です。
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    投稿日:2015.08.08

  • アタリ

    「ワン・モア」が心にしみ入る良い作品だったので、本作を手にとった。

    読み始めは、期待値が高かった分ハズレだったかなというのが正直なところだ。全体的に暗い話ばかりだが、真っ暗ではなく仄かな安堵感がある
    現在から過去へ遡り話が綴られているが、読み進むほど面白い。

    女性の強さ・潔さ・かすかな希望もあり、次作も読みたいと思う作家であることに変わりない。
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    投稿日:2015.08.11

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ブクログレビュー

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  • kh

    kh

    シャッターチャンス
    一話目にしてやや難解。気の進まないことをさせてきた彼に嫌気が…という単純な話でもないような気がする。

    本日開店
    そんなことが色々暗黙に、水面下のようで公然に行われるものなのか。妻の心理的な不貞に気づけるもんなのか。現実味を持ち出すのは野暮。

    えっち屋
    結局何一つ思うようにはいかなかった。空費したこれまでと今日の二つが天秤の両端に載っているように進む。

    バブルバス
    五十を越え、金も生活も思うように回らない家族。大きな声を出すことも、大きく体を広げることもままならない生活。5000円がくれる非日常。
    5000円稼いでまたホテルに誘うなんて、スケベな意味でなくグッとくる言葉。

    せんせぇ
    設定がきつい。マンションに帰り着いたとこなんか吐きそう。でも主人公の諦観というか打ちひしがれた描写がとても美しいと感じた。美しいも違うか、経験はないけど共感する。自分がそうだったら、きっとこんなモノローグをすると思う。

    星を見ていた
    母の言葉はお守りではなくきっと呪縛。周りの人が、トラブルののちに優しくなることの意味に気づけないくらい、貧しさや忙しさの中で考えること判断することを止めて60年過ぎてきたのだろう。優しくする人に悪気も罪悪感もない。どう接したらいいか、腫れ物に触るようになってしまったのかもしれない。

    ギフト
    最後こそこの話。色んな人間模様を映してきたホテルの始まりも、色んな人間の喜怒哀楽を経ていた。でもこれまでの話から、オーナーもるり子も残念な終わりだったし、その娘も。この話に純愛やらを感じるよりは、運命や浅はかさの手のひらで踊っている人間を見ていた。

    あとがき
    センセェ、関係ないやん!と思っていたけど、そうでしたか。そこでしたか。

    男と女の、人間の、しんどさや悲壮をセックスを通して、あるいはセックスを通さずに描くセックスはここではどこまでも手段。悲しみや喜びを膨らますための道具。ラブホテルを題材としながら、過度に性的な描写もなく、なんとも文学的。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.07

  • ☆HIRO☆

    ☆HIRO☆

    廃業から開業へと遡りながら人間ドラマを繰り広げていく。十人十色のラブホテルでのストーリー。結局は世の中は男と女ですな。

    投稿日:2024.04.06

  • レーズンバターサンド

    レーズンバターサンド

    現在から過去へ時系列を遡り、ホテルローヤルに関わった人たちの人間ドラマが描かれていて、読み進めるほどになるほど、そういうこと。っという感じ。

    投稿日:2024.04.05

  • オコチャ

    オコチャ

    ホテルローヤルと言う名のラブホテルを軸に色々な人間模様が切り取られていく短編集

    時間がどんどん遡っていく構成
    なのですでに廃墟となっているローヤルから話が始まり、ホテルのたどる道のりを見てきたぶん、最後の章に夢を膨らまして経営していこうとする大吉とるり子に何とも言えない切なさを感じてしまいました。
    ラブホテルが題材なだけに、男女の関係性や表面的な思いよりも、どこか後ろ暗い本音の部分が書かれています。
    ハッピーエンドというよりも「人生の一部を覗き見た」そんな気持ちになりました
    続きを読む

    投稿日:2024.04.05

  • ささがきごぼう

    ささがきごぼう

    2024.3.29読了

    8年ぶりくらいに読んだ。

    桜木紫乃さんの作品は他に読んだことがないけれど、官能的で、諦観にあふれた文章を書くこの人は素晴らしい。
    官能への感受性が高まっているのは、自分が10代の終わりから20代後半へと年齢を重ね、その分経験も重ねたからだろうか。

    いくつかの文が10代のわたしの心を掴んで離さず、今日まで身体の一部として機能していた。
    「バブルバス」の新婚旅行の描写でマスターベーションができないか本気で試みたことは忘れていなかった。
    「えっち屋」の『客は日が高くても夜を求めてここにくる。』
    あ、と思った。ラブホテルで朝を迎えたとき、塞がれた窓の扉の隙間から漏れる朝日を見ながらいつも「夜だ」と思う。ときどきは声に出す。
    どこかで読んだ文章だと思っていたが、こんなところにあったとは。僥倖。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.30

  • Navy

    Navy

    時系列バラバラだし、短編ごとに人物も違うがホテルローヤルで繋がる。

    ラブホテル特有のねちっこさは無く、かといって爽快感はほぼない。
    ホテルローヤルの歴史(というほど壮大な歴史ではないけど)が何だか切ない物語でした。続きを読む

    投稿日:2024.03.02

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