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フィリップ・デルヴス・ブロートン, 関美和, 岩瀬大輔 / プレジデント社 (38件のレビュー)
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総合評価:
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古舘達也
このレビューはネタバレを含みます
営業の名著。 新卒社員や営業のメンバークラスの人は読むと良いと思う。 ただ、自分で言うのもなんだけど、そこそこ営業経験や、営業実績出せてる人からすると真新しさはあまりないとは思う。 日常的なシーンを題材に、あるある〜という営業の重要なことについて書かれているので、営業に携わる人であれば一度読んでおくべきだろう。 面白かった部分についていくつか以下で記載。 振る舞いの悪い顧客に対してのアプローチ →好きの反対は無関心というように、悪態をついてくる人は全然顧客になりようがある例。 何より重要なのは信頼の貯蓄。この人はすごいな、この人の言うことは聞いておいて損ないな、と思わせたら勝ち。 > 以前、うちの店に入ってきていろいろと物色し始めたアメリカ人の男がいてね。銀食器を見てこれは銀かと聞いた。そうですと答えると、『モロッコの銀か』ってさらに聞いてくるんだよ。要するに混ぜ物が入ってるんじゃないかって意味さ。今度は別のものを見て、アンティークかと聞いてきた。そうだと答えると『お前が裏庭でつくったんだろう』なんて言う。妻は、キレそうになってたよ。でもこれは魚釣りみたいなもんなんだ。食いついた魚を無理に引っ張ると糸が切れるだろう。だから放したり、引っ張ったり、また放したり引っ張ったりして、疲れさせる。そこで糸を巻き上げればいい。その男は琥珀を見て、プラスチックかと聞いてきた。俺は違うと答えた。『琥珀です』。『香港製か?』。男はずっと俺をやり込めようとしてたんで、好きにさせておいた。反撃できるタイミングを待ったんだ。最後に男は美しい象牙のおわんを手にとった。職人が何世代もかけて彫り上げた作品を、男が振り回し始めたんだ。だから、俺はヤツの手首を摑んでおわんを取り上げ、光にかざした。『お客さん、大切に扱ってくれませんかね』。それから、そのおわんの歴史を説明すると、男は自分がバカだったと気付いたらしい。すみませんと謝まったから、構わないと答えた。何も知らなかったんだな。恥ずかしそうにしていたよ。その晩、そいつはいっしょに食事をしたタンジールの誰かから、俺の評判を聞いたらしい。翌日またやってきた。前の日はあばれ馬みたいだったが、この日は乗ってほしそうだったから乗っかった。もう俺の言うことならなんでも聞いたね。男は見事な銀のブレスレットを何本か買っていった。もし俺が我慢していなかったら、おいしい魚を逃していただろう。力ずくじゃなくて頭を使ったんだよ」。 結婚式の前の買い物での事例。 →予算の合わない顧客に対して蔑ろにする店員が描かれている。 これはむしろ逆とも言うべきで、予算が潤沢な人は他社(他のお店)でも同じようなアプローチを受けているはずで、こういう難しいお題、予算的に厳しい顧客に対して、何を得たいか、優先したいかを確認し、それに対して適切なアプローチ(他の店を紹介する、分割払いを提案する、1番安い指輪になるけど提案してみるなど)をすることで、他との差になり顧客からの信頼を得られる。 > 最初に訪れたのは、五番街の超高級デパート、バーグドーフ・グッドマンの一階にある宝石店のヴァン クリーフ&アーペルだ。入った瞬間に後悔した。ガラスの陳列ケースに入った輝く宝石に値札はなく、店の人たちは、いまにも僕を取って食いそうな目つきをしていた > 予算を口にすると、女性が引くのがわかった。それは僕がこの日のために貯めてきたお金で、僕にとっては大金だった。だが、そのセールスの女性は、いかにもがっかりした様子を見せた > それでおしまい。僕の財力は、彼女の世界ではこれくらいの価値しかなかった。おもちゃの指輪程度というわけだ。別の指輪を見せてくれるわけでもなく、分割払いの提案もない。ほかの店を教えてくれるわけでもない。僕は自分の経済的価値を自覚した。それは彼女が鼻にもかけないほど低かった。 オークションで指輪を買い、プレゼント用の箱を探している時の話。 →これも先ほどの例と同様で、顧客に伴走する姿勢が弱すぎる。 結果的に箱を提供出来なくても、上司に掛け合ってみる、箱だけ無料で渡すのは難しいのでこの商品を買ってくれたら渡せる、みたいな“努力”を見せることが重要。 この差は本当に大きい。 > アンティーク宝石店のフレッド・レイトンにたどり着いた。 > 「何かご用でしょうか」とその女性が訊ねた。僕はビニール袋に入った指輪を掲げてみせた。 「さっきオークションでこの指輪を買ったんですが、箱がいるんです」。すると、「ありません」と、バッサリ。店のなかは箱だらけだったのに。一つくらい売ってくれてもよさそうなものだ。そこで僕はこう言った。「もちろん、お支払いします」。無料の箱はない、という意味かと思ったのだ。すると「うちでは、そういうことはいたしませんので」と彼女は言い、ほかの客のほうに向き直った。結構じゃないか。通りに出て歩きながらそう思った。クソくらえ。 次いで、スーツを買う時の話。 →この場合は、「ぶっちゃけそこまでこだわりないから場違いじゃなければok」という顧客ニーズを理解して、適切にアプローチして結果信頼を得られた好例。 これは本当にコスパが良い。その場で仮にもっと高い商品を提案して売れたとしても、感動にはならないから次が無い。 この人の言うことは信頼出来る、と言う状態を築ければ、ここでも描かれているように次にも同じケースが出てきたらすぐに思い出してくれる。 > それにくらべて、マンハッタンのミッドタウンにあるポール・スチュアートでの体験は対照的だった。 > ほんの一瞬で、彼は僕を正確に見抜いていた。僕はほとんどスーツを着ない。洋服にもあまり興味がない。ただ、場にふさわしくて仕立てのよいスーツならそれでよかった。この日のために一応の努力をしたことを見せたかっただけだ。上着が二つボタンだろうが三つボタンだろうが、切り込みがシングルだろうがダブルだろうが、袖口のボタンが三つでも四つでも、まったくどうでもよかった。場違いじゃなければ、それでよかったのだ。彼はそれを察して、手を貸してくれた。それまで結婚式の準備中に出会った人たちは、みんな例外なく一生に一度のことだから出し惜しみする場合じゃないと、もっと高いものを買わせようとしたが、彼は違っていた。結婚式を利用して僕から金をむしり取ろうとしなかったのは彼だけだった。 > スーツを選ぶと、その男性は僕を試着室に連れて行き、イタリア人の仕立て職人がズボンの長さを測って折り返しをつけたほうがいいと言ってくれた。僕はまたその言葉に従った。彼を信用していた。それ以来、洗礼式のワイシャツや、結婚式のネクタイ、何かきちんとした場に着ていく洋服が必要になると、僕はいつもポール・スチュアートに行くことにしている。 これも非常に重要。 顧客が金になる人だと分かってから良いように立ち振る舞うのは誰でも出来るわけで、先ほども書いたように差にならない。 重要なのは、最初からまずこちらから尽くすこと。 返報性の法則だ。 > 本当に優秀なセールスマンは、どんな顧客をも愛するところから始めます。お客様をいつも正しく判断するのは不可能です。きれいに着飾って買い物をする人がいちばんの上客とは限りません。とくに、昨今のお金持ちは目立つことを好みませんから >ブロードウェイの名女優、メアリー・マーティンは、舞台が始まる前に毎回舞台袖から観客席をのぞき見し、目に入る観客全員に「愛してる、愛してる」と呟いていた。幕が上がるころには、彼女は本当に観客を好きになり、最高の演技を見せたいと心から思うようになっていたという。 ウェットスーツの事例も重要。 相手が何を(モノ)ではなくて“どんな状態”を求めているか、を推察して適切に提案する必要性を説いている。 ここで言えば顧客が欲しいのはウェットスーツというモノではなく、熱心なダイバーからこの店はイケてる最先端の商品が常に置いてあると思われる状態、そのためのウェットスーツ。ここが理解できてるかどうかの差は大きい。 > ウェットスーツの事例とは、次のようなものだ。あなたはダイバーズ・デライトというウェットスーツの製造会社の社員で、ダイビング用品のチェーン小売店に製品を売り込む仕事をしている。 そのウェットスーツは宇宙飛行に使われる素材でできていて、競合製品よりも体温を五度高く保つことができる。だが、値段も高く、通常製品が二五〇ドルのところ、あなたの製品は四〇〇ドルもする。あなたはこれから売り込みに行くところだ。相手のダイビング用品店には数々のベンチャー企業がやってきて、約束を交わしては、守れずに去っていく。だが、その店は、つねに先端を走ることを使命としている。大手量販店もウェットスーツを販売しているため、その店が生き残るためには差別化が必要なのだ。 あなたの仕事は、その店に合計一二着のウェットスーツを買ってもらうことだ。しかも、男性用と女性用にそれぞれ三サイズを二着ずつ買ってもらわなければならない。 ウェットスーツを売るためには、顧客がほんとうに恐れているのは何か、ほんとうに必要なものは何かを発見しなければならないことが、二時間の授業のなかで次第に明らかになっていく。顧客が恐れているのは、安売り量販店との価格戦争に巻き込まれることで、それを避けるには、熱心なダイバーを対象にした商売を安定的に維持することが必要になる。ウェットスーツの機能的な優位性については、買い手が評価してくれる。あなたの仕事は、安定的に商品が供給できること、店に十分な利益をもたらすこと、ダイバーたちが競ってこの商品をこの店で買うと相手に信じさせるこ とだ。あなたの商品は、ダイバーの体温を暖かく保ってくれる高価なウェットスーツではない。そのダイビング用品店が業界の先端に立ち続けて利益を増やし、それを維持するための手段が、あなたの商品なのである。
投稿日:2023.01.09
kuwataka
営業の成功事例としてキリスト教の「免罪符」をあげている。布教という「使命感」でもって「免罪符」を営業することでキリスト教がビジネスモデルとしても成立した、と。 さらにその延長線上のアナロジーとしてアップルストアをあげる。販売員が「牧師」であり、アップルストアが「聖堂や教会などの施設」、ユーザーが「信者」、そしてアップル製品が「免罪符」というワケだ。となると、ジョブズはキリスト? 「使命感」の背景にあるのが「カスタマーサクセス」であり、それを言語化するのは営業マン自身、つまり「主体性」をもって「使命感」の醸成にあたりたい。このあたりは「7つの習慣」の「第一の習慣」と「第二の習慣」に詳しくある。
投稿日:2021.12.16
Tomota
営業は人生で最高の仕事 ①営業は拒絶から始まる ・NOを言われた人ほど売上が高い └訪問回数が多い └NOを言われるまで「追加で」提案し続けていた 拒絶:相手の要望と自分の要望をすり合わせることで…生まれる現象 ここから逃げてはいけない。 つまりNOと言われてからがスタート。 ②使命感 拒絶を乗り越えるための武器 事例1:キリスト教 免罪符販売を「最も古く、最も大きく巧みな営業」 →効果が曖昧なものを売りまくった。 拒絶を乗り越え、世界を席巻。 事例2:Apple 初期のアップルストア ストア店員は、優秀でなくても熱狂的なファンを採用していた →キリスト教の伝導者に近い続きを読む
投稿日:2021.10.23
GINNOJI
ハーバード・ビジネス・スクールで営業を教えない理由を解説するものではありません。 人気が出ない「セールス」に光を当てる本です。海外では「Life's a Pitch(人生は売込である)」「The Ar…t of Sales(営業は芸術)」というタイトルで売られている。なぜ日本ではこんなタイトルに... 営業のテクニックではなく、マインドが焦点。 営業の原点に立ち返ったり、セールスの良さを伝えたいときに見たい1冊です。 ・ビジネスにおいて最も営業が重要 ・出来る営業の共通点。打たれ強さと楽観主義。前向きで明るくないとダメ。暗い人からは買わない ・営業とは「自分の思いを相手に伝えて相手の心を動かして行動を起こしてもらうこと ・拒絶されるまで提案することが大事。営業先と調整し最大限良い提案をし続ける ・回数が多ければ、成功する回数も増える。失敗すれば、教訓を得られて成功率があがる エリート営業ほど、多く挫折しているし、失敗をしている。 逆に言うと、拒絶や失敗するまで売り込みを継続できている。 マインドセットを心得れば、向き不向き関係なく、だれでも売れる営業になれるよ。というお話。続きを読む
投稿日:2021.06.07
こへ
影響力の武器を読んだ後だと物足りなく感じる テイストは違えど(影響力の武器はどちらかというとhowtoで本書はスタンスに関する記述が多い)、抽象度が高いこと(当事者意識が生まれづらい)や時代錯誤に感じるポイントが多く感じた。 個人的に勉強になったポイント *生保の事例 保険を売るのではなく、夢を売ること 顧客が解決したい問題によりそい提案を行うこと *エレベーターの事例 エレベーターを売ることの経済的価値とは? エレベーターがないマンションだと最上階はただ階段を上らないとたどり着かない部屋で終わる。 ただつけると眺望が楽しめる。 そのため売っているものはエレベーターではなく、眺めを売っている。 *LKベネットの事例 セールスマンがカスタマーが欲しい商品が自社で取り扱っていない時、他店を紹介することは感じはいいかもしれないが失格。 関心と信頼を勝ち取った以上他の自社商品を提案することなど売り込む必要がある。 人間は誰しも嫌われたくない、セールスマンも無理やり提案することでそうなりたくないという思いが生まれるが顧客の心理的欲求を探り出しそれを満たすのが優秀なセールスマンである。 売り込まないことは礼儀正しい行為ではなく、カスタマーの欲求を満たすことを失敗したということである。
投稿日:2021.02.14
いまむやすむ
初めて営業という職種について、自分が考えた本。 顧客の利益になる事を考え、信頼関係を築く意味では、ビジネスマン全員が意識として、持たなければいけない事を改めて感じる。
投稿日:2021.01.11
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