【感想】145gの孤独

伊岡瞬 / 角川文庫
(44件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
4
11
19
5
1
  • 思い込んでいるのは自分だけ、ちゃんと寄り添う人は傍にいる

     ライバルに死球を与えたことから立ち直れずに引退したプロ野球選手が主人公。そして彼が始めた便利屋稼業に寄せられる様々な依頼を中心に話が展開する、連作短篇集でした。
     当初は、なにも引退したプロ野球選手を主人公にしなくとも、ひょんなことで始めた便利屋稼業でも良いのではないかと思って読み始めたのですが、さにあらず。読み進めるに従って作者の意図がわかり、また、「145gの孤独」というタイトルが重みを増してきます。これが小説家としての力量なのでしょう。
     この物語の主人公ほどではないにせよ、ヒトは誰しも、それなりの人生を生きてくれば、心の奥底にトゲが刺さっているものです。反省?後悔?懺悔?普通ならば何かの折に、ひょっと顔を出す程度のトゲでも結構落ち込むものですが、この主人公のように、余りに深く突き刺さっている場合は、後の人生に多大な影響を与えてしまうのでしょう。でも、それを相談するにも相談する相手が問題ですよね。そして、孤独、疎外感、その結果自ら創り出したのが、あの幻影だったのかもしれません。この物語、一応ミステリーですから、あまり詳しく書くとネタバレになってしまいますから、書けませんけれどね。
     ただ、孤独だ孤独だと思い込んでいても、傍に寄り添っていてくれるヒトはいるんですね。この主人公しかり、また便利屋さんに仕事を頼む人しかり。
     最後のページは、ハートウォーミングミステリーというだけあって、感動的でありました。
     また、物語の本筋と関係ない部分にも興味深い描写がありました。「耳が品のいい女はいろいろ品もいい、耳がだらしない女はいろいろだらしない」う~ん、そんなもんかなぁ。でも、髪で隠れて見えないことが多いよねぇ。それから、ピッチャーが普段から無意識にする指の動作というものにも、興味を覚えました。
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    投稿日:2020.04.29

ブクログレビュー

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  • ムク助

    ムク助

    うーん、あんまり好きではなかった。
    登場人物に魅力を感じず、なかなか話に入り込めなかった。
    タイトルは良い。

    投稿日:2024.02.03

  • kai0419

    kai0419

    素晴らしかった。
    主人公の親友のことは全く気づかなかったので驚いた。

    ただヒロインの存在というか好意は、都合のいい少年漫画的だった。
    彼女は田中と恋に落ちるべきだったと思う。
    普通、無理でしょ。

    投稿日:2024.01.16

  • planets13

    planets13

    後半はベタな展開だけど、十字架を背負うということの辛さや、それを枕元で佇んでいるしかできないやるせなさがヒシヒシと伝わってくる。

    投稿日:2023.12.24

  • masato

    masato

    短編連作?と思いきや、これは、全体で一つの長編ストーリ。
    ハードボイルドミステリとなっていますが、主人公倉沢の軽口に辟易します。かなり残念。
    とはいうものの、この主人公の人を見る目がきれっきれ!なんじゃこのギャップ(笑)
    元プロ野球選手ですよ(笑)

    ピッチャーだった倉沢は試合中のバッター頭への死球事故で現役を引退。便利屋を始めます。
    その仕事内容は「付き添いや」
    息子のサッカーの試合に付き添ってほしいという依頼
    フィリピンに帰る女性を成田まで送り届けてほしいという依頼
    泊りがけで本棚を整理してほしいという依頼
    などなど、変な依頼が舞い込みますが、その真相をズバリと読み取る倉沢の人の見方がすごい!
    そして、それぞれの依頼を通して、倉沢の一人の人間としての再生の物語でもあります。

    冒頭コメントしたとおり、ハードボイルド意識しすぎているのか、挫折した人物感を表そうとしているのか、孤独感を表そうとしているのか、その軽口にはうんざり。

    しかし、最後の依頼(事故)を通して、倉沢は再生していくと思われます。そこが救いかな。

    145グラムは公式球の重さでした。
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    投稿日:2023.11.26

  • yoru

    yoru


    プロとして活躍していた野球選手が、
    ある事故をきっかけに輝かしい舞台の上から
    転がり落ちるように姿を消した。

    そして、ずっとボールを追いかけてきた人生が
    瞬く間に反転し、気づけば想像したこともな
    便利屋という仕事を生業として細々と日銭を
    稼いで暮らす主人公。

    全てにおいてやる気もなく、ただ漫然と
    生きるのに必要な最低限のエネルギーだけを
    摂取して怠惰に生きる。

    夢や希望の光を失った主人公に舞い込む、
    『付き添い人』という新たなビジネス。
    気が乗らないまま、紹介されて依頼に応じる
    ごとに色のなかった生活に徐々に色彩が戻り、
    聞こえなかった音が微に聞こえ始める。

    どん底から少しずつ這い上がっていく、
    一人の元プロ野球選手の再建の物語。



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    投稿日:2023.11.20

  • おこのみやき

    おこのみやき

    短編物語?と最初は読み込み悪くいたが言葉の言い回しが楽しくてスラスラ読みました。
    倉沢さんに会ってみたくなった!

    投稿日:2023.09.30

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