【感想】戦争の日本近現代史 東大式レッスン! 征韓論から太平洋戦争まで

加藤陽子 / 講談社現代新書
(37件のレビュー)

総合評価:

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  • タイトルの「東大式レッスン!」は要らないが、良書

    硬派な良書なのに、不本意に安易で軽薄なイメージを与えてしまうタイトルが残念。
    著者ははじめにこう書いている。

    本来は専門的な分野に問題を絞りこんで書かれた研究書や論文を、
    講義用にやさしく言い換えただけの話にはするまいという、自戒のために書いたものです。

    本書が大切にしているのは

    歴史には「出来事=事件」のほかに、「問題=問い」があるはずだ

    ということである。
    征韓論から太平洋戦争に至るまでの「出来事=事件」を扱っているが、
    「こうだった」というのではなく、「どう考えることができるか」ということに重点が置かれている。
    好感を持てるのは、ある説を紹介するにあたり、誰が言った説なのかを明記している点。
    学術書なら当たり前のことなのだが、新書ではそうでもないことが多いから。

    また、「問いの立て方」についての言及も本書の重要なテーマである。たとえば、
    「なぜ、日本は無謀な戦争に踏みきったのか」
    という問いがあるとする。著者はこの問い方自体をおかしいと言う。
    それは何故か?気になるならば、読んでほしい。

    日本の近現代に留まらない、歴史学のあり方を考えさせてくれる良書。
    続きを読む

    投稿日:2014.09.28

ブクログレビュー

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  • fukusuke1313

    fukusuke1313

    政治家や陸軍、海軍、そして国民がどのように戦争へ向かっていったのか、豊富な資料で示してあった。教科書にある多くの隙間を埋めてもらった感じ。様々なことがつながり、合点がいった。

    投稿日:2023.06.18

  • kaminaritarou

    kaminaritarou

    日本の状況を、現在のロシア・中国に当てはめると
    似たような状況が見えてくる気がする。

    日本人の法律万能的観点は現在も同じ状況にある。

    投稿日:2023.03.29

  • tokyobay

    tokyobay

    政治意識の変遷を実証的に検証しながら、戦争を受け入れる論理がどのように形成されていったのかを解明する意図で書かれており中々の力作。政治意識に関しては主に新聞史料を用いているが、選択した新聞論調がメジャーかどうかはわからないので(結構マイナーな新聞も取り上げている)、あくまでも著者の選択という事になってしまうのだが、歴史研究とはそもそも研究者による選択の結果でしかないので、これはこれで仕方がないのかもしれない。基本的には政治意識というよりも政治史・外交史・軍事史がメインとなっている印象だが、戦争とは「自国が正義である(敵国は悪である)」という大義名分をいかに作り上げて、国民がそれをどのように受け入れて納得・支持するのかがいかに重要であるかという事がわかる良著である。
    気になるのは平凡な題名で、おまけに「東大式」という安っぽい副題をつけてしまったのは、硬派な内容を的確に表現しているとは言えず失敗だったのではないかとも思えるのだが、結構売れてるようなので出版社的には成功だったのかもしれない。
    続きを読む

    投稿日:2020.07.22

  • bqdqp016

    bqdqp016

    明治から昭和までの戦争に視点を当て、当時の日本政治指導者たちの論理の変遷を述べたもの。とかく戦争批判者が、当時の政治家や軍部を、感情的な判断であるとか浅はかなチャレンジ精神と批判するが、時の為政者もそのような単純な思いから戦争を起こしたわけではない。当時の政治指導者、軍部が、どのように世界情勢をとらえ、国民を説得し、戦争に踏み切ったのかを克明に述べている。ただし、ジェームズ・ウッド著「Japanese Military Strategy in Pacific War - Was Defeat Inevitable?」で、日本の太平洋戦争の当初の戦略プランはほぼ完璧で日本の開戦決定は間違っていなかったとの論に比べると、加藤氏は、日本の誤った侵略戦争との前提に立った論理展開をしているようで、研究は極めて深いものの微妙に違和感を覚えた。続きを読む

    投稿日:2018.12.08

  • japapizza

    japapizza

    明治維新から太平洋戦争までの時期を対象として、為政者や国民が世界情勢と日本の関係をどのように捉え、どのような論理の筋道で戦争を受け止めていったのか、その論理の変遷を追っている。当時の日本における、朝鮮や満州の位置づけがわかりやすく、近現代史のよい復習になった。続きを読む

    投稿日:2018.10.08

  • こね

    こね

    明治維新から太平洋戦争まで、政治家や軍部、報道、あるいは世論が日本を取り巻く環境やそれに対する外交・安全保障をどう認識していたか。そして、そうした認識が戦争の開始にどう影響したかをつぶさに見ていく。
    客観的な事実として何があったかではなく、その事実をどう受け止め意義づけ、どのような主張や行為に結びついたのかという主観に焦点が当てられる。事実そのものでなく事実に対する認識が物事を動かすことは往々にしてあることで、そこに着目することは意義のあることだと思う。続きを読む

    投稿日:2017.09.03

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