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佐々木正人 / 講談社学術文庫 (26件のレビュー)
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総合評価:
パドラッパ
3
気付いてみたら当たり前、の連続でした
運動・知覚そして知性を個が獲得していくプロセスは、個が持つ動きの可能性と環境の受け止めの可能性との相互作用であること。例えば歩けるようになるのは地面の固さと平たさのおかげ。もぐらの穴は地面の柔らかさの…連なりが探り当てられた結果。これらのベースになった、ダーウィンの徹底した観察から立ち上る発想に脱帽した。 続きを読む
投稿日:2015.02.20
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sor
2023.05.01 「行為のあるところには、かならず行為を取り囲むことがある。 まわりがあって生きもののふるまいがある。」 環境が、動物の行為にどう影響を与えるか、 環境にはどんな意味が潜むのか…、 行為を司る知性とは何なのか、を探る本。 エピローグで引用されている、田中小実昌さんの文章に共感する。 確かに、中学生くらいで初めて遠出した時の違和感と緊張感と高揚感はこんな感じだったかもしれない。 私がいようがいまいが、世界はそこにある。 私がいようがいまいが、世界は動いている。 生きもののふるまいは、世界が動かしている。 生きものがふるまえば、世界も変化していく。 世界が違って見えてきて、私は今日も散歩が楽しい。 ヒトの赤ちゃんの手も、キャベツの根や幼根もぐるぐる回っている。 みんな世界を探っている。 あと、ダーウィンの凄まじい実験と観察のエピソードと、その本質を見つめる力には敬服する。。続きを読む
投稿日:2023.05.09
紫雲国語塾
「アフォーダンス」について予備知識がなかった私は、この本を書店で見つけたとき、人体のイラストの表紙のせいもあって、どんなダンスだろうか、アフォ(=アホ)のダンス…?などと想像してしまいました(本当です…)。しかし、「アフォーダンス」は、ダンスではありませんでした。 それは、ある生物を取り巻く状況がその生物に与える情報や刺激のことです。たとえば、大地は私たちに立つことをアフォードし、椅子は座ることをアフォードする。私たちが森林に分け入って感じる清々しさは、森林が私たちに「清々しさ」という感触をアフォードした、となります。 このようなアフォーダンスの考え方を敷衍(「ふえん」…他のことにもひろげて当てはめること)すれば、人間の感情や性格も、私たちの内部にあるのではなく、外部からアフォードされてはじめて生じるものだ、と考えられます。とすれば、私たちが悩むとき、その悩みは、普通考えられているように私たちの内部で生じるのではなく、外的に与えられたものであり、したがって、その悩みを自分から切り離すことは、私たちが思い込んでいるよりもずっと容易だ、と言えます。 生態心理学と言われる「アフォーダンス」の考え方は、禅で言う「無心」という境地に、科学的な心理学の方向からアプローチしている、と言えるのではないでしょうか。 『〈心〉はからだの外にある―「エコロジカルな私」の哲学』(河野哲也、NHKブックス)も、「心」が実は、自分の外の「環境」と影響し合うものであることを理解し易く説明してくれています。(K) 紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2009年4月号掲載続きを読む
投稿日:2022.10.06
レレレ
非常に普通のこと、それがいかに使われていない認識図式=無意識かを教えてくれる。物事を精密な尺度で誰もが扱える原因結果の連鎖という理解図式と違って、アフォーダンスを応用し何か便利なものを開発できるわけで…はないし、お金にならないし。だからこそインパクトの割には知られていない。色んなことを定義し直すパラダイムの元として派生していってんのかな。続きを読む
投稿日:2022.04.11
miserybeatle
アフォーダンスとは何かという議論に徹している。その先の話がもっとほしかった。 その意味では同じ筆者の「レイアウトの法則」のほうか面白かった
投稿日:2022.01.21
prigt23
著者の岩波科学ライブラリーの『アフォーダンス』も良かったが、こちらもおもしろかった。 エドワード・リード『アフォーダンスの心理学―生態心理学への道』を読む前の準備運動として読んだのだが、それなりの難…題感は得られた。 意図性をさぐるための書。続きを読む
投稿日:2019.04.03
澤田拓也
「アフォーダンス」という言葉は、生物学や心理学系のやや進んだ議論をするときに、最近当たり前に目にするようになった用語だが、なかなか理解するのが難しく、少しお勉強をしてみようとして手に取った本。最近読ん…だ戸田山和久『哲学入門』やダニエル・デネットの近著『心の進化を解明する』でも重要な概念として取り上げられていた。 ジェームズ・ギブソンによって提唱されたアフォーダンス、それにもとづく心理学 - エコロジカル・リアリズム - をわかりやすく紹介するのがこの本のテーマである。 環境があって、知覚がある。環境があって生物がいる。 「生きもののすることには、それを可能にしているところがある...行為があるところには、かならず行為を取り囲むことがある。まわりがあって生きもののふるまいがある」 わかりやすく紹介する、というこの本を読んでもアフォーダンスについてきちんと理解をしたかどうかは覚束ない。著者も「それにしてもアフォーダンスはわかりにくいし、わかってもらいにくい」という。それでも、世界の見方を新しくする可能性を含むアフォーダンスという概念を、自分たちはうまく利用していくべきだ。「地面には移動のアフォーダンスがある」というとき、自分はアフォーダンスの概念をしっかりとつかんでいるだろうか。生物は、重力や光に囲まれた知覚システムであり、ボーンスペースなのだ、というときも。 さて、この本のもうひとつの魅力は、ダーウィンのさらなる偉大さを意外な側面から知ることができる点である。晩年、ダーウィンがミミズの研究にはまっていたことは比較的知られた話だが、その業績をここまでポジティブに評価したものは初めて読んだかもしれない。著者は、「ダーウィンだけがミミズの本当のすごさに気づけた」という。併せて紹介されている植物の研究も、ダーウィンの観察眼と思考の特異さを示している。こうやって紹介されると、確かにそうだと思えた。ダーウィンの進化論以外の業績はほとんど気にかけたこともないが、そもそも一度も読まずに印象で判断している典型事例のひとつだったのかもしれない。ダーウィンの知性の深さと、進化論の業績が決して偶然ではないと、進化論を読む以上に感じた。 著者は、「さんご礁で起こっていることを生物学者が観察するように、人のふるまいに起こっていることを見てみたい。つまり「さんご礁の心理学」を試みてみたい」と書く。ダーウィンを通して、「もう一つの心理学」を考えてみるという。かえってわかりにくくなったかもしれないが、著者の射程は、そこにある、と言えるだろう。 ダーウィンは、「進化(Evolution)」という言葉を、それが方向性を持つものとして認知されることを警戒して慎重に使っていて、できる限り避けていたという。ダーウィンがどれだけ自分の理論を深く理解をしていたかということの証左でもある。複雑なものを複雑なままで受け取ること、それが大事なことなのだろう、そんなことを考えた。 --- 『哲学入門』(戸田山和久著)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/448006768X 『心の進化を解明する ―バクテリアからバッハへ―』(ダニエル・デネット著)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4791770757続きを読む
投稿日:2019.03.31
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