【感想】みなさん、さようなら

久保寺健彦 / 幻冬舎文庫
(38件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
7
15
11
1
2
  • 小学生がうまいなぁ

    最初はちょっと変わった少年のちょっと現実離れした物語だと思っていた。
    たしかに主人公は普通まわりにはいなさそうな破天荒な少年だけれども、その人物造形の背景がただの舞台設定になっていないところにすごく好感が持てた。
    最近気になっていたんだが、物語をつくるために主人公をかわいそうな生い立ちにしたり、現在の不幸な状況に説得力を持たせるためだけに背景にいじめや、震災や事件などの実際に起こった出来事を使うことが増えている気がする。
    当然その物語の主題がいじめや震災そのものであればいいのだが、実際はまったく関係なくストーリーはそれらを無視した形で違う方向へと進んでいく。
    たとえば実際にいじめにあったことのある人にとって、いじめをよくある不幸な出来後などと思えるわけがない。体験していないからこそできる非常に安易で思慮に欠ける小説の書き方だと思う。
    話がそれた。
    思った以上にヘビーな話だった。
    突拍子もない設定に思わせてきちんと読者が納得できる話になっているのはさすが。
    でもそれを自分って不幸、と自己憐憫にひたる話でもなく、どかんとそれらを吹き飛ばすありえないヒーロー譚でもなくやってみせるのがこの作者の面白いところ。
    だから主人公に全面的に同調できるかというと、それはちょっと保証できない。
    現実でも好きでも嫌いでもないって友達がいるように、彼のことも特別好きじゃないけど「これからお前どーすんだよ」って聞きたくなるくらいには気になる友人の物語として、どうか最後まで見守ってやってほしい。
    続きを読む

    投稿日:2014.12.04

  • 団地なつかしいな

    元団地住人として楽しませていただきました。不条理小説(ふつうは主人公を取り巻く環境が不条理なのだが、この場合は主人公こそが不条理)と思わせつつ、ちゃんとベタなクライマックスを作るあたりは好きです。

    投稿日:2013.10.13

  • 団地の老齢化

    団地の老齢化で一本書こうと思ったのだろう。
    団地という閉じた世界だけで、案外人って生きていける?
    そこに主人公を縛り付ける為に、そしてそこから解放するために、かなり乱暴でいいかげんな設定の、それでいて突然降りかかる無作為な「悪」×2。
    適当なトラウマと、それだけで?ってショック療法。

    非常に雑な小説です。
    少年の成長も雑です。そもそも成長しません。身体能力値が上がるだけです。
    少年を取り巻く人々も描写は雑です。都合良く登場させておいて、書ききれなくなったら団地からフェードアウトです。その後のフォローはありません。
    オチはもっと雑です。酷いもんです。

    アイデアは良かったんだけど、それだけでは無理でしょう。
    かなり退屈な本でした。
    お奨めはしません。
    続きを読む

    投稿日:2017.12.30

ブクログレビュー

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  • ひゃっほう

    ひゃっほう

    同僚からもらった本です。

    解説を読んで知りましたが、作者の久保寺さんは同じ大学・学部・学科出身でした。
    小学生最後に起きたある事件をきっかけに、生まれ育った団地の敷地から一歩も出られなくなった、主人公・渡会悟の13~30歳までの物語。

    発想は面白いです。
    団地内に閉じこもりながら、学び、鍛え、働き、人を愛し、成長していく。まさに青春小説。
    団地の外を知らない主人公だからこその、ピュアで真っ直ぐな視点は、時に読者であるこちらの気持ちを深く傷付けます。

    ただ、主人公があまりにもうまくいきすぎます。13歳から団地に引きこもる人生が、そううまく行くわけないでしょう、と半ば引いた気持ちで読まざるを得ないのは事実。

    後半の展開も、リアリティなさすぎ。
    結末に至っては、ストーリーの中盤から予想していた通り。。

    文体や表現力、着眼点は否定しないので、デビュー作とのことですし、今後、素晴らしい作品を生み出してくれると期待しています。

    オススメ度は低め。
    続きを読む

    投稿日:2022.10.15

  • ピノ

    ピノ

    主人公の小学校卒業から30歳までの団地での引きこもり?
    生活が現実にあった話のように日記のような形で書かれていて、読み始めると思わず引き込まれてしまいました。

    投稿日:2021.11.12

  • omj

    omj

    同級生が刺される事件をきっかけに団地から出れなくなった少年。母親を含め、周りの人の暖かい気持ちを感じる小説。子供を持つ親としては、心の奥が痛い話でした。

    投稿日:2020.02.26

  • 水琴桜花

    水琴桜花

    貴志祐介さんがおすすめしてたので読んでみたら、すっごく面白かった。同期の人たちがいなくなっていく様がちょっとデスゲームっぽくって好き。ケーキ屋のおやじ、いいキャラしてたなあ。

    久保寺健彦さんはしばらく沈黙してたけど、去年ひさしぶりに新刊『青少年のための小説入門』を出しましたね。これもおもしろかったです。続きを読む

    投稿日:2019.07.07

  • こまいぬ

    こまいぬ

    このレビューはネタバレを含みます

    数ヶ月前に某リサイクル書店でまとめ買いした中の1冊。
    なんで?これを購入したのか数ヶ月前の自分に聞きたい。

    ちゃんと高校まで行った自分より充実した青春時代を送る引きこもり?生活記。
    その理由も唐突だなぁ。
    結局、解決となる出来事もありがち。
    設定は面白いもののありきたりな青春モノ。
    可もなく不可もなし。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.05.06

  • めい

    めい

    映画を見てからの小説。同級生たちが次々と新しい道を進む中、1人でそこから動かない主人公が痛々しく悲しい。団地の老朽化による環境の変化が拍車をかけている。

    でも、何度逆境が訪れても自分の生きる方法を模索し行動できる主人公はただただ凄い。
    続きを読む

    投稿日:2019.02.14

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