【感想】ウィッチ・ハンド・クラフト ～追放された王女ですが雑貨屋さん始めました～: 1【イラスト特典付】

絵は綺麗なんだけどなぁ

魔法史上主義の国において、主人公は魔法の才覚に乏しいために追放されてしまい、なんやかんやあって雑貨屋の経営を目指す事に…というあらすじ。
物語は無難に手堅く作られており、展開・構成・テンポ等も悪くな…い。派手さや盛り上がりはないが、堅実で読みやすい内容に仕上がっている。画力は高く、キャラクター及びそのデザイン、背景等も上手く描けている。
しかし残念な点もある。この手の作品は主人公に何らかの作品的優遇、要はチートが与えられる事が多いのだが、そのチートが時代背景・世界観に全くそぐわないまさかの「タブレット端末」。しかもその性能は現実世界のそれを遥かに越えており、自動翻訳あり・13億の書籍を閲覧可能・超高性能な音声ガイドありと何でもありすぎる。しかも中世欧州的な世界観なのに、現代日本の情報を見ているような描写さえ描かれている。
この手の作品にチートが悪い・いらない等と言うつもりはない。しかしここまで世界観ガン無視の要素を入れられると、凄いだの面白いだのの前に違和感とバカバカしさしか感じられず白けるだけである。主人公に知識というチートを与えたかったのだろうけど、もうちょっとまともな設定を考えられなかったのだろうか。ドラクエの世界観に戦闘ヘリを登場させるようなものである。
あと、主人公は追放されたとは言え王女という身分なのに、口調・所作・物腰・振る舞い等がまるで王女らしくない。下級貴族かちょっと育ちのいい平民レベルで、流石に違和感を禁じ得ない。貴族・王族なのに台詞回しや表現がそれらしく描かれていない作品をたまに見かけるが、残念ながら本作もその内の一つになってしまっている。
光る部分は少なくないし、キャラクターデザインとかは結構好きなんだけどなぁ。王族だの貴族だの領主だの出てくる世界観にタブレットて。おまけにレビューだの高評価だのの単語まで出てくる始末。流石に白けるよ。続きを読む