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エリザベス・ラッシュ, 佐々木夏子 / 河出書房新社 (3件のレビュー)
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総合評価:
ABAKAHEMP
海岸線に住む者たちのレジリエンス
『ザリガニの鳴くところ』でも舞台になった、多種多様な生き物たちだけでなく、傷ついた人間たちの避難所となっていた湿地が、突然で暴力的なまでの海面上昇と洪水により、水没し腐り始めている。 ただ、沿岸のコ…ミュニティは炭坑のカナリアで、なすすべもなくやられているのではない。 土壌は崩壊したままでは終わらない。 地下に広がるリゾームは塩の脅威を避け、自ら逃走線を見つけ、引き離し行動を起こしている。 低地に住まざるを得ない経済的な余裕のない人たちも、組織的な撤退を始めている。 これこそ、唯一の適応戦略で、レジリエンスの強さだ。 地球の気候は時間をかけてゆっくりと変化するものではなく、異なる均衡の間を劇的かつ急速に行き来するもの。 海面上昇のスピードも、これまで人類が経験したよりも急速かつ不均一に起こる。 健康な沼は温室効果ガスの隔離・貯蔵に優れているのだが、水が押し寄せ、沿岸の陸地と生態系が消滅していくなか、強力な温室効果ガスのメタンの放出も加速している。 本書のキーワードである「組織的な撤退」は、海岸線に住むものたちだけでなく、気温の上昇に伴って多くの生物種も、高度を上げたり、緯度を上げることで生息域を移動させている。 ここ最近、洪水は「予測することも、予防することも困難な、不運な出来事」ではなく、「予測可能で、パターン化された出来事」と見なされるようになり、低地で暮らす人びとは、リスクに曝された場所で生活するコストの責任を引き受けた人たちで、手厚い援助に値すると考えられなくなってきている。 本書は2018年のピューリッツァー賞最終候補作に選ばれ、メディアからも絶賛されているが、本文中に女性ノンフィクション作家が取材中に受けるセクハラ被害の実態を克明に記述していて、直前から始まったMe Too運動の影響もあるのかなと感じた。続きを読む
投稿日:2021.09.26
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信州大学農学部図書館
(三木敦朗先生(森林・環境共生学)おすすめ図書) ☆農学部図書館の所蔵はこちらです☆ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/…BC08145093 ★三木先生による紹介記事はこちら★ https://astatel.net/book/b042.html続きを読む
投稿日:2021.11.05
rolling pistachio
翻訳に難があるわけではないが,優れているというわけではない.読むのにかなり苦労する.知的なアメリカ人には難なく理解できるかもしれないが.文章を読んで,それが表限している地形とか光景を想像することが難し…いためがある.また具体的にというよりは,抽象的な心象が物語れる部分が混在しているためもある.報道記者によるレポートではなくて,回想記的,日記的な体裁である.続きを読む
投稿日:2021.10.15
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