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ギャヴィン・フランシス, 鎌田彷月, 原井宏明 / みすず書房 (4件のレビュー)
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総合評価:
ABAKAHEMP
わたしたちは変化のかたまり
著者は、専門医ではなくいわゆる「かかりつけ医」。 担当地区4千人の住民のホームドクターの診療エッセーなので、向き合う病気も様々。 患者の苦痛を緩和し健康を増進するという医師の役割を自覚しつつ、究極…的に医療とは「死を遅らせる技術」であると悟る。 若い頃のハリソン・フォードのような二枚目で、南極や途上国診療にも積極的なアクティブなお医者さんなのだが、文章が実に内省的で美しい。 生きることは終わりのない変容の連続で、自身の身体とさまざまな形で折り合いつつ、医療も可塑性とある種の曖昧さを許容する包容力が求められている。 「常識で応じますよ、あなたが常識で接してくれるなら」 - なかなか心を開かず攻撃的な患者に対して著者が発した言葉だが、困ったクレーマーへの返答としても気が利いている。 それにしても、あらためて読み返して、文章の素晴らしさにつくづく感じ入っている。 映画もそうだが、本もきっと、時間が経つほど良い記憶として残りやすい作品が確実に存在する。 本書もそうで、「大宇宙という壮麗なパレードがわたしたちのまわりを進んでいる」から始まる冒頭の文章は、あらためて名文だと思った。 「宇宙空間は拡がり、銀河系は渦を巻き、地球は軌道を回り、月は年ごとに遠ざかる。地球の自転軸が傾斜しているおかげで、わたしたちには季節の移ろいがある。もう一兆回を超える潮が海岸を洗ってきている。プレート・テクトニクスに激動があるたびに、地球の外殻は新しくなる。『どんなものもそのうち変わりゆく』は自明の理で、そのことは、考えようによっては、呪いにも慰めにもなる。『同じ川に二度入ることはできない』とヘラクレイトスは言った - 川の水が新しくなり続けているいっぽうで、わたしたちのからだもつねに新しくなっているから。 生きていることは、終わりのない身体変容のただなかにいることだ。人の内と外の境界は孔だらけで - 環境からのさまざまな物質によってかたちづくられ、組み換えられている。川の水は、かつては海の水しぶきだった。一年後には、近所の人の血となって流れているかもしれない。脳のなかの水は、太古の風景に降った雨で、とうの昔になくなった大海のうねりをなしていたものだ。この見方からすると、からだはそれ自体がひとつの流れ、もしくは燃え盛る火だ。どの瞬間も同じであったためしがない。 成長し回復しながら、適応し老化しながら、わたしたちのからだはどうしてもかたちを変えてゆく - そして睡眠や記憶や学習によって、心も変わりゆく。わたしたちを参らせるさまざまな危機から、受胎と埋葬のあいだの変遷まで、意識を織りなすさまざまな神経の流れから、わたしたち自身の意志力と決意によってなされる変化まで、わたしたちは変化のかたまりなのだ」 「わたしたちは変化のかたまり」というのは、本書を通底する主題で、性別不合の問題においても、二つのジェンダーという両極のどちらかではなく、絶えずどちらかに向かう途上にある曖昧な存在が我々だと語っている。 SFの思考実験として、宇宙人が連れ帰る「模範的な地球人」に誰を選ぶかという難問にも、60歳を超えたおばさんがふさわしいとし、「人間のあり様のすべて - その本質とは変化である - を体験し、受容し、そして行動してきた」ことを理由としている。 「陸が空に向かって最敬礼しているよう」という南極での描写も素晴らしい。続きを読む
投稿日:2020.07.22
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URL:https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000092862 *学外からは「学認」をご利用ください(利用方法↓) http://…www.shiga-med.ac.jp/library/support/manual/maruzenebook_gakugai.pdf *Maruzen eBook Libraryのダウンロード手順が変更になりました(2022.6) https://elib.maruzen.co.jp/app/eguide/announcement_220624.pdf続きを読む
投稿日:2021.07.29
芳賀
ヘラクレイトスの万物流転、鴨長明の方丈記など が頭にあり、流転という言葉だけで、 神保町の三省堂で見かけて購入。 原子では原子核の周りを電子がまわり、 地球ではプレートが沈んでは生まれ、 太陽の周り…を地球がまわり、 天の川銀河は宇宙空間を疾走している。 世の中に流転していないものは、ない。 動いていないように思うものも、動いている。 それは当たり前のようでいて、とても不思議なことだ。 本書は、それを詩的な文章で綴る。 科学に裏付けられることと、裏付けられないことが存在する。 裏付けられないことは詩的に表現されてるように思った。 自分の考え方とかも、流転させてこうと思いました。続きを読む
投稿日:2021.02.06
tabutaka
レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12619444006.html
投稿日:2020.08.22
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