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メアリー・シェリー, 芹澤恵 / 新潮文庫 (43件のレビュー)
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総合評価:
future4227
20歳の少女が描いた作品とは思えない名作です
名前はよく知ってるけど、内容は意外とあまり知られていない。 初版が1818年というから、実は結構古いんだね。 この話を20歳の女の子が書いたというのも驚き。 そして今さら気付いたことだけど、怪物…は最後まで名前がなく、怪物のままなんだね。 この怪物、意外にも文学好きの優しい性格で、読んでいるとだんだん彼に同情的になってしまう。 怪物だからもっと大暴れするのかと思いきや、実におとなしい怪物でした。 一応連続殺人はするけど。 ホラーとは違う別のテーマの深さを感じる作品です。 続きを読む
投稿日:2017.08.16
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読書山本助
フランケンシュタインとは、怪物のことではなかったのか。 怪物を生み出したのだから、人間であり、怪物でもあるのか。 周りはこうなのに自分はどうだ、 それは不幸の道に足をかけてしまっている証だ。
投稿日:2024.03.20
ms. kaminari
このレビューはネタバレを含みます
青ざめた四角い顔に目の上のコブ、醜い図体、というのがフランケンシュタインのイメージで漫画のキャラクターぐらいの印象しかなかった。 ところが英語の本の愛読書のランキングに必ず出てくる。 ??ということで本を読んでみることにした。 結果、誤解していたことが一つ、フランケンシュタインは怪物の名前ではなく、怪物を創造した科学者の名前だった。 そして意図してつくった人工人間が意図せず怪物となったことによる、とんでもない悲劇が展開していくことになる。 悲劇と言ってしまえば一言で終わってしまうけれど、愛と憎しみ、欲と虚栄心、など深いテーマが隠されている。 そして、何よりもAIブームの入り口にいる現代人に、自分で制御できないものを作ってしまった結末みたいなことも警鐘されていると感じた。 二百年前に書かれたとはいえ、普遍のテーマを扱っているので全く色褪せた感じがしなかった。 ハイティーンの若者にも、大人になってしまった人にもおすすめです。
投稿日:2024.03.16
マリモ
原題も"Frankenstein"、初出は1818年。 フロストシリーズで毎度テンポの良さとユーモアに富んだ訳で唸らせてくれる芹澤恵さんによる新訳。芹澤恵さん、こんな古典ものの翻訳もされているのねー、…これからも色々と読みたい訳者さん。 書かれたのが200年前というのがまず驚くし、作者は執筆当時、20歳の女性だったということにまた驚く。ちなみにメアリーは17歳のときに妻のいる男性と駆け落ちし、駆け落ちの旅行中で本書を執筆した。その妻が自殺して20日後に結婚したらしい。スキャンダラスすぎるし、今の時代からみても倫理的にどうなんだと思う。しかし本書の序文には、「筆者の主な関心は…(略)、家族の愛情の尊さと普遍的な徳の素晴らしさを示すことにある」なんてあったりもする。前妻が聞いたらキレそう。 そういえば確か、ミドルマーチやジェイン・エアの女性作家たちもなかなかの経歴だった。当時の女性作家たちが、常識の枠にとらわれず、想像の翼を広げる人たちだったからこそ世に出た作品群なのかもしれない。 メアリーのことはおいといて、フランケンシュタインである。これが、驚く完成度の高さ。古さを全く感じさせない。めちゃくちゃ面白くてびっくりする。人造の怪物として名前は知られているけど、実は怪物に名前はなく、フランケンシュタインは、この怪物を生み出した科学者の名前である。 北極点到達のため、船で探検の旅に出ていたロバートは、北極海で瀕死の青年を救出する。その青年がフランケンシュタイン。彼は何故北極海を彷徨っていたのか、その理由を語るのだ。 彼は生命の謎を解き明かし、人間のように複雑で素晴らしい生き物を作り出すという研究にのめり込む。しかし自ら作り出した人工の肉体に生命を吹き込み完成させたい結果、あまりにも醜い異形の怪物だった。 恐れをなしたフランケンシュタインは体調を崩す。怪物がいつのまにか研究室から抜け出ていたのを野放しにしたまま、故郷のスイスに逃げ帰る。 しかし、故郷では愛しい弟が何者かに殺される事件が起きていた。さらには、家族のように接してきた善良な娘が捕まっていた。あの怪物の仕業だと思うフランケンシュタインだが、恐ろしい研究のことを言い出すことができず、無実の娘が死刑になることに苦悩する。 そしてついに邂逅することとなったフランケンシュタインと怪物。創造主から見捨てられた怪物は、苦難の旅を続けながら、ある一家の暮らしをつぶさに観察して言語や愛情を学ぶものの、その容姿ゆえに人間には受け入れられず、孤独感を募らせていた。怪物は、フランケンシュタインに、自分の伴侶となる異性をもう一人作って欲しい、この願いが叶えばもう二度と人前には現れないと約束する。 もう一人の怪物を作る手筈を整えるフランケンシュタインだが、土壇場で、人類に禍をなすことを恐れて破壊する。怒った怪物は、フランケンシュタインの大切な者を殺していく。 怪物を退治するために追っていたフランケンシュタインは、ついに北極海に辿り着いたのだが…。 色々なところで見聞きしたことのある怪物の恐ろしげな容姿が脳裏にあるのだが、私が一番感じたのは、この名もなき怪物が可哀想だなということ。 生まれたての子供のように純粋で、知性もあり、愛情を欲しているのに、誰からも受け入れてもらえない怪物の孤独感、「自分は何者か」という苦悩、唯一の理解者たり得るはずの創造主からすら見捨てられたという絶望感。 大切な者たちを殺されたフランケンシュタインの怒りはもっともでもあるけれど、怪物を創造したことで彼が感じているのは人類に禍を引き起こすことの責任だけで、怪物の未来への責任などではない。禍々しいと断じ、死しか望んでいない。これでは本来的には怪物でなかったとしても怪物になってしまうよね。 最後まで息つかせぬ展開。はっきりとした描写ではなく、読者の想像に委ねられている部分もあるラストだった。続きを読む
投稿日:2024.03.09
がらがら
1818年出版ってことにまず驚いた、そんなに昔の作品なんだ。翻訳がいいのかそこまで古さは感じないで読めた。 古典モンスターホラーのイメージだったけど、それは映画版のイメージのようで、原作は怪物に同情…しかできない悲劇だった。 怪物を作ったフランケンシュタインがメンタル弱弱のくせに無駄に行動力はあって、でも自分の事しか考えていないから周りに不幸を振り撒くのが最悪。 むしろ怪物の方が冷静でフランケンシュタインに正論を吐いて説教し、更には建設的な提案もする。それでも見た目の醜さから全てを否定され結果として誰もが損をする展開に至る。 生命を創造することの責任、差別と偏見の愚かさなど現代でも通じるテーマを描いてるから、古典として残っているのも納得。続きを読む
投稿日:2024.02.11
chiko318
見た目、才能、コミュ力、収入、学歴、親ガチャ、、 本来なら他人を傷付けることなんてないはずの優しい人でも、社会からの孤立や孤独、貧しさ、わびしさ、絶望を感じ続けた結果、恐ろしい怪物になる。 昨今の「無敵の人」を連想せずにはいられない。
投稿日:2023.11.13
百子
フランケンシュタインや怪物が登場するたびに読書スピードが上がり、止められなくなる。 怪物の、「理解されたい」「愛されたい」という感情は本当に切実に胸に迫る。マイノリティどころではなく、ただ一人、生み…出された怪物なのだから。 フランケンシュタインの、どうしようもなく利己的なところに憎しみと共感を覚える。自分のしでかした罪の深さと、自分の愛する人たちの死は別物に思え、自分のしたことは棚に上げて、悪魔を葬り去ることこそ使命だと復讐に燃える。 自分が「命さえ創造することが出来るのではないか」と思った時、自分で自分を止められるだろうか。 取り返しのつかない失敗をしてしまった時、自分も現実逃避してしまうだろう。 「相手を殺して自分も死ぬ」と他人事のように言えばしない。 怪物は最後、愛されているわけではないと知りながらも、どこまでも追いかけてくるフランケンシュタインに愛情を感じたのではないか。 フランケンシュタインが失敗したのは実は外見だけだった。ということに気が付かないのか。 全体的にリーダビリティが高くグングン読まされる話だったが、新訳にしては訳文が少々古臭い。華燭の典とか、伝わるか?中学生にも読ませたいけど、そこだけが難点。続きを読む
投稿日:2023.05.21
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