【感想】千鳥舞う

葉室麟 / 徳間文庫
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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  • 言葉の宝石箱のような美しい物語

    一気に読み終えてふと思い出したのは小さい頃にお気に入りのオルゴールの中にしまっていたガラスの指輪だった。時おり開けてはキラキラと光る様をうっとりと眺めていたものだった。
    この話は博多の女絵師春香が博多八景の絵を依頼されたことから始まるものである。それぞれの景色にはそれに纏わる哀しい物語があり、それぞれの人々の哀しみが込められている。春香自身も江戸の絵師外記との不義密通のうえに破門という過去をもっている。
    けれども哀しいだけではなく、どこか先の方に一筋の希望が見えることによって物語を優しい暖かいものにしている。
    美しい言葉、日本人が昔から大切に思ってきた美しい心、美しいものを愛でる目を丁寧に書いた作品だと思う。
    多分これから時々読み返して見たくなる本である。



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    投稿日:2015.04.20

ブクログレビュー

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  • masato

    masato

    面白かった
    10作からなる短編連作の物語
    博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀の物語

    比翼屏風(びよくびょうぶ)
    濡衣夜雨(ぬれぎぬやう)
    長橋春潮(ながはししゅんちょう)
    箱崎晴嵐(はこざきせいらん)
    奈多落雁(なたらくがん)
    名島夕照(なじませきしょう)
    香椎暮雪(かしいぼせつ)
    横岳晩鐘(よこたけばんしょう)
    博多帰帆(はかたきはん)
    挙哀女図(こあいじょず)
    からなる物語

    主人公、女絵師の春香(里緒)は豪商亀屋藤兵衛から「博多八景」の屏風絵を描く依頼を受けます。
    しかし、3年前、里緒は杉岡外記との不義密通により、破門。外記も3年後に迎え来ると、江戸へ。
    離ればなれになりながらも外記を思う里緒。

    そんな中、博多八景を描く過程で出会った人々の悲哀、
    おつきの文の過去、母親や父親との思い、遊女や歌舞伎役者の兄弟との出会い、男や女の悲しみ・苦しみなどなどが、各章で語られていきます。
    そうした様々な人の想いが絵の中に込められていきます。
    そして、外記と里緒は再び出会うことができるのか?

    エンディングで語られる台詞が心打ちます
    死なせてはならない心とは
    「ひとを愛おしむ心じゃ。ひとはひとに愛おしまれてこそ生きる力が湧くものじゃ。」

    お勧め
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    投稿日:2022.03.27

  • はいなん

    はいなん

    春香が描く博多八景の一つひとつが短編小説になっており、ストーリーの深さに加え想像で見る絵に輝きを持たせている。作風が高田郁の作品にも似ており心打たれる内容だった。最後は春香の願いはかなわなかったのが
    辛く感じた。続きを読む

    投稿日:2022.01.18

  • 「おやっさん」

    「おやっさん」

     この小説の主人公は女絵師の里緒ですが、彼女と現世で縁のあった人々との出会い、別れ、絶望、悲哀、共感、励まし合いなどが上手に描かれ、読んでいて生きる力をもらって様な気がします。
     里緒が心に秘めた外記への思いは最初から最後まで続き、外記ははかなくこの世を去るのですが、外記の心からの思いは里緒に伝わり、結局二人はこの世では一緒に暮らさないことになったのですが、心の奥底ではしっかり存在し続けながら暮らしていくことになるのです。
     二人を支える周りの人々の温かさ、生きててよかったという感じです。
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    投稿日:2020.06.15

  • あやごぜ

    あやごぜ

    不義に問われた女絵師・春香こと里緒。
    依頼された「博多八景」を描く過程で、里緒は八景それぞれに関係した人々の哀切を知ることになります。
    人を思うゆえに生じる哀しみが美しく綴られていて、秀逸な連作短編集です。
    春香と外記の描いた千鳥の絵を、是非見てみたいと思いました。
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    投稿日:2019.07.14

  • otabechan

    otabechan

    最後は涙が滲んできた。悲しくて、どうしようもないことが人生にはある。
    仙崖和尚の言葉。ひとはひとに愛おしまれてこそ生きる力が湧くもの。この世が美しいと思うひとがいて、初めてこの世は美しくなる。
    この言葉に含まれる意味を、噛みしめながら読み終わりました。続きを読む

    投稿日:2016.03.17

  • おいどんの古今東西

    おいどんの古今東西

    このレビューはネタバレを含みます

    1つ1つがエピソードになっていて全体を読み終わったときに主人公の相手の秘密がわかるようになっている。テレビドラマ向きの構成。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2015.08.22

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