【感想】ふたりの証拠

アゴタ・クリストフ, 堀茂樹 / ハヤカワepi文庫
(168件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
55
66
30
2
1
  • 痛切な,孤独

    『悪童日記』の続編。前作では,主人公の二人は自らの感情を一切記さず,あらゆる事柄を冷静に見つめ,冷戦下の世界の中で翻弄される人々の姿をいわば超越者の目で見つめていた。母や父の死も含めて人の死はショッキングなまで軽く淡々と扱われた。本作では主人公の二人は別れ別れになっており,別の孤児とのかかわりから,超越者の座から地上に降りたように感じられた。孤児の死を通じて描かれる,救いのない孤独。人間の孤独ということをこれほどむき出しに,痛切に描いた作品を評者は知らない。『第三の嘘』も購入したが,読み終わるのがもったいなく,まだ読み始めていない。続きを読む

    投稿日:2016.08.23

  • 一緒に住んでいても、孤独。

    文章を追う目が、ページを繰る手が止まらなかった。悪童日記読了後即購入。孤独。その一言に尽きる。誰も愛せない、愛さない。愛とは?愛する人を見つけられない孤独な人間はそこから逃れるのにやはり死という選択以外にないのか。悪童日記とはまた違うテーマを投げかけている。傑作。続きを読む

    投稿日:2015.02.01

ブクログレビュー

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  • まる

    まる

    このレビューはネタバレを含みます

    「悪童日記」の続編だけども、表現の仕方がガラッと変わる。「悪童日記」は子供の世界「ふたりの証拠」は青年から大人への世界。登場人物に名前の無い、肩書や属性や特徴だけだった世界に、名前とともに個性が与えられて、それぞれのしがらみで、分かたれた双子の片割れであるリュカを浮き上がらせる。もう片方のクラウスの人生が対比で語られるのかと思いきや、終盤まで出てこないばかりか、イマジナリーフレンドだったのではないかという疑念が湧いて、そう言えば「悪童日記」での靴屋のおじさんの受け答えは不自然だったかもしれないなと思い至る。

    著者は、物事が人間の成長や変化に与える影響を、すごくよくわかっている人だと思う。

    原理原則を自ら決めて誰にも従わないで成長したリュカと、受け止めて戦う事で成長しているマティアス。リュカとマティアスの、子どもとしての性格の違いが興味深く、マティアスの自我がリュカをどう変えていくのかが楽しみだったのに…
    ヤスミーヌを殺したのはリュカなのか?リュカがなんとかして手に入れた愛がこぼれ落ちていく場面はこの上なく悲しい。

    実在を確認できたのはおばあちゃんだけ??
    大きなノートは6ヶ月で書き上げた?? 


    これでさらに続編があることに驚くとともに楽しみでならない。

    くわばらあきらさんの朗読、素晴らしいです。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.10

  • アン

    アン

    前作とは異なり、本作では登場人物の一人一人が名前を持って現れる。身分証明書、労働、財産、子育て、と主人公の成長に従って取り巻く環境は社会性を帯び、登場人物たちの背負う人生の悲哀にしても、政治性が強いものが増える。しかし、双子という一人称複数形の特殊さがありながら「世界」は確固たるものだった前作とは異なり、本作では…一体この物語はどこに辿り着くのだろう。すぐに次作を読む。続きを読む

    投稿日:2024.04.02

  • ぼじょまる

    ぼじょまる

    このレビューはネタバレを含みます

    ・あらすじ
    悪童日記の続編。悪童日記で別れた双子のうち地元に残った方のその後が綴られる。

    ・感想
    飾り気のない平坦な文章は相変わらずだけど日記形式の前回とは違った形態で、それがふたりで完結していたそれまでの世界との違いを感じた。
    相変わらず出てくる登場人物がみんな二癖くらいある人達で、唯一の良心(?)のペテールも実在してるの??してないの?
    前作の最後もあっと驚いたけど今回もあれは結局どういうことなの…そういうことなの?ってなった。
    なので読み終わったその日に続編を購入。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.06

  • とりぷちん

    とりぷちん

    Amazonのレビューとかみたけどこれの感想をしっかり持てる人まじですごい。すごく難しいけど読みやすいからスイスイページめくっちゃう。
    登場人物とかも多くて誰が誰の話しているか整理するのが難しかった。
    あと1冊でどうゆう完結の仕方するんだろうってのはとても気になるところ!
    続きを読む

    投稿日:2024.01.24

  • さいち

    さいち

    どんな過酷な状況も、感じるより慣れることで飄々と乗り越えてきた双子の少年。その青年期となる本書ではそれなりに愛情や絶望に囚われる。

    リュカを取り巻く登場人物も多彩で、それぞれがドラマチックだった。
    現状を変えたくても、自分では変えられない、変われない。それゆえに生じる苦しみを何パターンも見せられているような感じだった。

    にしても、ラストは謎過ぎる。
    3作目も近いうちに借りよう。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.05

  • まり

    まり

    悪童日記では感情を持たないのかと思ったけれど、今回は小さなマティアスを慈しむ様子が意外であり救いにも思えた。とはいえみんな闇の中であることは変わらない。タイトルの意味が最後の方でつながったと思ったら、「あれっ?」・・・すぐ次の「第三の嘘」を読みます!続きを読む

    投稿日:2023.12.02

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