【感想】イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

安宅和人 / 英治出版
(1009件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
342
352
162
40
7
  • 「イシュー」の概念を示す言葉が、日本語にはない

    本書は翻訳本のにおいがしますが、日本人著者が日本語で書いた書籍です。
    著者がイェール大学やマッキンゼーでの経歴があり、世界視点から物事を見ていることも理由のひとつではありますが、「イシュー」という言葉が拠り所なく浮いている感覚、言い換えれば据わりの悪さが、翻訳本のような雰囲気を出しているもっと大きな理由だと感じました。

    英語の "issue" の概念を適切に示せる言葉が、日本語にはありません。
    ちょうど良い言葉がなければ作るしかありません(と、本書でも書かれています)が、それが「イシュー」という音訳だったと言うことになります。
    漢語や四字熟語を造語しても良かったと思うのですが、やはり別の意味に取られるのが不安だったのでしょうか。

    さて、この「イシュー」という概念、意識して見つけ出そうとしないと表面に出てきません。
    そもそも日本語にない概念ですし、物事にある隠れた本質を見つけるのに質より量でやっていても、(たまたまうまくいくことはあっても)総じてダメなのだ、という考え方の転換を求められていると感じました。
    分析の時点で、闇雲に手を動かす前に「何に答えが出れば全体が解決するのか」「何に答えが出なければ全体の作業が終わらないのか」を問い詰め、その1点から分析を仕掛けます。
    これが本能的・直感的にできるセンスのある人はいますし、そういう人が経営者やコンサルタントとして成功していくのでしょうが、センスではなく方法論として示してくれたのは本書がはじめてかもしれません。
    「イシュー」の考え方や意識が備わることで、センスに恵まれない凡庸な私たちにも、問題解決の苦労が少しでも軽くすることができればうれしいし、軽くなりそうな気がしました。
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    投稿日:2015.03.22

  • Kindleの2015年ビジネス書ランキングで1位だったので買ってみました

    俗に言われるロジカルシンキング本、と言われればそれまでではあるものの、
    マッキンゼー×脳科学者という、不思議なキャリアを経た著者ならではの視点が面白い。
    いや、ロジカルシンキング本といっては失礼ですね
    本書は 「知的労働」 の 「生産性の向上」 という観点にとことん注力して書かれています。
    この点がこの本のとても重要なポイントなのだから。

    すごく特殊な事が書いている訳ではなく、
    本書の一部分だけなら、ある程度感覚的に実施している人もいると思いますが、
    論拠が明確な事、それらが体系的に整理をされているので習得しやすい事、
    ゆえにさらっと頭に入れていけます。まぁ、詳細は実物をお読み頂ければと。

    他の方も書かれていたが、『イシュー』 というワードに慣れるまでに若干の抵抗がありましたが、
    こればかりは、日本語できれいに概念一致できるワードがない以上、仕方がないのかな??

    あと、個人的にはちょこちょこ顔を出す、著者のスタンス、考え方が好きでした。

    「考える」 事は意義があるけど 「悩む」 ことはビジネスには不要な事。
    10分考えてまとまらなければ、悩む状態に陥っている可能性がある、的な記載が有ったのですが、
    これは本当に役に立っております。

    おすすめのビジネス書、と聞かれたときに、あげる事が多い一冊です。
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    投稿日:2016.04.22

  • あなたは、本当に重大で価値ある問題に取り組んでいますか?

    この本も、思考法に関するものです。仕事における問題の取得選択に焦点を当てています。そう、取得選択が鍵なのです。

     あなたは、本当に重大で価値ある問題に取り組んでいますか?
     ガムシャラに働くことに逃げていませんか?

     これが、一つの問いかけになっています。価値を見いだすのは問題でなく解答であるべき。価値のある解答とは? 解答に価値を見いだすのはわかりました、では、どの問題を選べば価値のある解答が得られるのか? その答えが、「イシューからはじめよ」なのです。
     如何に問題を厳選するのが、大切かはノーベル医学書をとった利根川進氏やノーベル物理学賞受賞やハンス・ベーテ氏の言葉を借りていますので、説得力がものすごくあります。
     問題に取り組む為の思考法やアイデア、ツール等はいくら強力でも、答えを見いだせない問題(イシューが低い)に取り組んでしまったら、努力に見合う成果は期待できない。これが、この本の出発点になっています。

     また、脳科学的には、「理解する」と「2つ以上の既知の情報をつなぎ合わせること」は全く同じなのであそうです。つまり、自分や相手の「脳」にどうアプローチすれば「理解」されるか等が「コラム」として載せてあったりと為になる情報が随所に散りばめられているのが憎いです。同様に分析方法も、「脳神経にそった」やり方でないと、認識すらされないなども、読んで目から鱗が落ちる思いをしました。

     
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    投稿日:2016.09.11

ブクログレビュー

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  • なぬ

    なぬ

    問題解決する前に、解決すべきことを見極めてから、
    その問題を解決するためのストーリー立てをし、
    そのストーリーに向けた材料集めをする。

    たしかに、理想的な問題解決の手法で、効率的である
    と感じたが、評判高い本であったので、もっと
    実用的にイメージできるような内容を想定してしまっていて、物足りなさはあった。

    犬の道で、とりあえずやってみることも大事だが、
    まずは課題や目的を意識して、資料作り等をするようにしたい。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.20

  • マサシカ

    マサシカ

    「イシュー」本質的な目的とは何なのか?を考える事が大切。ただただ回数をこなすだけでは効率的に動く事が出来ない。

    内容に共感できるものがあるものの、全てがその通りと賛同出来なかった。まだ何も知らない新人が「これは本質ではないのでもう少し考えてから、動きます」とか言っている間に、タスクは時間切れになる。自分の力がある程度つくまでは「犬の道」でもいいんじゃないかなぁ。何処かでシフトする必要はあるが続きを読む

    投稿日:2024.04.18

  • ひかる

    ひかる

    このレビューはネタバレを含みます

    イシュー検討の際には仮説を立てることか大事。深い仮説は、①常識の否定②新しい構造(共通性、グルーピング)で説明できる。分析とは比較。

    実践する場面が来ないとイマイチわからない。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.17

  • katak-ai

    katak-ai

    悩む≠考える
    生産性=アウトプット/インプット  限られた時間
    バリューの本質=解の質×イシュー度(決着のついていない問題:意味のあること)
     
     イシュー度の高い問題に絞り込み 
     自分の頭でものを考える  一次情報をつかむ
     仮説を「言葉」にする (ビジュアル思考型の人は少ない) 
      ・主語と動詞を入れる ・どこを? 何を? どう? ・比較表現を入れる

    よいイシューの条件
     ①本質的な選択肢  「イシューらしきものをはじく」「動く標的」
     ②深い仮説 「常識を否定」「新しい構造」共通性/関係性/グルーピング/ルール
     ③答えを出せる 死角的なイシューに自分の手法で

    コツ
     ①一次情報に触れる 誰のフィルターも通っていない情報
     ②基本情報をスキャン(基本を調べる)
     ③集めすぎない、知りすぎない

    イシューが見つからないとき
     ①変数を削る
     ②視覚化する       空間 順番 属性のグラフ化
     ③最終形から探る     最後に何が欲しいのか
     ④だから何?を繰り返す  仮説の具体化
     ⑤極端な事例を考える   変数を極端な値に

    仮説 ドリブン
     イシュー分析 =ストーリーラインづくりと絵コンテづくり
      イシューを分解 自分の視点を加えた型 型がない時は逆算
     ストーリーライン組み立て
      1.why並び立て 2.空雨傘
     絵コンテ
      大胆に思い切って描く
      ①軸を整理  分析とは比較すること  比較 構成 変化 原因側と結果側
      ②イメージを具体化 数字を入れる 違いの意味合いを表現 
      ③方法を明示  理解すること=複数の情報がつながること

    アウトプット ドリブン
     フェアな姿勢 いくつもの手法 回転数とスピード

    メッセージ ドリブン
     本質的 シンプル
     1チャート・1メッセージ
     軸のタテとヨコの切り口
     メッセージと分析表現の一致
     
    コンプリートワーク
     結果を生み出す  努力は評価されない
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    投稿日:2024.04.05

  • 鼻炎治した医

    鼻炎治した医

    この本の中で特に覚えているのはノーベル賞を受賞した利根川進の師匠の言葉で

    「利根川はその時に実現可能なテクノロジーのぎりぎり最先端のところで生物学的に残ってる重要問題のうち、なにが解けそうかを見つけ出すのがうまい」

    と言う答えを出せる範囲でもっともインパクトのある問いこそが意味のあるイシューであることを表現した言葉です。
    ありきたりな問いでは差別化が出来ないし、実現可能でなければ時間と手間の無駄に終わるので、イシュー設定にはこの2つの軸が重要と感じました。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.03

  • OMEGA

    OMEGA

    努力も大事だが結果が第一というビジネス社会において、成果を出す為の考え方や手法、プロセスなどが解説されている。

    投稿日:2024.03.15

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