【感想】愚者の機械学 [新装版]

種村季弘 / 青土社
(2件のレビュー)

総合評価:

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  • 世界にやさしくなる

    C・G・ユング、フロイト、ニジンスキー、アドルフ・ヴェルフリ、ゾンネンシュターン、エンマ・クンツ、オスカル・パニッツァ、カール・マイ、P・シェーアバルト、ローベルト・マイヤー。

    本書に登場する彼らのうち何人を知っているだろう。

    澁澤龍彦が『幻想の画廊』等で取り上げた人物も登場するが、
    渋沢のフランス寄りに対してドイツ寄りであるため、知っている人も少ないかもしれない。

    私も半分しか知らなかった。

    天才と狂気の狭間で、世紀末から30年代にかけて、激動の時代に狂ったような才能を完全燃焼させた偉業異彩の人間たち。パラノイアックな思考と心象を覗き込み、狂気の偉人たちを紹介している。

    しかし、こうした本がおもしろいのは、知らないからこそともいえる。

    異端の人間たちを描くことを好んだ種村のような書き手の本は、
    ほとんどが知らないことであり、知ったからとて実社会で出世できるような、
    役立ち方は微塵もしないだろう。

    けれど、人間の興味と狂気が辿り着く未来を共有することは、
    私たちをやさしくし、世界をおもしろく眺めることができる眼をくれる。
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    投稿日:2015.09.16

ブクログレビュー

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  • がと

    がと

    3/22 読了。
    十九世紀から二十世紀初頭のめまぐるしい時代を飾った心理学者、舞踏家、芸術家、文学者などアウトサイダーたちの評伝集。
    ユングが7つ年下の、しかも自分に恋している従妹を使って精神分析のキャリアをスタートさせたことにスポットを当てた「影の女」は小説的な構成で書かれており、二人が<子供たちのパラダイス>で暮らしていた日々に立ち返る最後の段落が素敵。フロイトの父は織物商を営んでいたが産業革命の煽りを受けて廃業し、フロイトは跡を継げなかったと知り、同じく織物商の父を持ったジョセフ・コーネルを思った。出来上がっている物語からパーツを切り離し、組み替え・置き換えて新しい物語を創出することにおいて、精神分析とコーネルの≪箱≫は似ていないだろうか。続きを読む

    投稿日:2016.03.23

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