【感想】ハイペリオン(上)

ダン・シモンズ, 酒井昭伸 / ハヤカワ文庫SF
(70件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
28
16
13
6
0
  • はじめはとっつきにくいのですが…

    一番はじめの司祭の物語が個人的には読みくくて「駄目かもしれない…」と思ったんですが、二章の「兵士の物語」からはおもしろくてスルスル読めました。
    登場人物たちがそれぞれ自分のこれまでの話をするんですが、時空をこえた恋人同士の話だったり、親子愛だったり、アクションであったりといろいろなジャンルの話が読めます。
    私は下巻の「学者の物語」が好きです。娘さんがどんどん若返っていってしまうお話。
    全部の話が少しずつ繋がっていくんですが、この『ハイペリオン』が四部作の一作目なので、読み終わった後に「え、謎が謎のまま…?」という箇所がたくさんあります。『ハイペリオンの没落』→『エンディミオン』→『エンディミオンの覚醒』と4作全部読読めるといろいろつながって面白いです。
    もちろん単体でも個人的にはすごくおもしろいんですが。でももし読まれておもしろいかも?と思われたら四作全部読破することをオススメします。
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    投稿日:2013.09.24

  • 惑星ハイペリオンに向かう訳あり7人の過去とは

    ハイペリオンに向かうまでの間7人が語り出す自分の過去の話によって、少しずつ惑星ハイペリオンと地球を取り巻く世界観が見えてくる。
    一人ひとりの話の中身は大変な苦労や問題を抱えててるようで、ハイペリオン巡回にも特別意味がありそう。また、広大な惑星間を移動するために低温睡眠を利用してることもあり、皆が同じ時代時間軸で生きていたわけでもなく、いくつか意味ありげなキーワードも出てくるのでページ数は気にならず一気に読めた。さまざまな伏線は下巻で解決されるのだろうか、上巻で3人の話を聞くことが出来た。続きが楽しみである。
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    投稿日:2016.02.16

  • 時間を掛けてじっくり。

    「SF愛好者の間で話題になった作品」と知って興味を持ちました。サックリ読むのは勿体無い。描写を一々映像化して時間を掛けて読むと物凄く長期に楽しめます。実はこの作品は私にとって、初めての長期間掛けて読んだ本なのです。後にも先にも試みていませんが、なぜかこの時はお昼休みの10分〜15分だけを使って読破したのです。毎日読める訳ではないし、前後は重複して読む羽目になるし、一人連載型読書かもしれませんね。半年で読みましたが、SF大河ドラマの感です。個性的な内容なので誰にでもはお勧めできませんが、流石話題になっただけの事はありましたよ。続きを読む

    投稿日:2013.09.30

  • 翻訳物だし、アッチコッチ話は飛ぶし。

    読みにくいったらありゃしないですよ。
    自分は読み始めたら最後まで読み終えないと気が済まないタチなので、
    頑張って最後まで読んだのですが、
    読み始めたことに後悔するレベルの読みにくさでした。

    読みにくい上に長い!上下巻ある!しんどい!

    ただ、読み終わって一年くらい経った今では、
    読んで良かったと思っています。
    心に深く残る、とてもとても良い物語でした。
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    投稿日:2013.10.01

  • 仮に上巻が退屈だとしても我慢我慢・・・

    あらすじにも書いてありますが、ハイペリオンという惑星に赴く7人の巡礼たちの物語です。
    巡礼の旅の合間に巡礼者ひとりひとりの過去が描かれます。
    あるものは兵士であったり、ある者は学者あったり。
    もしかしたら最初はとっつきにくいかもしれませんが、
    我慢して下巻まで読んで下さい。絶対に面白いです。
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    投稿日:2013.10.28

  • ハイペリオンの没落まで一気に読んで

    最初に読んだ時、「これ、SFなの?」と思いました。
    でも、ここでやめずに、『ハイペリオンの没落』まで読んでください。正真正銘のSF大作です。
    面白かったら、更なる続編の『エンディミオン』シリーズ(まだ、電子化されてないけど・・)も、是非!!続きを読む

    投稿日:2013.11.29

ブクログレビュー

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  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「28世紀、宇宙に進出した人類を統べる連邦政府を震撼させる事態が発生した!時を超越する殺戮者シュライクを封じこめた謎の遺跡―古来より辺境の惑星ハイペリオンに存在し、人々の畏怖と信仰を集める“時間の墓標”が開きはじめたというのだ。時を同じくして、宇宙の蛮族アウスターがハイペリオンへ大挙侵攻を開始。連邦は敵よりも早く“時間の墓標”の謎を解明すべく、七人の男女をハイペリオンへと送りだしたが…。ヒューゴー賞・ローカス賞・星雲賞受賞作。」

    「ダン・シモンズはSF作家以外にミステリーやホラー作家としての顔も持つが、現在最も脂の乗ったストーリー・テラー。博覧強記な知識を背景に、人々をとことんたのしませてくれる。そんな中でも『ハイペリオン』とそれに続く四部作は呼び声が高く、ファンにとるオールタイムSFの投票でもトップがほぼ指定席という世界。
    『ハイペリオン』は、巡礼の宇宙船に乗り合わせた7人の乗客が、目的地に着くまでの時間を利用して、順に話をするという形式。ボッカチオの『デカメロン』のような設定。」(『SFはこれを読め!』谷岡一郎著 より) 
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    投稿日:2023.12.01

  • 一条浩司(ダギナ)

    一条浩司(ダギナ)

    長門有希が読んでたやつ。枠物語の古典『カンタベリー物語』風の体裁をとっているが、中身は極めて濃厚なSF。

    28世紀の宇宙時代、巡礼という名目で7人の男女が旅をしながらそれぞれの物語を語っていく。この説明だけ見ると未来版もしくはSF版『カンタベリー物語』的なものを想像してしまう。そういった趣きもあるにはあるが、中世の多様なドラマが収録されていたかの古典に比べると、本作はガッツリとした一つの大きな物語が設定されていて、やや面食らった。枠物語の「枠」の部分――世界観のキーとなるシュライクの謎――が思いのほか濃厚で、長大なSF巨編ともいえる展開を広げるのだ。そのあたり、実質的には短篇集だった『デカメロン』や『カンタベリー物語』とは大きく異なる性質を持つ。

    とはいえ、7人がそれぞれに語る自分語りはそれ単体でも魅力のある話である上、それらが全体のSF世界における物語と絶妙なハーモニーをなして味わい深いものとなっている。旅の舞台となるハイペリオンの風景、背景の歴史、そしてシュライクの謎に引っ張られて先が気になる。SFにありがちな用語の読みにくさはありつつも、最後まで読まないと収まらない系の小説。
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    投稿日:2022.04.15

  • tokyobrainie

    tokyobrainie


    今まで生きてきてSFというジャンルを全く読んだ事がありませんでした。唯一ジャケ買いしたウィリアム・ギブスンのニューロマンサーという本を昔々読んだことがあるくらい。そしてダン・シモンズと言われても拙者デュフフフォカヌポォのコピペくらいでしか知らなかったのですが、このコロナ禍で夜遊びも出来ずクラブでDJしたり踊ったりできなくなったせいで、夜はネトフリやアマプラを観る時間が増え、そして今までほとんど観たことなかったアニメ作品を観るようになりました。免疫が無かった分、夢中になりました。中でも涼宮ハルヒの憂鬱というアニメにハマって恥ずかしながら今さらながらヲタ化、推しの長門有希というキャラクターが作中で読んでいたのを観て興味を持ち手に取った一冊でした。

    SFもアニメも全く通ってこなかったので、流行りも定番やテンプレも解らないのですが、その代わり古い作品でもオールディーズだと感じずに新鮮に感じることが出来る、という新たな発見がありました。昔のアニメの絵柄に違和感とか古さを感じない、みたいな。これは他の文芸ジャンルや実写映画などではもう感じられない新しい体験でした。

    ラノベやヤングアダルトが文芸ジャンルの入り口にしっかりと根を下ろした現代では、わかりやすくそして全てを解説説明的に書かれた作品がほとんどだと思います。しかしSFの説明されない空想の世界やアイテムや理論などを並べられて置いていかれそうになり、自分の想像力を働かせて解らない事を補完する、この行為こそが文学的な体験だと思わされる一冊でした。書いてある文章だけで完結しているのならわかりやすく映像でも良いわけですよね、そして映像は決して活字を超えられない。自分はそこにこの本とSFというジャンルの魅力を感じました。

    顔色の悪い神父、脳筋女探偵、猥雑な詩人、伝説的な英雄、赤ん坊と学者、そして名前すら明らかにならない領事…登場人物も実はとても純文学的ではないでしょうか。

    個人的に長文の自然の描写を読むのが得意ではないのですが、SFというジャンル上、自然や情景が空想である以上、描写が長くなって当たり前だと思うのですが、その点だけがちょっと辛かったです、ましてかなりの長編のシリーズ4冊なので…あと故生頼範義氏の表紙が素晴らしいのですが若干のネタバレありました。

    しかし翻訳はとても素晴らしかったです。言い回しなどに全く古さを感じなかったし違和感も感じませんでした。こんなことあるんですね、SF翻訳者のレベルは昔から高かったのか…現代アメリカ文学の翻訳者にも見習って欲しいです。ただ後書きでアツくネタバレ書くのやめてもらっていいですか…

    SFっていいですね。
    説明して欲しくないんすよ解ります?
    See you later, alligator. After a while, crocodile.
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    投稿日:2022.03.15

  • ottersho

    ottersho

    読み始め、もうなんだか意味がわからない世界の話で面くらい、一体どういう世界なのか想像することすら出来ずにひたすら読み進めていくと、ああ、なるほど、とだんだんこの世界が理解できるような気になってくる。
    後半からは、なんとか世界観に頭が追いついてくると、俄然ストーリーに面白みがでてくる。
    続きが楽しみ。
    続きを読む

    投稿日:2021.10.13

  • ysm

    ysm

    20代中盤に夏休みで3週間ほどローマを中心としたイタリア旅行に行けることになり、その時ちょうど読みはじめていたハイペリオンをシリーズまるごと詰め込んでいった。
    難解だし繋がりもわからぬままだし、きっと旅行中には読み終わるまいと思っていたのだけど、あまりの面白さに最初の10日で読み終わってしまい、その旅の間ずっと気に入ったシーンや繋がりを繰り返し読み続けていた。

    当初知らなかった、ローマに生きた詩人ジョンキーツやサンタンジェロ城の登場に素晴らしい縁を感じて旅がより楽しくなった。登場人物達がここにいたのかもしれないと思うと独り嬉しくなった。

    長編SFを読むのがはじめてだったので、途中で投げてしまわないか不安でいっぱいだったが、杞憂に終わるシモンズの小説の巧さ。
    理論がわからなくともちゃんと物語を脳に染み込ませてくれるのが凄い。

    それとアイネイアーちゃんが可愛い。
    再読ちゃんとしたいシリーズ。
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    投稿日:2021.06.21

  • sota

    sota

    ー 教会が滅びるつもりなら、それもまたよし。ただしその死は、キリスト再臨の知識に満ち、栄光に輝くものでなければならぬ。進んで減びるのではないにせよ、暗黒のなかに歩みいるのであれば、毅然とー雄々しく、たしかな信仰心をもって進まねばならぬ。

    死の収容所のなかで、核の炎のなかで、癌病棟で、ユダヤ人大虐殺のさなかで、孤独な静寂につつまれ、何世代も何世代ものあいだ、死に直面しながらも信仰心を失わず、希望こそいだかぬにせよ、これらのすべてにはなんらかの理由があるのだ、これほどの苦しみを味わい、これほどの犠牲をはらうだけの意味があるのだと祈りながら、暗黒を見すえつつそのあぎとへと歩んでいった、何百万もの先人のように。

    論理も事実も納得のいく理屈もなかった先人らが暗黒のただなかへはいっていくさいには、それこそごくごくかぼそい希望の糸と、いまにもゆらぎそうな信仰心しかなかったにちがいない。しかし、その先人たちが暗黒をまえにしてわずかな希望をつなぐことができたのなら、わたしにもまたおなじことができるはずだ…そして、教会にも。 ー

    28世紀、謎の惑星ハイペリオンに巡礼団として派遣された7人の物語。
    なぜ、巡礼するのか。旅の道中に一人一人が順番に語っていく。

    意味不明な設定が解説なしに次々に物語られ、物語の中で少しずつその意味が部分的に分かっていく。物語がだんだん立体的になり、読み進めていくとイメージ出来るようになってくる。イメージ出来るようになるともっと面白くなってくる。物語の中に読者を引き込んでいく引力が強い作品。

    続きが気になるなぁ〜。


    続きを読む

    投稿日:2019.12.02

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