【感想】影武者徳川家康(中)

隆慶一郎 / 新潮社
(45件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
21
15
5
0
0
  • 歴史解説が多く中だるみか

     封建制時代の頂点に立つ者、影武者二郎三郎が「道々の者」「自由人」とは面白いです。これで安定した君主になれるのでしょうか。二郎三郎、島左近、甲斐の六郎、風魔小太郎などが意気投合して大坂城の秀頼を守っていこうと団結していくシナリオがいいです。

     一方の徳川秀忠の描写が個人的に抱いていたイメージとは全く異なり、意外でした。小心者の無能な人物だったとは。また配下に柳生又右衛門宗矩が仕えていますが、かつて山岡荘八の『柳生宗矩』を全巻読了しましたが、それとは異なる人物描写で、これもまた意外でした。

     本作の影武者VS秀忠という構図を見るに、実際、家康と秀忠とは親子の仲があまり良くなかったんだなと推察します。時折出てくる二郎三郎とお梶の方を筆頭とする愛妾との房事がエロティックで、息抜きになって良かったです。

     ※最後に少し気になる点として入力ミスがあります。「柳生兵庫助利厳」の助が脱落とか、島左近の娘と称する「お珠」を「お珠たま」と表記など。
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    投稿日:2015.11.01

ブクログレビュー

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  • marumaruchan

    marumaruchan

    秀忠を牽制しながら着々と護りを固めていく二郎三郎。甲斐の六郎の活躍が光る。おふうの子供への愛着。同族を斬らねばならなかった柳生兵庫助の悲しみ。たくさんのドラマがありました。すごく面白いのだが、並行して起こる様々な出来事で登場人物が多勢すぎて混乱するのが難。そして秀忠があまりにも駄目駄目すぎる。下巻を楽しみに…。続きを読む

    投稿日:2023.02.15

  • saga-ref

    saga-ref

    駿府の城構えを進める二郎三郎。もはやこの巻では彼の名字を呼ぶことはなくなった。もう本物か影武者か、どちらでも良いくらいの存在感があるのだ。将軍・秀忠と柳生宗矩の暗殺計画を見事にかわす二郎三郎軍団だからこそ、さらに秀忠の怨みが増幅し、緊張感が高まっていく。計略により駿府に残置された形になった柳生忍びの殲滅作戦は、柳生の道統を継ぐ兵庫助による厳しく悲しいものだった。六郎とおふうの間に子ができた。青蛙の藤左と二郎三郎に瓜二つの伴天連・ソテーロの登場。最後は後陽成天皇弑逆の危機が出来し、下巻に続く。続きを読む

    投稿日:2021.11.30

  • ikezawa

    ikezawa

    史実や文献につなげるのには唸ってしまうけど、説明が入ると少し退屈に…
    そこを気持ちの良い傑物達のエピソードで補ってくれてる。
    家康優勢のままであるものの、下巻では時の経過が秀忠に味方していってしまうのかな…少しそわそわしている。続きを読む

    投稿日:2021.09.15

  • やらまいか

    やらまいか

    上巻に次いで中巻を。家康の影武者が家康亡き後、家康にまごう程の政治、処世をするが、話しの筋に使い過ぎではないかと思うほど忍びが登場。若干、興が削がれる。下巻の展開を期待するしかない。

    投稿日:2021.02.22

  • mutotsu55

    mutotsu55

     徳川家康の影武者として生きることになった男に待ち受けていた数奇な運命を描く長編小説の中巻。元来、自由人として生きたく専制君主を嫌っていたが、気が付くと自分がその専制君主になってしまっているという皮肉。そして、いつ狙われてもおかしくない生命。しかし、この男には一つの目標があった。それは関ヶ原合戦後の太平の世を築くこと。そのためには権力闘争に身を置き、自分の治世を実現するしかない。この男の生きざまに触れたかつての敵である島左近、箱根に結界をはる忍びである風魔小太郎の協力を得て、2代将軍秀忠、その指図で動く剣の達人集団裏柳生との権謀術数をめぐらせた闘争に進んでいく。続きを読む

    投稿日:2021.01.15

  • ashisas

    ashisas

    このレビューはネタバレを含みます

    上巻の最後に征夷大将軍の地位を得た徳川家康こと、影武者世良田二郎三郎。
    この中巻では自らの命を守るため、堅固な砦となる駿府城を建てつつ、箱根山に拠点を持つ風魔衆をも引き込み、徐々に盤石の態勢を敷いていく。資金面では日本各地の金銀山を家康直轄とし、さらに南蛮貿易にも手を伸ばすなど、やることなすこと抜け目がない。さらに側室との間に子どもも次々と生まれ、「徳川家康」という実在の人物の実際の活動を下敷きにしており、うちいくつかは創作であるとは分かっているものの、これだけのことを60歳過ぎてから成したのか、と驚嘆せざるを得ない仕事ぶり。

    家康の影武者を主役に置いている関係上、対立軸として上巻で既に馬脚を現している二代将軍、秀忠がとにかく卑劣で酷薄非道な小者に描かれているので、実際にどんな人物だったのか何度か確かめたくなるほど。上巻でも思ったが、この作品に書かれていることが真実なのではないかと錯覚するような場面も多々あり、小説としての密度の濃さを堪能できる。

    この巻からはキリシタンや外国人も重要なアクターとして多く出てくる。彼らの考え方と世良田二郎三郎の信念とがリンクするあたりも読み応えあり。本筋も脇道も含め、楽しめる場面は数えきれない。

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    投稿日:2019.04.07

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