coffee.breakさんのレビュー
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軍師の門 上
火坂雅志 / 角川文庫
教科書に沿った時代背景
6
上巻下巻の二部構成。歴史小説としては読み易い部類に属していると思います。時代背景も教科書通りの展開で分かり易くて良かったです。竹中半兵衛の稲葉山城乗っ取り事件から物語は始まっています。そして早世した…半兵衛のポジションを官兵衛が取って代わり、織豊政権下で知恵を出します。秀吉の天下取りの第一歩となった有名な”中国大返し”は官兵衛の入れ知恵。余りに頭が切れることで後に秀吉から敬遠されるほどに成長!。
軍師というよりは知恵達者に近い感じです。大軍にものを言わせて圧倒するのではなく、事前の調略により戦わずして城を取るという戦法は半兵衛を意識したものかと。自ら隠居するまでの永き歳月に亘って秀吉に知恵を与え続けた男としては充実した人生でした。テレビの長時間時代劇ドラマの原作にもなりました。 続きを読む投稿日:2013.10.12
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のぼうの城 上
和田竜 / 小学館
映画作品もレンタル視聴しました。
3
上巻下巻の全二巻構成。歴史小説ですが、文章は平易な記述で読み易かったです。時代背景は豊臣秀吉の小田原征伐。その支城となっている”忍城(おしじょう)”を秀吉配下の三武将が開城を求めてやってきます。ここ…に”のぼう様”と呼ばれるおバカな城代家老、成田長親のとんでもない対応ぶりに笑ってしまいました。印象に残った描写は小舟の上でのぼう様が踊る田楽踊り。この部分を実写で見たくて映画作品をレンタル視聴しました。 続きを読む
投稿日:2013.10.11
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風林火山
井上靖 / 新潮社
諏訪の由布姫、川中島の戦いと勘助の死
3
過去、テレビドラマの原作になった作品。ページ数に物足りなさを感じますが、終盤に出てくる川中島の戦いの描写にはのめり込みました。冒頭、山本勘助は姑息な手段で武田家へアプローチしますが、終生お屋形様に仕…え、ぞっこん惚れぬいていたようです。好色にも見える信玄公と、諏訪の由布姫に絡む政略に、間に挟まれ苦労します。
終盤、宿敵上杉謙信との川中島での激突。勘助考案の”キツツキ戦法”も謙信には通用しなかったというか、謙信公も流石軍略家として聡明だったのだと感心しました。無念、勘助は討死しました。 続きを読む投稿日:2013.10.12
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親鸞(しんらん)(上) 【五木寛之ノベリスク】
五木寛之 / 講談社文庫
浄土宗と真宗の違いは?
2
上巻下巻全二巻の構成。私事、実家が浄土真宗なので、宗派の説明本を読みたかったのですが、開祖である親鸞の人物像に迫ってみるのも宜しかろうと、この本を選びました。でも、やはり文学ですね。個人的には高僧で…堅苦しい御仁のお話かと思っていましたが、ごく普通の煩悩だらけの人だったとは意外でした。ちょっとサスペンス仕立ての場面などもあって、楽しめました。
自分ではこれまでに無い、かなりのスピードで読み耽ってしまいました。法然に弟子入りし、そこから浄土教とどこがどう違う宗派になっていったのかが分からないまま終了しているのが残念でした。 続きを読む投稿日:2013.10.12
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へうげもの(1)
山田芳裕 / モーニング
変わったタイトルだったので・・
2
『へうげもの』という、一風変わったタイトルのコミックだったので、興味本位で試にダウンロードしました。時代背景も織田信長から羽柴秀吉という織豊政権下での茶道を通しての所謂、”数奇者(すきもの)”にひた…走る古田左介の出世話のようです。実は恥ずかしながら今のところ第六巻までしか読んでいません。ちょっと停滞しています。
これまでで一番衝撃的で驚いたのは、秀吉が信長の胴体を真っ二つに斬るシーン。これが本能寺の変です。離れた胴体が再びくっ付いて、信長の腹から出る血を自ら茶碗に注いで秀吉に呑ませるというところ。話によると、この『へうげもの』って、結構人気のあるコミックのようですね。 続きを読む投稿日:2013.10.12
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毛利元就(2)
山岡荘八 / 山岡荘八歴史文庫
学者肌で倫理観の強い国主像か
1
元就は3人の子宝に恵まれます。嫡子である情の隆元を筆頭に、二男は勇の吉川元春、三男は知の小早川隆景として毛利家をサポートします。毛利家の教えでもある”三本の矢”も、本作で正しく知ることが出来ました。…
私事、事前期待が大きかったのか、山岡節はあまり発揮されていないように感じました。資料が十分に得られなかったのか、作者の感情移入が少し浅いような気がします。
さて、元就は先ずは尼子氏攻略に知恵を絞ります。何せ軍勢の数では明らかに不利は明々白々。これを如何にして敵にダメージを与えるかということ。嫡子隆元を大内氏へ人質に出し、尼子3万の兵に対し、僅か500の兵を車掛りの戦法で大軍のように見せかけ、援軍大内氏をこれまた上手く活用して加勢させます。頭脳明晰に加え、世間の辛酸をなめつくした長者の知恵が発揮されます。
終盤は毛利元就、屈折46年の長きに亘って忍んできたハングリー精神が発揮されます。「一介の土豪では終わりたくない・・」と。大内氏の内部統制の弱さに目を付け、内部崩壊を目論見ます。以前から山口に送り込んである元就配下の間者、成田小五郎とその妻を装う堺の間者、於仙。思惑は異なるも目的は同じということで同居するふたり。彼らの活躍は蟻の一穴の如く、大内氏の屋台骨を揺さぶっていきます。大内勢2万の大軍に対し、毛利勢4300。これが厳島神社を舞台とする、人を食ったような作戦が滑稽で、ここだけは笑ってしまいました。尼子氏に付いての結末には触れておらず、別途ネットで調べて捕捉しました。 続きを読む投稿日:2013.11.30