【感想】赤ひげ診療譚

山本周五郎 / 新潮社
(92件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
39
30
16
2
0
  • 黒澤映画の原作、原作はやっぱり素晴らしい!

    黒澤映画の大ファンなんですが、この本はおろか山本周五郎氏の本も一冊も読んだことがありませんでした。

    映画は三船敏郎の圧倒的な存在感と加山雄三の初々しさがとても印象的な作品で日本映画屈指の名作なんですが、あたりまえの話し、原作も素晴らしい!

    映像のイメージにとらわれることなく読めました。これは著者の圧倒的な筆力だと思います。

    今、流行りのエンタメ小説にも負けないエンターテイメント性、それでいて今の小説には少なくなった含蓄の深さを感じさせる小説でした。
    人生を生きて行く上で、「あっ!この文章大事だ、線引いとこう!」そんな箇所がいくつもあり、まさに人生の参考書になります。わくわくする参考書なんてないですけどね。

    小説と映画、どちらも名作。
    そんな数少ない作品ではないでしょうか。


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    投稿日:2014.11.03

  • 心にしみる作品

    長崎で医学の勉強をして江戸に帰ってきた若い医師の保本登は、小石川養生所で見習い医として働くことになります。幕府の御番医になるつもりで長崎へ遊学した彼には、「養生所」の勤務はとても不本意なことでした。そんな彼は、医長である「赤ひげ」に対し反抗的な態度をとります。しかし、「赤ひげ」の患者への接し方をまじかで見るうちに、次第に赤ひげに引き付けられ、「医」というものを真剣に考えるようになり、医師として人間として成長して行きます。
    8編からなる短編集の形式をとっていて、ひとつひとつの話が独立していながら連続性がある小説です。
    なんて表現したら良いかわかりませんが、一つ一つのお話が、隙がなく、心にしみる作品だと思います。
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    投稿日:2015.12.29

ブクログレビュー

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  • りょざらし

    りょざらし

    自分のボキャブラリーがないのもあるが少し読むのがしんどい作品でした。
    個人的にあまり好きではないです。
    ただ医療界に進むものとして患者との関わり方そういったところは見習っていきたいと思いました。

    投稿日:2024.03.16

  • 鴨田

    鴨田

    大長編「樅ノ木は残った」しか読んでなかったので、有名な「赤ひげ」を読んでみた。
    赤ひげ先生と見習い医保本登の関係がよい。

    投稿日:2022.10.01

  • じゅう

    じゅう

    山本周五郎の連作時代小説『赤ひげ診療譚』を読みました。
    『寝ぼけ署長』、『五瓣の椿』に続き、山本周五郎の作品です。

    -----story-------------
    給与は最低。
    昼夜のべつなくこき使われる。
    けれど“赤ひげ”先生こそ本物の医者だ!

    幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長・新出去定の元、医員の見習勤務を命ぜられる。
    不本意な登は赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。
    傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く医療小説の最高傑作。
    -----------------------

    文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1958年(昭和33年)3月号から12月号に連載された作品… 江戸時代中期の小石川養生所を舞台に、長崎で修行した医師・保本登と、実在した江戸の町医者・小川笙船(おがわ しょうせん)をモデルとする「赤ひげ」こと新出去定(にいできょじょう)を主人公として、患者との葛藤を描いたヒューマンストーリー8篇が収録されています。

     ■狂女の話
     ■駈込み訴え
     ■むじな長屋
     ■三度目の正直
     ■徒労に賭ける
     ■鶯ばか
     ■おくめ殺し
     ■氷の下の芽
     ■解説 中田耕治

    小石川養生所の“赤ひげ"と呼ばれる医師と、見習い医師との魂のふれ合いを中心に、貧しさと病苦の中でも逞しい江戸庶民の姿を描く、、、

    幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる… 貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。

    傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作……。

    若き医生・保本が医師として、人間として成長する姿を描いた物語なのですが、師である赤ひげも完ぺきな意思ではなく、自分の力の及ばないことに悩みながら怒りながら奮闘するんですよね… そのあたりのバランスが良くて愉しめましたね、、、

    そんな中でイチバン印象に残ったのは、オープニングを飾る『狂女の話』ですね… 保本が絶体絶命の危機に陥りますが、危ういところを赤ひげに助けられるミステリ仕立ての展開、オープニングに相応しい内容でしたね。

    泣きそうになったのは『鶯ばか』ですね… 貧困の辛さ、悲哀、生きていることの意味等々、考えさせられるエピソードでした、、、

    一家心中で助けられた母親が語る言葉、

    「子供たちは死んでくれました、うちの人とあたしの二人なら、邪魔されずにいつでもどこでも死ねますからね、子供たちが死んでくれて、しんからほっとしました――こんなことを云っては悪いかもしれませんが、どうしてみんなは放っておいてくれなかったんでしょう、放っておいてくれれば親子いっしょに死ねたのに、どうして助けようなんてしたんでしょう、なぜでしょう先生」

    「生きて苦労をするのは見ていられても、死ぬことは放っておけないんでしょうか――もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょう、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか、そういう望みが少しでもあったんでしょうか」

    胸がつまされて、何て答えて良いかわからないですよね… 示唆に富んだ作品でした。


    以下、主な登場人物です。

    新出去定(にいで きょじょう)
     主人公。通称「赤ひげ」。
     小石川養生所の責任者である壮年の医師。

    保本登(やすもと のぼる)
     もう一人の主人公。
     長崎で医学を学び江戸へ戻ってきたばかりの青年医師。

    森半太夫
     小石川養生所の見習い医師。
     生真面目で、新出を尊敬している。

    お雪
     小石川養生所の賄所で働く。森を慕う。

    津川玄三
     小石川養生所の医師。登と入れ替わりで養生所を出る。

    保本良庵
     町医者。登の父。

    保本八重
     登の母。

    天野源伯
     公儀の表御番医。ちぐさ、まさをの父。

    天野ちぐさ
     登の元許嫁。

    天野まさを
     ちぐさの妹。

    おゆみ
     狂女。小石川養生所にて隔離されている。

    お杉
     女中。おゆみの世話役。

    竹造
     小石川養生所の小者。
    続きを読む

    投稿日:2022.08.06

  • 大一大万大吉

    大一大万大吉

    山本周五郎全集11
    長崎遊学から戻り、御目見医になると思っていた保本登が連れてこられたのは汚らしい貧民に医療を施す小石川養生所。
    戸惑いながらも医員見習いとして赤ひげと呼ばれる新出去定に仕えるうちに世の中の底辺に生きる貧民の生きる姿や本当の善と悪を知り、医は仁術ということを学んでゆく秀逸な物語。続きを読む

    投稿日:2022.02.20

  • べすこ

    べすこ

    「話を聞いてこい」という去定。身体ばかりではなく心の病もある。
    「いま富栄えている者よりも、貧困と無知のために苦しんでいる者たちのほうにこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、本来の希望が持てるように思えるのだ」@去定。「もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょうか、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか」@おふみ。
    江戸時代の設定ですが、程度は違えど今の時代でも変わらないような気がします。
    続きを読む

    投稿日:2021.07.04

  • cinejazz0906

    cinejazz0906

    徳川幕府の施療院 「小石川養生所」の〝赤ひげ〟こと新出去定(ニイデキョジョウ)に反抗心を抱く、長崎遊学から江戸に戻った見習医員・保本登(ヤスモト ノボル)が、身分格差と貧困に喘ぐ最下層の男女に触れ合う〝赤ひげ〟の強靭な精神力で説得する姿を見て学び、成長していく8篇の連作小説です。 やがて〝赤ひげ〟を師と仰ぎ「小石川養生所」に骨を埋める決心をするまでの、魂のふれあいにこころ揺さぶられる山本周五郎の代表作です。続きを読む

    投稿日:2021.05.30

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