【感想】熊の場所

舞城王太郎 / 講談社文庫
(96件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
24
33
29
3
0
  • 振り返ると、不思議ないい話。

    正直、読んでいて「面白いなあ」と思うような本ではない。だけど、なぜかよく思い出す。寓話と言ったほうがよく、折にふれて役に立つ観念を教えてくれる。

    投稿日:2013.09.26

ブクログレビュー

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  • きりしき

    きりしき

    それぞれのエピソードでテーマらしきものがあるが、どれもあんまり私には刺さらなかった。各エピソードのテーマは「怖いことのあった場所にはすぐに戻るべし」「弱者が弱者として維持されているシステムが世界にはある」「自身の選択によって世界を変えられる」みたいな感じだろうか。
    最後の「ピコーン!」は、胡乱な殺人事件と謎解き、と純粋性と愛といったテーマがあり、初期の舞城作品とその後の舞城作品の架け橋になる作品ではあったと思う。
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    投稿日:2023.07.24

  • まえかな

    まえかな

    小川哲の「君のクイズ」に「熊の場所」が出てきたからどうしても読みたかった。サイコパス感強めだけど、恐怖を取り去るためにその場所に戻るという話はよくわかる。
    「バット男」も気持ち悪い話だったけど、チョー刺さった。薄気味悪い社会のシステムを傍観し続ける語り手に共感してしまう。
    「ピコーン!」は馬鹿馬鹿しいことばっかり言っているけど、やっぱり刺さる。なんだかんだで愛が深すぎる。こんなに変な内容で愛を描けるのは、舞城王太郎にしかできないと思った。好き。
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    投稿日:2023.04.16

  • IT坊や

    IT坊や

    このレビューはネタバレを含みます

    久々の舞城。
    エキセントリックでサイコ、それでいて最高な青春小説としての爽やかさを持っているのが舞城作品だと思います!
    まー君との奇妙な関係とか、フェラチオのチョコちゃんとか、共感は全然出来ないくせに、なんだか胸が熱くなる。この読み味が堪らない。
    相変わらず、句読点ガン無視の文章とか、クスッと笑える語彙やツッコミとか、舞城独自の文体は癖になるなぁ。マックをむしょーに食べたくなる感覚と似てる。読む麻薬。

    ・不安をすぐに取り去らなければという信念は非常に分かる
    ・猫のお化けとか、解かせる気のない見立てとか、普通反則なんだけど、舞城なら許せる。てかカモンという感じ
    ・バット男のNTR要素きつかった。「割りを食いたくない」「犠牲になりたくない」「バット男になりたくない」というのは本当に共感できて、さらにきつかった。軽くトラウマだけど、それだけ力のある作品
    ・西暁の方言(福井弁?)好き

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    投稿日:2021.03.23

  • naoponhon

    naoponhon

    舞城王太郎4冊め!
    けっこう重い話を軽くポップに描いてて
    舞城王太郎ワールドな感じでした。
    3つの短編、どれもおもしろかった。
    最後の「ピコーン」はスピード感すごいし
    色々すごいし突っ込みどころ満載で
    うけた。
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    投稿日:2019.08.01

  • mochioka

    mochioka

    不思議と引き込まれる相変わらずの舞城作品。表題作がよかった。恐怖を感じた場所に戻ることで恐怖を克服する。

    投稿日:2017.10.17

  • コノハ

    コノハ

    このレビューはネタバレを含みます

    (表題作について)
     小学生の「まーくん」が猫のしっぽを千切って鞄に入れているという開幕早々戦慄の走る話だが、読んでいくと「まーくん」が普通に笑うどこにでもいる小学生という事実に行き着く。気味悪がっていた主人公は、一緒に遊ぶようになり、理由はどうあれ彼を庇うまでになる。子ども時代の楽しい生活は虫を潰しても何も感じないような残酷さをはらんでいる。その意味で、主人公はあくまで普通の小学生なのだろうし、まーくんも異常と呼ぶほどのものではない。虫を潰さず猫を潰していただけだろう。
     もちろん、大人になってもそれでは異常な奴として扱われるのは仕方ない。子どもというのは、互いに少しずつ異常なものを持っており、友人間でそれを見つつ見せつつ、嫌悪感を抱いたり惹かれたりしながら、それこそ熊の場所に向かうように、自分をつくり上げていくものなのかなぁと感じた。

    (バット男)
     主人公は、一組の男女である大賀と梶原が織りなす破滅的な共依存的恋愛関係を観察する傍観者。一応相談に乗ったりしているが、やっぱり傍観者的。・・・いや、それより余程たちの悪い存在かも知れない。
     大賀と梶原みたいな破滅的な関係なりキャラクタは、小説として読んでいると非常に面白い。自分は歩まなかった人生であり(←これはどの小説にも言えることだが)、そうならなくてよかったという安心感と、デンジャラスな人生を歩んでいることへの憧憬が同時に降り注ぐ。太宰治の『人間失格』とか、西村賢太の私小説作品群とか。
     主人公も、そんな気分を味わっていたのではないだろうか(p.150「あっち側の自分」とか)。ただ、主人公にとっての二人は、私にとっての小説でなく、リアルな友人である。にも拘らず、それに『人間失格』を求めたらどうなるか。二人への助言を通じて、人生を操れる立場にいたらどうか。破滅的な愛なり依存の物語を、他人を使って味わってはいないか?梶原の浮気について大賀に伝えなかったのは、そうした隠れた意図に基づいた行動ではなかったか?
     変な読み方かも知れないが、これは自分自身思い当たる節があったからだ。助言という道具を使って自分では到底選ばないような選択肢を相手に強いて、相手の苦悶する表情を小説を読むように楽しんだ経験があるからだ。
     ただし、他人事だからこそ、踏み出しにくいけど良い選択肢を推せるというメリットもあるといえばある。その危険な選択肢をそろそろ自分に課す時が来ているのかなと、この短編を読んで感じてしまった。単なる破滅への憧憬なのかもしれない。

    (ピコーン!)
     昨今ワイドショーを賑わす愉快犯というか理不尽な暴力や殺人。「誰でもよかった」「人を殺してみたかった」などなど。分からないものは怖いものだが、主人公「チョコ」はそれをブルドーザーの如く押しのけていく。恐怖はあり感傷もあるが絶望は無く、生命力をエネルギーにしてゴリゴリと進んでいく。一般的な小説と比べて明らかにノリがおかしいのだが、描かれていることは至極真っ当だし、さわやかですらある。

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    投稿日:2016.08.08

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