【感想】あなたへ

森沢明夫 / 幻冬舎文庫
(145件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
49
60
20
2
1
  • またファンになりました

    余命いくばくかの妻が病床、主人公に遺書を遺した。
    それがちょっと変わった遺書で。
    妻のたっての希望で、主人公は妻の生まれ育った郷里の郵便局までその遺書を遠路はるばる車を運転して取りに行く、また妻の遺骨を散骨しに行く。
    その道中必然的な運命の数々の出会い。

    病床の妻のために中古でキャンピングカーを買い、妻が乗りやすいようにコツコツと内装を自分でこしらえたが、その甲斐なく亡くなった妻。その車で薄香まではるばる旅をするのだけれど、その妻が一緒に旅をしているような、切ない、けれど温かい気持ちになった。
    目に浮かぶ田舎の情景や食べ物の香り、物売りの声などが臨場感あふれる彼の作品に、早く読み終えたい、けど読み終えるのが惜しいと思ってしまった。
    私もこの妻のように、してみたい。残された大切な人のために
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    投稿日:2015.02.02

  • もう一度映画を観たくなる

    高倉健主演の映画で、数年前にケーブルテレビで観ました。
    妻の遺書から始まる旅と様々な出会いが奇跡的に誰かに繋がっていく・・・派手さはないけれど何か心に残っていました。
    森沢明夫の小説だったのかぁ・・・森沢明夫の小説を元にした映画だったら、あんな感じも納得だなぁ・・・読んでみようか・・・と思い購入。
    (偉そうに言ってますが、森沢明夫の小説は他にあと1作しか読んだことがないんですが)

    読み終わるまで、小説が映画の原作と思っていましたが・・・・、何と!映画が原案と最後に書かれていました。
    以前にも、ドラマからノベライズ化した本を原作と思って購入して、読んだことがあり、その薄っぺらさ、おもしろなさに辟易したことがありました。
    これは、そういうところが全くありません!
    こっちが原作かと思ってしまうくらいでした。そういう驚きで、星5です。

    文中の人物が主人公と出会うたびに、映画の出演者とそのシーンが思い出されたのですが、
    それも当然といえば当然だったのです。逆に出演者が思い出されるほど、文章がうまいのでしょう。
    偶然の出会いが奇跡と化していく瞬間・・・。人生のつまずきなどと思っている些細なことから自分を解放するような旅を、
    全くの偶然ではありますが、妻からプレゼントされた主人公。その結果、出会った人々とそして主人公は、自分と未来を変えていくことになるでしょう。
    つらいけれど、前向きになれる・・・そんな物語です。
    私には映画の終わりが、あまり記憶に残らなかったのですが、小説は、妻の思いが伝わってきて映画よりも良かったくらいです。

    もう一度、映画が観たくなりました。
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    投稿日:2016.05.05

  • 人生に賞味期限なし

    映画を見終えたあとに小説も読んでみたくなり、おもわずと手にした一冊です。期待を裏切らない作品に仕上がっているように思いました。

    亡き妻の残した二通目の遺言を、遠く長崎で受け取るために富山から車を西に走らせる主人公の英二。その道中での一期一会のような巡り会い。

    だが、それは偶然にして奇跡としか言いようのない出会いだった。そして、巡り会った人たちが抱える、決して軽くはないであろうそれぞれの人生に触れながら、英二の旅は続いてゆく。

    山頭火は自分も心震わす大好きな俳人なのですが、この物語の進行のなかで山頭火の俳句が適所に散りばめられています。この演出が、より一層とこの作品を味わい深いものにしているように感じます。

    人生に賞味期限はない。人生の折り返し地点は過ぎたであろう自分も、これからの人生はしっかりと味わいながら歩んでゆきたいと思わせて頂いた作品です。
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    投稿日:2013.09.25

  • 夫婦愛に感動

    最後の、長崎で受け取った妻から夫への手紙を読んで泣いてしまいました。
    お互いを思い合う心に涙が出ます。
    途中途中にぐっとくる名言もあり、おすすめです。

    投稿日:2013.10.05

  • 映画よりもいいかもしれません。

    映画を見る前に読みました。

    これを読んでから映画を見ると、設定部分が相当にはしおられているので、
    健さんを想像しながら、原作本を先に読まれることをおすすめします。

    投稿日:2013.09.24

  • 自分と未来は変えられる

    竹田城(たけだじょう)は、現在の兵庫県朝来市和田山町竹田にあった山城。天空城や 日本のマチュピチュなどの異名をもつ。
    城内には桜の木が多く植えられていた。春のシーズンともなれば、満開の桜と雄大な眺望をあわせた桃源郷のような光景が展開されるに違いない。
    私たちは、ふうふう言いながらも、大手虎口から北千畳、三の丸、二の丸と石段を登り続け、ようやく本丸天守のすぐ下にまで辿り着いた。
    天守へは階段ではなく、丸太で組んだ梯子をよじ登っていくのだ。
    本丸から、南千畳を見下ろした。そこは石垣に囲まれた、広々とした緑の広がりだ。

    他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる
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    投稿日:2013.09.29

ブクログレビュー

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  • つき

    つき

    これは。映画館で映画で観たいお話。
    主人公だけでなく、道中会う人の人生、生き方についても思いを馳せたくなる。

    投稿日:2024.01.27

  • planets13

    planets13

    狙いがあからさまなだけに安心して (?) 読んでいられる。まぁ、「それもよからう草が咲いてゐる」から。

    投稿日:2023.12.24

  • ほげ

    ほげ

    森沢明夫さんの本を初めて読みましたが、文章がとても読みやすく、内容がスッと頭の中に入ってくる感じで読み触り最高でした。読みやすいのもあってか、登場人物の心の動きがもろに伝わってきて、感情移入しやすかったです。
    物語からは相手を大切に思う人の愛情を感じて、心温まりました。
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    投稿日:2023.12.05

  • にしやん

    にしやん

    亡くなった妻の洋子さんの遺言を求めて自家製のキャンピングカーで旅に出た夫の英ニさんに待っていた偶然と呼ばれる数々の人との素敵な出会いによる様々な出来事やその時々の心境等も鮮明に描かれております。
    終盤の洋子さんの散骨、門司港での南原さんへの報告、洋子さんから英ニさんへの3枚の手紙のシーン「あなたへ」のたった4文字に込められた想いも考えると感慨深く、涙が溢れました。
    「他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる」「人生には賞味期限はない」
    洋子さんのこの言葉が心に刻まれました。二人の夫婦愛も素敵であり、感動作です。
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    投稿日:2023.12.03

  • ryomasanori

    ryomasanori

    再読。映画の脚本を森沢さんが小説にした作品。亡くなった奥さんの遺言で奥さんの故郷の海へキャンピングカーで散骨しに行く途中に出会った人々とのつながりや夫婦の絆が丁寧に描かれている。高倉健さん主演の映画も感動したが、小説の方も心を揺さぶられるステキな作品だった。登場人物一人一人が何かしらの問題を抱えながらも前向きにあたたかく描かれているのもよかった。奥さんの2通目の遺言を読んでいて涙があふれてきてしまった。短い言葉だが「あなた」という3文字の言葉がとてもステキな言葉に思えた。倉島と奈緒子の「他人の厚意は?」(奈緒子)「受け取るべき、でしたね」(倉島)「正解です」(奈緒子)のやり取りもおもしろかった。小説の中に出て来る風鈴の音、シャボン玉、種田山頭火の句も印象的。小説の中に出て来る宮沢賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」をYouTubeで高畑充希さんが歌っているのを聴いてみたら、とても優しい歌で心があたたかくなる心に沁みる曲だった。

    心に残った言葉
    ・「一瞬」と「永遠」は、時計で計れば大きな差が出るが、人の想いで計ればイコールで結ばれることもあるのではないだろうか。(倉島)
    ・「我々も蔓草になっちゃ駄目なんですよね。蔓草ってのは、絡む木がないと枯れてしまう存在ですから。我々はしっかりとした木になって、根を張って、自分ひとりの足で立って、周囲に蔓草がいたら幹も枝も貸してやり、生かしてやる。そういう人間じゃないとね」(杉野)
    ・「他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる」(洋子)
    ・「人生には賞味期限がない」(洋子)
    ・「偶然のいい出会いっていうのは素敵なことが起きる予兆で、それが三つ続いたときに、驚くような奇跡が起きるー」(洋子)
    ・もしかすると、この世のすべての事象は
    「自分がソレのどこを見るか」だけで、がらりと変わってしまうのかもしれない」(倉島)
    ・ただ裸足になってドアの外に一歩出るだけで、世界はこんなにも違う。こんな小さな一歩で、世界も、自分も、変えられるチャンスは生じるのだ。たったの一歩。ゼロではなくて、一歩。その差は、無限に等しいくらいに大きいのかもしれない。(倉島)
    ・命とは、時間のことだと。だから私は、残された時間を大切にする。時間を大切にするとは、命を大切にすることなのだ。(倉島)
    続きを読む

    投稿日:2023.10.19

  • pokke

    pokke

    サプライズがなくても、特別な何かが起こらなくても、愛する家族がいて、平穏な日が、また明日も訪れる毎日、それが幸せなんだな…って思えました。「他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる。」また本を読むことで、素敵な言葉に出会えました。続きを読む

    投稿日:2023.10.06

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