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コンラッド, 中野好夫 / 岩波文庫 (36件のレビュー)
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暗黒大陸の持つ闇
船乗りマーロウはアフリカの奥地の出張所にいる象牙採集人クルツの存在を知る。しかし連絡を入れようにも音信が途絶えてしまう。クルツの救出へと向かうマーロウ。しかしその前にはアフリカの原生林が死と闇を秘めて…待ち受けていたのであった・・・。簡潔なあらすじはこんな感じです。 作者本人もコンゴに行ったことがあるそうで、内容は詳細でリアルです。当時暗黒大陸と呼ばれていた、アフリカ大陸の奥を垣間見れるためにこのような題名になったそうです。暗黒大陸に存在する原生林の闇、そして人の闇(奴隷や差別など)。それらを詳細に記した本です。一種の歴史本や冒険小説として、または洞察に優れた小説としても楽しめます。続きを読む
投稿日:2013.10.16
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パリの雨音
象牙を採りまくられた象たち。テムズ川から出航しアフリカ大陸の闇の奥には、クルツがいたが、このもと音楽青年のクルツは、その暑さや湿気、病気などにやられて、その恐怖ゆえに人格をかえ、その土地の王様のように…なっていた。しかし故郷では恋人がそうとも知らずに信じて待っていた。マーロウはそれをつたえきれずに、ただテムズ川でそのことを語る。舟が行く中で、美しいもやや霧がもう一つのロンドンを空想させる。続きを読む
投稿日:2023.11.15
太田豊太郎
難しかった。クルツは声や言葉が優れている描写だったので神を象徴しているのかと思いつつも、やってることが残忍だったり象牙の亡者だったりするのでやっぱり違うか、と思ったり。マーロウが語る形式で、頭に入って…来づらかった。続きを読む
投稿日:2022.12.13
mamo
「地獄の黙示録」の元ネタとして有名な(?)コンラッドの「闇の奥」。 いろいろなところで言及されたり、分析されたりすることも多いので、なんとなく知っている気になるが、ここは一応読んでおこうということで…。 なんで、そんな気になったかというと、ここ数年、全体主義について調べているところなのだが、アーレントの「全体主義の起源」の第二部の「帝国主義」のなかで、「闇の奥」についての分析があったからかな? という流れなので、読む視点がどうしてもアーレントの読解に引っ張られるわけだが、それにしても、これはなんだかディープな本だった。 設定としては、マーロウという船乗りが、船が停泊しているなかで、仲間に自分の体験を物語るという体裁をとっているのだが、読んでいて、誰が誰だか、わからなくなってしまう複雑さがある。 訳文も1958年のもので、原文をしっかり訳そうとしているのか、かなり読みにくい感じ。なかなか、話の筋がわかりにくい。(もう少し、新しい訳を読めばよかった) この難しさはたんに訳文のせいだけではないはずで、まさに「暗黒大陸」アフリカの奥にむかって、川を遡行していくにあたって、なにがなんだかわからないことがどんどん起きて、悪夢のなかに迷い込んでいくような物語そのものの構造からやってくるのであろう。 なんだかよくわらないにもかかわらず、かなり衝撃的な本だった。(読みにくかったのには、最近、わたしが小説をほとんど読まないということも関係しているかもしれない) アフリカの奥地、闇の奥(Heart of Darkness)に入ることによって、理性と非理性の対立、文明と原始との対立が浮かび上がるとともに、人間の心の闇(Heart of Darkness)に分けいっていくことが主題なんですね。 と言っても、これは19世紀のヨーロッパ人の社会的な構築の文明観なんだけど。 アーレントは、「帝国主義」のなかで、ヨーロッパの植民地経営のなかで、人種主義的な暴力が蔓延していったことが、人の命を軽くみてしまう感性を生み出したこと、そして、ヨーロッパで余計ものになったいかがわしい人々が植民地に行って、傍若無人な行為をおこなっていたことが「全体主義」を生み出す一つの要因になったとしているが、まさにそのあたりの分析を裏付ける本だな〜。 「裏付ける」と言っても、これは小説であって、歴史家には、アーレントの論立ては、まったく許し難い論理であろうけど、アーレントは客観的な事実というより、主観的、心理的な経験というところから、全体主義的な暴力の一面を描こうとしていたんだなとあらためて納得した。 もうちょっと新しい翻訳で、再チャレンジしてみたい。続きを読む
投稿日:2022.08.09
Sadahiro Kitagawa
中学生くらいのときに、地獄の黙示録の原作を読みたくて300円で買った本。懐かしい駸々堂のブックカバーのまま、40年寝かせて今頃読んだ。 主人公マーローが、アフリカの奥地にいるクルツを連れ戻すように会社…に命令され、地獄のような光景を見ながらコンゴー川を遡って行く。 地獄の黙示録が好きな人ならきっと気にいると思う。 続きを読む
投稿日:2021.07.22
saigehan
マーロウという青年が一旗揚げるつもりで未開の地におりたつ。 白人が黒人を使い、象牙で儲ける。あれ、勝手にやってきた白人がなぜ勝手に元々住んでいる人を顎で使い、(金なんて払ってないんだろう?)利益も自…分達の物に。あれ、色々おかしいぞ。 出会う人出会う人、「クルツって奴はドープな奴だぜ」みたいなことを言う。本人に会ってみると、死に際で、まさに死に水をとるはめに。 その瞬間に主人公は何かを悟ってしまう。そしてその説明なし。多分作者しか理解してないし、全世界の人間がおあずけをされている。続きを読む
投稿日:2019.09.12
karasu10281028
船乗りのマーロウが、船上で仲間たちに昔話を語るところから物語は始まる。マーロウの話し言葉で物語は進み、時折、船上の仲間たちの視線も描写される。マーロウと言うのは作者の分身で、この作品は自伝的らしい。… マーロウは貿易会社に入りアフリカへ行く。それも、何だか誘われるような行動で、白鯨のイシュメールを思わせる抗えない磁力を感じる。アフリカでは黒人が持ってくる象牙を薬莢やガラス玉と交換していた。ここで黒人はかなり搾取されていたことが分かる。文明の対立がある。 仕事仲間から、ある男の話を聞く。それがクルツという人物で、彼はジャングルの奥の出張所で暮らしていて、非常に優秀で天才だと聞かされるのだ。マーロウの中でクルツという存在が、どのように大きくなっていったのかはよく分からない。話を聞くうちに、まるで尊崇するかのような気持ちになっている。クルツに会って、クルツが死んでからも、彼のことを一番知っているのは自分だと思っている。これは自惚れなのか、それとも真実なのかを読み解く力は、今の私には無い。 クルツは狂ったように象牙を集める。ジャングルの奥で土人の支配者になっていたのだ。クルツはジャングルの奥の、闇の奥でどれだけの狂気に取り憑かれていたのか。クルツが連れていかれるときに、周りに住んでいる土人たちは必死に抵抗する。クルツの命令もあるだろうが、心から止めているようでもあった。クルツは搾取する側の人間で、安く象牙を買い叩いて莫大な利益にしている。土人にとってクルツは英雄なのか、それとも初めて見た光に釣られてしまったのか。 クルツは死ぬ前に「地獄だ! 地獄だ!」と二度叫んだ。それはジャングルの闇がそうさせたのか。はたまた、人の奥に真の闇を見たのか。ずっと闇の中にいて、考えすぎておかしくなってしまったというのも現実ではありそうだが、マーロウとクルツの動機は分からない。支配人や、最後に出てくるクルツの許婚などは分かりやすいので、比べてマーロウとクルツの思慮深さが際立つのかもしれない。 物語は中ごろまで来て、マーロウの話が進むとともに、冒頭の船上は夕方になり薄暗くなってきた。彼らがいると分かる描写は、これが最後だ。その後は過去の話が闇の中を進むように、現在の彼らの姿も闇に消えたような感じがした。続きを読む
投稿日:2019.05.29
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