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プラトン, 久保勉 / 岩波文庫 (153件のレビュー)
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総合評価:
マンデリン
3
真直ぐに生きる
哲学者プラトンは、彼に対して強い影響を与えた師ソクラテスがいかに断固とした決意で裁判に臨み力強く自己の信念を貫いたかを書いています。ペロポネソス戦争に関連してアテナイ(アテネ)市民から告発されたソクラ…テスは、裁判において毅然として反論し、自分自身が一生を賭けて貫き通してきた信念を曲げようとはしません。ソクラテスの弁明の言葉のみが記されているだけなのですが、読む者の目の前には、ソクラテスという傑出した人物の確固として揺るぎない人格やその人生までもが現われるのです。 目の前の困難から逃げて生き延びようと思えば国外への逃亡もできたはずなのに、ソクラテスは裁判から逃げようとはしませんでした。裁判において自己を辱めて惨めな命乞いをすれば助かったかもしれなかったのに、ソクラテスはそれもしませんでした。安全に隔離された書斎において哲学を考えることはできるかもしれないですが、人生の最大の危機において自分の哲学を貫き通すことは難しいけれど、ソクラテスはそれができる稀有な人格を持つ者でした。真直ぐに生きること、それがソクラテスの生き方でした。一つ一つの言葉ではなく、全体を俯瞰して初めて明らかにされるソクラテスの真直ぐな生き方には感動を覚えずにいられません。続きを読む
投稿日:2014.11.15
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めるこみ
ソクラテスという人は正しい人であろうと、真っ直ぐ生きた人のように感じました。 人にされても自分はしない。。。とても徳の高い方と思いました。
投稿日:2024.02.18
むるそー
「これに反して前述の人達は恐らく超人間的智慧をでも持っているのであろう。私は実際そういう智慧を持ってはいないのである。」 これはおもしろい!勿論哲学書としての価値もあるが、読み物としてもおもしろい。…ソクラテスが死を直前にしてとても真面目に、自分を陥れようとしたソフィストたちを煽りまくる。ソクラテスは頑固に己の大切にする信念を通して死んでいった。それはクリトンにしっかり描かれている。無論これはプラトンが作為的に編纂した面もあるだろうが、ソクラテスの人となりがわかる貴重な一冊。続きを読む
投稿日:2023.11.25
Ronnio
西洋哲学は彼から始まったと言っても過言ではない、倫理の授業でも最初に学んだソクラテス。 ソクラテスがどういう人で、何を言って、どう亡くなったのかは知っていたが、原書を当たったことがなかったので今回読ん…でみた。 本書はソクラテスが裁判で、自分に求刑するアテナイの人々や告発者に対して弁明(釈明、弁論、反論のようなもの)をする『ソクラテスの弁明』と、 死刑が決まってから執行までの間に彼を訪ねてきた弟子クリトンとの対話『クリトン』の2編を収録している。 新仮名遣いに直したり日本語の表現を改めたりはしているものの、1964年改版の本書なのでボキャブラリーや字体がやや難しい。 とはいえ慣れてしまえば問題ないし、「けだし(=思うに)」、「なんとなれば(=なぜかと言えば)」のように頻出する古い言い回しを最初に覚えてしまえば難なく読めるだろう。 句読点や改行のようなものが生まれたのは中世の頃だったはずなので、古来の情報源、原初の原書からすれば格段に読みやすかろう。 写本や改定、翻訳、改版を経て現代にまで本書を繋いでくれた数多の先人達に感謝である。 ソクラテスと言えば「無知の知」であるが、その言い回しは直接は登場しない。 ただ、「私は自分が知らないということを知っているが、彼はそれを知らないことを知っていないため、いくらか自分の方が賢い」という旨を、直接相対する人に告げていたことを自白している。 なるほど、それを率直に他人から言われたら印象悪い。 本書を読んでも、ソクラテスの言い分は尤もで、理に適っている。 この弁明を経れば、実刑はまず免れるだろうと率直に思ったが、なぜか結果は初審で拮抗、再審で有罪多数になってしまった。 それが余りに不思議だったが、そのあたりの答えは巻末の解説にあった。 以前から古代のリベラルアーツの中に「修辞学(弁論術)」が含まれていたのをとても疑問に感じていたが、本書を読んで合点がいった。 なるほど、政治、裁判など、社会を大きく変化させるには大衆の同意を得たり、大衆を扇動したりする必要があった。 そのため、いかに大勢の人を納得させるか、という技法として修辞学・弁論術があったのだろう。 論理が整っているか、自分の意志が人の心を動かせるかどうか、積極的に発言できるかどうかといったことが自分の生死、果ては国会や社会の生死にまで関わっていたのが背景から読み取れる。 ソクラテスはその論理や弁論といったことにまさに秀でていたがために、プラトンのような優秀な後人がつき、そして現代にいたるまでその存在を知らしめたのだろう。 なんとも心苦しいことだが、結果、論理だけではソクラテスは自分の命は救えなかった。 しかし、自らの信念を通すがために、あえて自ら死を選んだその思考の経緯と胆力、さらにそれを明快に説明する論理の技術的な部分に含む点それぞれから、「偉人」の称号を得るにこれほど相応しい人はいないと感じた。 ソクラテスの、神への信仰や自分の信念をもとにして大衆を論理で納得させる姿。これは徳を含むし尊敬すべきことだ。 しかし現代主流の民主主義のような、多数の意見を聞きいれて多数決を取る、という考え方とは相いれない。 これは一長一短。 きっと後世の賢人、哲学者たちがこの問題に向き合っていったことだろう。 中には、自らの信念を押し通し、大勢を虐殺に追いやったヒトラーのようなものにもこういった考え方を植え付けた。 ヒトラーが実際にソクラテスの教えを受けたかどうかまでは知らないが、本書、ないしソクラテスの意志を継いだその後の哲学者や思想家の書物を読んだのは想像に難くない。 民主主義が機能不全になっている現代、改めて振り返ってみても、今の自分の生き方や社会の在り方は本当にベストなのか、もっと磨けるところはないかを見据える上で、本書を読む意義はあると思う。 続いてプラトンの他の書籍へと読書を進める。続きを読む
投稿日:2023.09.29
pnictide
例えを多用したり、場合分けをしながら可能性をつぶさに検討していき、考えを述べるストイックなロジック展開は、確かにソクラテスすげーとなった。ただ、何かを得られる本なのかは正直自分にはよく分からなかった。…お恥ずかしい。けだし!なかんづく! 機会があったら今度は関西弁バージョンも読んでみようと思う。 https://www.amazon.co.jp/dp/4891947985続きを読む
投稿日:2023.08.25
あおやま
未知は恐怖であると同時に希望でもあり得るのだろうか。死とは不思議だ。(恐らく)経験したことがない以上、不用意に恐れるだけというのは生に対して誠実な態度ではないのかもしれない。たとえば死の前後におよそ「…個人」が生きている間思い浮かぶすべての洞察を一瞬に理解することができる(そのときの状態は関係ない)のであれば、なにもかも幸福に受け入れることができるのだろうか。すべてを知ってしまうことの恐怖か続きを読む
投稿日:2023.07.18
あいぼん
非常に難解な内容であるので、ぜひ、解説まで読んでほしい。少し理解が進むだろう。 そして、「ソクラテスの弁明」、「クリトン」に加え、「ファイドン」(パイドンと思われる)の3作は、「この世界史上類なき人格…の、人類の永遠の教師の生涯における最も意義深き、最も光輝ある最後の幕を描いた三部曲とも称すべき不朽の名篇である」とのことで、早速、「パイドン」も読もうと思う。 ちなみに、「クリトン」は、「ファイドン」よりは事実に近く、「弁明」よりは事実に遠いらしい。続きを読む
投稿日:2023.07.15
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