【感想】トンコ

雀野日名子 / 角川ホラー文庫
(48件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
6
15
18
2
0
  • どぎつくないホラー小説

    3作の短編が収録されています。
    「トンコ」
    人間ではなく、豚さんが主人公。豚さんの視点で物語が進みます。
    当然、豚さんからすると人間が恐ろしい存在となります。
    人間が、ではなく、豚さんが読む(読めればだけど)、豚さんにとってのホラー小説です。
    「ゾンビ団地」
    ちょっと怖かった。
    ゾンビがんばれ!って ゾンビ応援していた。
    「黙契」
    切なく哀しいお話でした。
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    投稿日:2014.02.09

ブクログレビュー

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  • Jun

    Jun

    2022年9月読了。

    表題作『トンコ』を含む3作品の短編集。

    『トンコ』
    高速道路で事故を起こした運搬トラックから逃げ出した一頭の豚『トンコ』
    他の豚達の血臭が漂う中、姿の見えない兄弟達の声や匂いを目指し、山を登り探し始める。

    『ぞんび団地』
    パパとママに愛されず、ひどい仕打ちばかり受けている女の子・あっちゃん。
    昔は優しいパパとママだったのに、今では廃人のようにギャンブルと薬に溺れ、ケンカばかりの毎日。
    辛くて悲しい事があるとあっちゃんはある場所に向かう。
    数年前にマンホールから有毒ガスが噴き出して以来、住民全てがゾンビと化した住宅地『くちなし台』
    ゾンビの家族はケンカしないし、みんな仲良く歩きながら『あー』とか『うー』の言葉だけで通じ合えるあっちゃんの理想の家族像であった。
    家族全員でゾンビになって、くちなし台に引っ越して、仲良く暮らすのがあっちゃんの夢。
    その為に住民達に噛まれてゾンビになろうとするけれど…。

    『黙契』
    警察官の良樹の元に、東京の警察署から一本の電話がかかってきた。
    「妹さんが亡くなられました。アパートで首を吊られまして、十日程度経っておられました」

    高校を卒業し、デザイナーを目指し地方から東京の専門学校へ夢を追いかけて行った妹・絢子。
    東京へ越してから一年以上、メールだけのやり取りではあったが気の合う仲間が出来た事、仲間達と夢を語り合いながら過ごす日々を楽しそうに報告していた妹。
    そんな妹が自殺をするなど考えられなかった。
    しかも誰にも発見されず十日間もぶら下がっていたなんて…。

    最後に話した突然の深夜の電話。
    絢子が発した『自殺サイン』と思わせる言葉。
    『兄ちゃん、私ね、おうぎラーメンが食べたい』
    その時理解出来なかったこの言葉に、一体どんな意味があったのだろうか。


    一応ホラー括りの短編集。
    3作品とも怖いがメインではなく、悲しい話ばかりだった。
    『トンコ』は自分としてはイマイチ。
    『ぞんび団地』『黙契』はネグレクトや親を早くに亡くした兄妹の愛が描かれていてとても切ない気持ちにさせられた。
    だが『ぞんび団地』の設定や展開は面白く、『黙契』のラストは江戸川乱歩の『蟲』を彷彿とさせる感じでとても良かった。
    総じてそれなりに楽しめた作品だった。
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    投稿日:2022.10.10

  • 岡崎コウタ

    岡崎コウタ

    3話の短編。
    それぞれの作品の主人公が豚だったり、死人だったり、物語を語る『視点』が特殊で面白かった。

    高速道路での事故をきっかけに逃げ出した食用豚が、大冒険の末に結局ニンゲン様に食べられるという表題作の『トンコ』が一番よかったかな。あ、オチまでいってしまった笑

    ところでこの作者は結局なにが書きたかったんだろう。

    私たちが食べてる豚だって生きてるんだ!だから、もっと生き物に感謝しようぜ!

    ではない気がする。
    ただ単純に豚目線からすれば養豚場から食肉加工工場に運ばれるってホラーだよね?っていう着想からこの小説をかいたのかなーなんて思いながら読んだ。いい作品。
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    投稿日:2021.10.19

  • 奏悟

    奏悟

    ホラー要素は感じなかったが、ただ切ない。
    トンコそのもののセリフは無いけれど、無邪気なトンコがかわいいくて最後は泣ける。

    投稿日:2019.11.26

  • tikuo

    tikuo

    短篇3つ。「角川ホラー短編賞」を受賞したことで分かる通り、ハズレ。

    1作目は豚、2作目はちょっとトリッキーだけど死んだ少女、3作目は死体と、わざと感情移入しにくい物体を主人公にするという、ある意味実験的趣向があったので、星1つプラス。ただ奇をてらっただけの可能性もあるけれども。

    1本目の表題作は、童話にしたかったのかもしれないが、まあよくこうグダグダとかけるね、と言いたくなるような文章が続き、最後も純文学に逃げたような話。これが賞をとるんだから、ホラー大賞のレベルが知れている。純文学系ホラーなんて、もっといい作品は山程あります。審査員はそこを褒めていたらしいけど…。

    2作目は打って変わってわかりやすいが、こちらも童話。問題はこれという作品ではない。3作目も同様。

    全体に、「私の怖いものを集めたから、怖いでしょう?」というような話で、アイデアのみで上滑りしている。3作目でようやく普通の小説っぽくなったのに、一次情報からその先に進まない話ばかり。困ったら過去の記憶に逃げるのは全作品共通で、そこから話を広げられていない。

    タイトルと表紙でハズレっぽいなとは思ったのだけど、悪い意味でジャケットそのものの1冊。
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    投稿日:2016.08.28

  • アメマ

    アメマ

    3編からなる短編集。表題作『トンコ』は出荷された運送トラックが横転事故を起こし、一匹の豚が逃走するという…ただこれだけの話。一般的なホラーを期待するとトンでもない肩透かしを喰らうだろう。だがもし自分が豚だったらと視点を変えた瞬間ホラーになる面白い作品である。養豚場の世界しか知らない豚が逃走中に体験する様々な出来事は恐怖であり切なく哀しい。醜悪な人間達が純粋無垢なトンコに向ける狂気は涙を誘う。本格ホラーも書ける著者が投げた変化球本は、ホラー版『およげ!たいやきくん』である。続きを読む

    投稿日:2016.05.14

  • パラボス

    パラボス

    2015年、32冊目は第15回日本ホラー大賞短編賞、受賞作品含む、雀野日名子の短編集。三編収録。

    これで第15回は大賞、長編賞、短編賞×2と全て読みきりました。

    簡単にあらすじ&感想を……。

    ンコ:輸送車輌の事故により、逃げ出した食用蓄豚のトンコ。トンコは離ればなれになった家族、兄弟を思いながらもさまようのだった。
    ホラー度はほぼなし。食用蓄豚を人に置き換えて……。その変換使うなら、個人的には、もっと不条理だったり、ドロドロのホラーに仕上げていただきたかった。

    ぞんび団地:小学校二年生のあっちゃんはぞんびになりたくて、ぞんび地区、くちなし台に連日通うのでした。
    全体をあっちゃんの語りのように「です」「ます」調で描かれている。オチは、途中である程度気が付きました。コックリさんでもぅ少しヒネるかな(あっちゃん目線だから仕方ないが、コックリさんがチョット上位概念的存在だったりする)、とも思ったんだけど……。虐待、イジメ描写は神経逆撫でられる。

    黙契:地方警察官である兄は、出張中に、東京で暮らす妹の自殺の報せを受ける。
    タップリの腐乱描写の割にベタでしたね。すれ違いの兄妹の愛情。裏側で、生真面目な人が新興宗教に傾倒しやすいという警鐘が鳴ってたりする。

    お気に入り順は「黙契」「ぞんび団地」「トンコ」の順かな。
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    投稿日:2015.08.10

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