【感想】メルカトルと美袋のための殺人

麻耶雄嵩 / 集英社文庫
(43件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
5
19
12
2
0
  • 氏のデビュー作をふと思い出さなければ素直に楽しめる一作

    良いキャラじゃないですかメルカトル。探偵役としては非常に癖になる味わいです。
    特に「化粧した男の冒険」「彷徨える美袋」の様な結末に持っていける探偵はちょっと記憶にありません。
    常識破りで破天荒なイメージの氏の作品にはピッタリの探偵でしょう。
    それでいて肝心の謎解きはロジカルで正攻法。
    短編ながらピリッと辛めのミステリを充分に堪能できます。
    ただ、巻き込まれ型の事件が多かったのが気になる所。こんなにも偶然に殺人事件に遭わないでしょ、とは穿った見方でしょうか。
    氏のデビュー作をふと思い出さなければ素直に楽しめる一作です。
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    投稿日:2014.05.07

ブクログレビュー

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  • ホトケ

    ホトケ

    メルカトル鮎シリーズ初の短編集(本人は直ぐに事件を解決できるので連続殺人などの長編は向かないと嘯いている)。『あいにくの雨で』をシリーズに含めないとすると4作目にあたる。これまでの妖しげな出演と異なり完全に主役でむしろ独立している気もする。作家である相棒と難事件を解決する個性的な探偵の短編集というとシャーロック・ホームズだろうがこの銘探偵は外見は怪盗キッドを連想させるが探偵側なのに善悪の彼岸を超えていてヤバい人物。
    各話の内容については一読をして頂きたいので内容には敢えて触れないが精微的論理と奇想的トリックとメルカトルと美袋のキャラが入り混じり毒書ともいえる存在感を放っていると思う。
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    投稿日:2024.04.02

  • マッピー

    マッピー

    このレビューはネタバレを含みます

    目次
    ・遠くで瑠璃鳥(るりちょう)の啼(な)く声が聞こえる
    ・化粧した男の冒険
    ・小人閑居為不善(しょうじんかんきょしてふぜんをなす)
    ・水難
    ・ノスタルジア
    ・彷徨(さまよ)える美袋
    ・シベリア急行西へ

    初めて読みましたが、多分シリーズの途中作です。
    キャラクターがすでに出来上がっている。
    でも、今一つ彼らを好きになれないのは、なんでだろう。

    語り手は売れない作家の美袋三条。
    行く先々で事件に巻き込まれるが、自らそれを解決する能力はなく、渋々学生時代からの腐れ縁であるところの探偵・メルカトル鮎を頼ることになる。

    探偵であるメルカトル・鮎がいったいどんな手段で生計を立てているのかは知らないが、人脈だけはものすごいものがあるらしい。
    自分の探偵としての才能には絶対的に自身があるが、人間性には問題多々あり。

    なんだか京極夏彦の「百鬼夜行」シリーズの関口と榎木津を彷彿させるんだけど、彼らに対して感じた好意というか、他人はわからないかもしれないけど、わたしにはわかるよ的な勘違いというか、そんな感情はこの作品ではみじんも湧いてこなかった。
    逆に軽く嫌悪感。

    ミステリとしては、非常に基本に忠実でわかりやすいのに、なんでこんなに登場人物が拗らせちゃっているのだろう。
    もったいない。

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    投稿日:2024.02.11

  • 海と青硝子

    海と青硝子

    メルカトル鮎シリーズの第一短編集ですが、私は「かく語りき」を先に読んでしまいました。故に、美袋三条とは初対面が遅れたわけです。メルカトルに「ワトスン役」が存在するのがまずびっくり! しかも、学生時代からの付き合いの、推理小説作家だなんて! しかも某作家ワトスンと違って、メルカトルを堂々とネタにしているとは! そうでもしないと割に合わないことは、この作品、さらに新刊の「悪人狩り」を読んでよ〜く分かりますね。続きを読む

    投稿日:2023.12.02

  • Kani

    Kani


    メルカトル鮎シリーズ第4弾!

    態度は横柄で自分勝手。
    利益に繋がらない事件はどうでもいい。

    何ともレアな銘探偵…(^▽^;)

    すっかりメルカトル鮎の虜です(〃´-`〃)♡


    今回は短編集。
    美袋とメルカトルが携わった事件集です。

    正直、前3作は『メルカトル鮎』という人物像がはっきりしませんでした。
    物語中に、そこまでがっつり出てこないのです。
    何となく自分に自信のあるナルシストなんだろうなぁという程度。
    それでも『クセ強!』とは感じましたが…(^▽^;)

    ですが今回の『メルカトルと美袋のための殺人』を読めば、どれだけ風変わりな探偵なのかが充分分かりますꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)

    タイトル、確かに頷ける(*´艸`)

    まさかここまでとは!と、ニヤけながら読みました笑笑

    話の終わり方もセンスあり、好きです♡


    【遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる】

    美袋は「歴史クラブ」のメンバーと共に長野の別荘へ。
    メンバーの1人、佑美子と良い関係に…。
    しかしその後、佑美子は美袋を避けるようになる。
    そんな中、殺人事件が。
    美袋は、メルカトル鮎を呼ぶ。

    最初の話にして、メルカトルの性格が分かりますꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
    別荘モノの殺人。
    美袋は疑われ…。


    【化粧した男の冒険】

    大学時代の友人のペンションにくつろぎに来た美袋とメルカトル。
    そこで起きた殺人事件。
    死体には、濃いメイクが施されていた…。

    これはよくある推理小説の基本っぽい事件。
    犯人当たらなかったけどね…(^_^;)


    【小人居為不善】しょうじんかんきょしてふぜんをなす

    メルカトルの探偵事務所に、有名な画家、神楽祐尋が訪れる。
    遺産を狙う甥と姪から命を狙われていると言う。
    メルカトルに身の安全を守って欲しいと依頼する…。

    これ、凄い。
    全然分からなかった。
    それにしても、来る客をも操作するメルカトル…。
    さすが天才(^▽^;)


    【水難】

    美袋は執筆のため気分転換に旅館へ。
    そこにメルカトルも同行。
    その旅館では女子学生の幽霊が目撃されている。
    はたして本物の幽霊なのか…。

    これも面白い。
    過去の事件との兼ね合いがあるのだが、幽霊騒動や不気味な雰囲気も、メルカトルと一緒だと和らぐのは何故だろう笑
    しかも、彼のシルクハットさばき。゚(゚ノ∀`゚)゚。

    ずっと被っていたシルクハットを、ぶんと投げる。ハロルド坂田の帽子のように弧を描いて再びメルカトルの手に戻ってきた。(本文より)

    めっちゃウケた笑笑
    年中着用しているタキシードとシルクハットは、彼のユニフォームらしい笑


    【ノスタルジア】

    メルカトルが執筆した密室殺人の推理小説を、美袋が読んで犯人当てする事に。
    当たれば、いとこの角膜移植にメルカトルがひと役買ってくれるという。
    負ければ美袋の作品として発表する事に。
    美袋は解決できるのか…。


    わざと小難しい表現の作品でしたが、結末好き♡面白い!メルカトル天才!
    らしい作品でした笑


    【彷徨える美袋】

    美袋が目を覚ますと、どこだか分からないが、藁クズの上にいた。
    どうやらさらわれて山奥に捨てられたらしい。
    一体ここはどこなのか。

    これも面白い!
    メルカトルの魅力が集結してます(*´艸`)笑


    【シベリア急行西へ】

    メルカトルがタダ券を手に入れたので『ロシア・ロマンティック・トラヴェル〜シベリア急行の旅』へ2人で行く事に。
    そこには桐原豪蔵という人気作家が乗り合わせていた。
    そして、列車内で殺人事件が起こる。

    この話が1番好き( ˶'ᵕ'˶)
    オリエント急行ぽい雰囲気の作品でした。
    終わり方も良い♡


    メルカトルは、事件の詳細を聞き終わるとだいたい犯人の目星を付けている。
    安楽椅子探偵のよう。
    それを証明するために聞き込みの時に色んな仕掛けをするのだが、何ともまぁクセのある笑
    絶対友達になれないタイプ(^▽^;)


    続けてメルカトル鮎シリーズ5弾目『鴉』読みたいと思います♡


    絶賛どハマり中♡(*´∇`*)♡



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    投稿日:2023.04.09

  • shifu0523

    shifu0523

    【収録作品】遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる/化粧した男の冒険/小人閑居為不善/水難/ノスタルジア/彷徨える美袋/シベリア急行西へ
     メルカトル鮎の邪悪さが際立つ短編集。
     ノベルスで読む。

    投稿日:2021.09.26

  • may

    may

    短篇ものだと、メルカトルの人となりがより一層わかって、とても良いかと。本当に酷い男だな!倫理って言葉ご存知?といつも思う笑
    メルカトルと美袋のための、というより、メルカトルのために酷い目にあう美袋のための殺人ではないでしょうか。
    メルカトルが酷すぎて霞むけど、美袋も大概ひとでなし。でも「メルカトルかく語りき」より、毒は薄めなので、メルカトルシリーズ読んでみたいな〜という方には勧めやすいかもしれない。
    続きを読む

    投稿日:2021.09.19

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