【感想】少年ノート(1)

鎌谷悠希 / モーニング・ツー
(77件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
20
27
17
2
1
  • 豊かすぎる感受性が取りこぼしてしまう、人と歌と人のこと

    個人的には、小中学校の頃の合唱は、最もいやな授業や行事のひとつだった。

    もし自分の学生時代に主人公蒼井由多香(あおいゆたか)のような子が転校してきたら、自分の歌への想い、感受性はまったく別のものに変わっていたかもしれない(逆に恥ずかしさと嫉妬で余計に嫌になったかもしれないけれど…)。

    由多香は、“天使の声”と言われるボーイソプラノの声を持ち、すべての音が音階として聞こえる絶対音感どころではない、世界のあらゆる音をイメージとして頭に浮かべてしまう、圧倒的な感受性を持った少年だ。転校してきた彼の歌を耳にした合唱部副部長の町屋は、「天使だ あんなに純粋に恥ずかしげもなく 音と遊ぶ人を見たことがあるか?」と心を震わせ、「音の中で息する男の子に私は出逢った」とその出会いに驚く。

    しかし世界を音のイメージで捉えるほどの感受性は、彼を放ってはおかない。ひとりではなく皆で歌うことの楽しさと難しさ、何のために歌うのかの苦悩と挫折。鋭すぎる感覚はときに人を潰しもする。だけれど、それを乗り越えた天才の伸び代は、凡人では追い切れない射程にまで伸びていく。

    “音”と“歌”を空間の絶妙な使い方で見せ/読ませ、“歌がうまい”ということが絵にできるんだ! という驚くことになる稀有なマンガ。
    続きを読む

    投稿日:2013.10.04

ブクログレビュー

"powered by"

  • ぽっぽ

    ぽっぽ

    このレビューはネタバレを含みます

    『隠の王』(スクウェア・エニックス)の鎌谷悠希さんによる新刊。

    *****

    天使の歌声を持ち、音に対して非常に純粋な蒼井由多香(ゆたか)。
    純粋なあまり、“音”から受ける影響も甚大。
    物語はそんな由多香が中学校の合唱部に入部することから始まる。
    由多香の個性に周囲は最初こそ戸惑いつつも…。

    *****

    『隠の王』と違って戦闘シーンなどはないので(今のところ部活動もの)、その分和やかに読めるかな。
    要所要所でちょいとぐっときた。
    色んな音から受ける影響が他のひとよりもあまりにも大きい由多香は彼自身が周囲の“きたない音”に傷つく分、自分が発してしまった怒鳴り声に猛省する。
    「いいのよ」と言うことができるのはずっと彼のそばで時に悩みつつも支えてきたお母さんだからこそなんだろう。
    周りの学生たちもいい子だなぁ。
    “合唱”というひとつことに向かっている彼らは仲間として一緒に歌う。
    高峰さん、憎めなくて好きです(笑)。

    今後謎の外国人少年、ウラジーミルが関わってくるのかな?
    由多香との出会いは一体どんな感じなんでしょう。
    2巻も楽しみです。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.01.28

  • inchoshi

    inchoshi

    このレビューはネタバレを含みます

    ・少年の纏う衣と喫茶の雰囲気と少年の歌声の作る世界が好きです。
    ・「いずれ失われていくものについて―」
    ・「彼が出ることで男子部員は集まるかも(中略)声変わり前の男子が興味を持ってくれる可能性は高くなる」
    ・ウラジミールくんの半ズボン良い。
    ・少年性を絵にしたような。天使。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2014.09.20

  • mieron

    mieron

    音に対して感受性が豊かすぎるほど豊かで、純粋な少年・ゆたかと、合唱部の面々の物語。
    まだゆたかが特別に歌が上手いということしか出てないけど、これから他のメンバーがどの程度か、とか出てくるのかなぁ。実力差でモヤモヤするとか今後ありそうですね。

    今巻はゆたかの現状説明といったところ。
    続きを読む

    投稿日:2014.04.20

  • chroju

    chroju

    純粋すぎるボーイソプラノの少年の物語。彼の「声」と部の行く末が主軸になっていくのかな。まだプロローグって感じでなんとも評価はしがたい。

    町家先輩のちょっとキメキメなこと言ってみたくて、そんな自分がなんだか痛いことを自覚しつつ喜んでいる感じ、大変良いです。続きを読む

    投稿日:2013.12.27

  • 小梅

    小梅

    『隠の王』の作者ということで購入。(ただ、『隠の王』はアニメで数話鑑賞した程度。原作は、未読。)
    現在6巻まで読了。

    大人の目線で、どこか達観した印象のある作品。
    読んでいると誰もが失ってしまう「時」を、若さという「才能」の切なさを論理的に解説して頂いているような感覚になります(笑)

    最終地点は「何処なのか?」、とても気になる作品です。
    続きを読む

    投稿日:2013.12.09

  • ひとむ

    ひとむ

    ゆたかくんや周りにしてみればつらいと思うのですが、それでも尚、ゆたかくんの感受性は素晴らしいなあと思います。もしも上手く付き合ってゆける術があるなら、消さないで、潰さないでほしい感性。

    投稿日:2013.12.03

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。