【感想】ある華族の昭和史 上流社会の明暗を見た女の記録

酒井美意子 / 講談社文庫
(8件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
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  • 軽妙で読みやすい自伝

    今となっては想像もつかないけれど、戦前の日本には身分制度があってその時代の本物のお姫様のお話です。加賀百万石の姫君が白鷺城主の奥方へやがて平民になっていくのですが、どの時代もしなやかに強かに生きていく酒井さんの姿は痛快です。
    梨本宮伊都子妃殿下の日記は日記という形式上堅苦しい感じがしますが、酒井さんの文章は軽妙で読みやすいです。
    皇室が最も皇室らしかったと言われていた時代を子供の目を通して書いてあって、同級生でいらした照宮様とのご交流の様子や様々な行事の様子が書かれていて面白かった。
    鍋島家の朗子(酒井さんの祖母)、梨本宮伊都子妃、松平信子の姉妹を三女傑と書かれているが、酒井さんも女傑の血を充分継いでいるかなと思います。
    出来たら、多部未華子でドラマ化して欲しいなあと思ってしまいました。
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    投稿日:2015.08.15

  • 夢幻の如くなり…。

    確かに大日本帝国という巨大な国家があってそこに爛熟した貴族文化が存在したという事実が実感できます。そして、その帝国が滅んだということも…。私には無縁の世界なので好きに感想を述べますが、丁度ハル回想録を読んでいたため感じたことは、大日本帝国の華族が、確かに外交と軍事と政治を大国のプライドを持ちながら優雅に運営していたことが強く感じられました。青年将校のクーデター以降、軍部の分析や、象牙の塔の冷静な分析は帝国華族には勇ましく思えなかったのでしょう。旧帝国は民主主義をアメリカの弱さと見たといいますが、結局、旧華族と統制派軍人の能力ではアメリカをしのげなかったということでしょう。
    詳しい内容としては、欧州生活、華族の女性だけが得ることができた華麗なる恋愛遍歴、学習院の華、そして敗戦後の逞しさと非常に読み手をくすぐる構成です。
    歴史の一面の真実を見たいなら読むべきでしょう。一般的なノンフィクションの戦争記録を読んでから読むことをお勧めします。
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    投稿日:2017.08.10

ブクログレビュー

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  • gocci

    gocci

    加賀百万石のお姫様、大名華族の酒井美意子さん。
    世は幕末が終わり明治に入ってからの自叙伝
    twitterのタイムラインで流れてきたのを、たまたま見つけて
    なんだ面白そうだな思い電子書籍で購入してみたけ
    まぁー面白い!
    明治、大正、昭和の激動の時代を生き抜いた女性。
    最初はお家はあいやービックリ豪華絢爛!
    そんでもってお休みの時は避暑地でテニスしたり
    学生時代もお嬢様だらけでまさに上流階級生活エンジョイ。
    だんだん日本の雲行き怪しくなってきて戦争が起こり
    よくある戦争小説とはまた違った視線。
    だいたい一般の方、もしくは軍の話が多い中上流階級からみた戦争って本当に新鮮な気持ちだった
    そこでも自分をしっかり持って事業に成功してるのはまたすごい。
    違う視点で歴史をまた理解できる一冊かと思う。
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    投稿日:2017.03.08

  • mokunokami

    mokunokami

     著者は旧加賀藩主前田家16代の前田利為の娘で、酒井雅楽頭家22代の酒井忠元の妻。交友関係者や皇族の一部が仮名・偽名で、意図的に事実をぼかしている個所が少なくないので注意を要する。

    投稿日:2014.03.14

  • こはる

    こはる

    加賀百万石のお姫様、の自伝。

    強かでカッコイイな~。

    上流階級の別世界、今でもあったら面白いんだろうけど、

    こんな歴史と気品はもうないんだろうな~。

    近衛文麿は女には女言葉っていうのが生々しい感じ。

    すっごく面白かったんだけど、絶版なのですわ・・・・
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    投稿日:2011.09.07

  • ふぃん

    ふぃん

    明治・大正・昭和として一くくりにされている近代日本だけれど、現代と近代を分けるものは、やはり1945年の敗戦だと思う。
    というわけで、昭和という一つの年代とは言いながら、戦前まで存在していた「華族社会」というものを内側から回想して書かれたのが本書。大名華族の姫として生まれた作者の目を通して、戦前の華族社会が描き出されるが、けっこうこれがまた想像を絶していて絶句。
    学習院のお嬢さん方が、女子同士で手紙の遣り取りをして「エスよ」「エスだわ」などどはしゃぎ合ったり、いい年のおばさんたちが「~しゃま」等と呼び合ってたかと思うとかなり恥ずかしいのですが。
    まあ、そんな社会を知りたくて読んだので、その点では満足です。
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    投稿日:2010.06.19

  • ビタースイート

    ビタースイート

    酒井美意子。加賀百万石の家系を継ぐ侯爵・前田利為の長女として、東京に生まれる。幼少時をロンドンで過ごし、帰国後、女子学習院に入学・卒業。元伯爵家の酒井忠元氏と結婚。戦後は欧米仕込みのマナーと日本の伝統的作法を身につけた国際的マナーの第一人者として、テレビ・ラジオ・執筆・講演活動などに大活躍。ハクビ総合学院学長。続きを読む

    投稿日:2007.09.23

  • meggy

    meggy

    旧加賀藩で明治維新後は華族。そんな上流社会で育った著者が描く昭和初期の時代。豪華なひな祭りの話や、学習院の話など、同じ日本じゃないような話に、ほーっと感心。(9/20読了)

    投稿日:2006.09.25

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