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山田宗樹 / 幻冬舎文庫 (24件のレビュー)
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1
臨床心理を身近に感じ、しかも楽しめる
ある程度予想された展開も含め、逆に安心感を持って楽しめる。心理テストの描写は秀逸。幻覚時の精神世界もきっとあんな感じなのだろうと納得する。
投稿日:2013.10.05
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弓ム日月
リアリティ
人間の心理をコントロールすることの是非を隠れ蓑に本当の幸せとは何か、にまで踏み込んだ佳作。何も知らないほうが幸せなのか、すべてを知ることが正しいのか、答えは出ないまま物語は終局に向かう。 小説中で精神…が崩壊していく描写が数か所あるが、非常にリアルに感じる。まるで実体験を追っているかのように真に迫っている。「黒い春」でも見られたが医学分野の描写が非常に正確かつリアリティあふれるのは、取材や勉強の賜物だろうか。医学関係者として驚嘆に絶えない。 この小説でも、「百年法」でもあった『実際(文面)には登場しない人物』がキーパーソンとなっている。すでに過去の人物として描かれているがその影響力は非常に大きく、人々の人生を蹂躙していく。その人物像の描写は非常に少なく、得体の知れない人として物語の奥底にベッタリと居座るのが気持ち悪く、また謎を大きくふくらませるのに一役買っている。 読書中に映画「バタフライエフェクト」のシーンがいくつか想起されたが、エヴァンと比留間はだいぶ違うだろうなぁ(ビジュアル的に)。続きを読む
投稿日:2016.04.25
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wataito
このレビューはネタバレを含みます
父親を亡くし母親は内心自分を疎んでいると察した少年は母胎回帰願望を抱き、それは歪んだ性衝動へと到り野生猫の惨殺という異常行動に表れる。それを知った母親は息子に催眠療法を受けさせ、狂気を封印された少年は、自分に催眠療法を行った恩師の下で天才カウンセラーへと成長する。しかし職場が私立高校になったとき、シングルマザーの養護教諭と恋愛関係に陥り、カウンセラーとしての使命に疑問を持ち始め、恩師に辞職の相談をしたところ、怒った恩師から嘗て封印された性衝動を解放されてしまう。その結果、養護教諭を殺害しかけるも彼女の愛に包まれて思いとどまったものの、精神分裂に陥り心が死んでしまい、愛する女からの呼び掛けにも応じられないただ呼吸しながら生きているだけの入院患者となってしまう。養護教諭は息子とそのお腹に宿った彼の子の3人で、いつか必ず彼が心を取り戻してくれることを信じて待ち続ける決意をして完結。 つまらなくはないけど正直微妙。定岡療法そんなに上手くいくのか?と終始感じた。舞台設定は現代日本そのものリアル路線なのに、肝心の催眠療法の部分だけちゃっちいフィクションとして浮いていた気がする。母親との関係性が拗れるとか、親の愛情にきちんと包まれるこてができないとか、やはり幼少期の愛情飢餓がその後の人格形成に大きな影響を及ぼすんだね、という点はリアルだったので尚更に。 にしても養護教諭は大丈夫なのかな。死んだ旦那の残した死亡保険金+自分の収入で子供二人を育てていくことはまだ可能だとしても、一度でも自分を殺し掛けた男でしかも精神分裂病で一生入院しなきゃならん奴の入院費用まで面倒見ることになるとしたら金銭的にきつくならんか?と妙に現実的に感じてしまった。
投稿日:2023.02.12
avec toto
猫を殺し、腹を切り出すという異常行動をする11歳の男の子と母親が、カウンセラーの治療に訪れた。ロールシャッハ・テストにより少年の心の闇を見出したカウンセラーは、定岡療法と呼ばれる催眠療法により、その…心の中にある狂気を凍結させ、心の奥底に沈めることに成功する。 その少年は、その後、問題なく大人になり、天才的なカウンセラーになるのだが… 個人的に好きな分野と言うこともあり、大変面白く、最後まで一気読みしました。現実にこんなカウンセラーがいたらなぁと思うと、ドキドキします。 フィクションの面白さがぎゅっと詰まっています。続きを読む
投稿日:2022.06.09
ゆづき
三十三歳で片親で三歳児を抱える、射殺事件の起きた中高一貫校の養護教諭と、十一歳の時に猫殺しを繰り返し、その狂気を催眠療法で凍結したスクールカウンセラーの、学校での日々と恋と解放された狂気。精神に踏み込…んだ描写や、師諸共不安定になり病んでいく描写に引き込まれた。病んでしまった人を拒まない目線が温かい。続きを読む
投稿日:2018.10.10
Dr.(読多ー)あんころ猫
この著者の作品を何冊か読みましたが、やっぱり面白いです。長編でも最後まで飽きさせずにひきつけるパワーがあります。この作品も読み始めるとついつい最後までやめられずに一気に読んでしまいました。お気に入り作…家認定ですね。続きを読む
投稿日:2015.07.22
あやこ
心理学って不思議な分野で、いい意味でも悪い意味でも裏切られることが多そうだなあとこの物語からも感じる。 まさにそんな心理学に基づき人間に対峙するカウンセラーは「聖者」たり得るのか。 「本当の自分」って一体どれ?と、誰もが考えたことのあるような普遍的な命題について、問いかけるような作品だった。 別宮の幼稚さには嫌悪感を覚えたが、実は別宮が拘る道も自ら選んだものではないのかもしれないーーそれを思うとただただ哀れな人だなあと思った。 興味深いテーマとセンセーショナルさの割に、結局少し安っぽさを感じる恋愛で終わったので物足りなさも感じたが、面白かった。何より、非常に読みやすいことは間違いない。
投稿日:2015.07.21
ajiro080775
面白かった。 初めて山田 宗樹さんの作品を読みました。 とても読みやすくて、ミステリー的な要素も少しありつつ。 大きなストーリーの流れはよかったです。 ただ、途中から恋愛を中心においた感情的な展開に…なっていったのがちょっと気になりました。 もう少しシリアスな展開にもっていっても良かったような。 まーでも良かったですね。 他の作品も読んでみようと思います。続きを読む
投稿日:2015.06.21
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