【感想】カラマーゾフの兄弟 1

ドストエフスキー, 北垣信行 / グーテンベルク21
(1件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
0
1
0
0
0
  • 長い付き合いのできそうな本

    ****************************************************************************************************************
    (あらすじ)
    成金富豪、フョードル・カラマーゾフには3人の息子がいた。
    父親同様、好色で遊び人の長男ドミートリー。
    冷笑的で、学識豊かな無神論者の次男イワン。
    気が優しく、誰からも好かれる修道僧の三男アレクセイ。

    遺産、財産上の勘定における、父フョードルと長男ドミートリーとの不和を初め、この家族とその召使い、そして友を含めた人間関係は乱れきっていた。

    ある夜、フョードルが何者かに殺され、とある者のために用意されていたという三千ルーブルも盗まれる。
    ロシア全土に広まるこの悲劇的な事件を中心に、この家族に関係していた者達、そしてカラマーゾフの兄弟は何を思う。
    ****************************************************************************************************************

    非常に内容が濃く、難しい本でした。
    表向きは推理小説ですが、その物語自体が主体でありません。作者であるドフトエフスキー自信が、小説という形式をとって、様々な問題を提起し、自説を述べています。

    その論題は、宗教、政治、経済、学問と広範囲に渡り、神の有無、性善説と性悪説、罪の救済、真なる制裁、民とその支配者、自由と幸福、世界的人類の統合、貧富の差、資本主義と社会主義、世界史等々、細かく挙げればきりがありません。さらに、これらに対する見解は、当然順序立てて体系的に書かれてはおらず、様々な場面で、各々の登場人物を通し、あらゆる観点から、部分的に、そして時に感情的に語られており、また各々の議題に対する見解がお互いに干渉しあうため、要約するのは非常に難しいです。しかしながら、読めば必ず何処かしらの部分で感銘を受けることでしょう。

    おそらく、序盤の慣れないうちは直ぐに飽きます。また、一読では、ドフトエフスキーが述べようとした全てを理解するのは不可能です。あるいは何回読んでも不可能かもしれません。それでも、とりあえず一度、コンスタントに読み通す事をお勧めします。

    そして、再び十年後に、もし読みたくなったら読むのが良いと思います。
    人生における様々な思想が詰め込まれた本なので、再読のたびに、感銘を受けたり、理解し合点のいく点が変わり、自分の心の成長を知れるかもしれません。また逆に、若い頃には持っていたものの、歪められてしまった理想や信念が再び呼び覚まされ、今後の生活に新たな希望を見出すかもしれません。
    きっとこれは、自分の送ってきた人生で培った心の変化、そして今後の運命を180度転換させるかもしれない思想の再構築を、何度も読むことで、一生涯に渡り楽しめる本なのだと思います。
    続きを読む

    投稿日:2013.09.24

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。