【感想】The Chrysanthemum and the Sword 菊と刀

ルース・ベネディクト, ジェイク・ロナルドソン / IBCパブリッシング
(3件のレビュー)

総合評価:

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  • 手軽に読める英語の本

    英語の勉強をと思っています。このストアで洋書が増えることを期待しているのですが、そしてなかなか増えていないようですが、このシリーズはそういう需要に応えてくれる上に、レベルもさまざまあるようですし、手軽に名著といわれるものを読むことができるわけで、いいですよね。もっとたくさんシリーズが増えて、読む人が増えたら、ストアも本格的に洋書を販売するようになるでしょうか。

    さて、本書も誰もが知っている作品の英語縮約版です。こういうものを読んでみようかな、と思ってしまうのは、世相を反映してのことでしょうか。ちなみに原書は1946年出版。とはいえ、古さはまったく感じませんでした。

    第三者的観点から対象を批判するのは容易い。本書(しかし私は原書またはその日本語版そのものは読んだことがありません)で ルース・ベネディクトは外国人としての視点で日本を分析してはいますが、日本を劣等であるかのような批判は想像していたほど多くはないと感じました。  

    むしろ日本人である私が曖昧にしか分かっていないことや、考えたこともなかったことが多々書かれてありました。戦後レジームをそう簡単には否定できないし、かといって戦前の日本を旧時代的で未熟で、欧米に比較して劣等であると指弾するようなことも、私にはできません。太平洋戦争に突き進む中で、当時の日本にあったのは、日本的な価値観・日本的なアイデンティティだけであり、それは欧米のそれとは異なっていたというだけの事の様に感じます。

    恐らく長年に渡って時代ごとの批評にさらされてきた本書でしょうから、そしてそれでもなお参照されることの多い本書ですから、ぜひとも読むべき本といって間違いはないでしょう。ただ、名著を短時間で読みたいとか、英語力をアップグレードしたいなど、原書ではなく、また日本語版でもなく、わざわざこの縮約版を読むのはそれなりの目的を持った人に限られると思います。(例えばこのストアには洋書が少ないと感じている人とか)
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    投稿日:2014.12.24

ブクログレビュー

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  • sanbankan303

    sanbankan303

    日本語で読んでも難しい文章は、易しい英語に直しても、単語も構文もわかるのに、意味が分からないという場面に多々あった。多読には向かない教材のような気がする。
    Japanese have the strength to keep an inner sword free from the rust which always threatens it. (日本人は、錆が生じがちな、心の中の刀を、錆びさせないように保つ強さを持っている)続きを読む

    投稿日:2015.12.05

  • noire

    noire

    このレビューはネタバレを含みます

    ' I read Englih books.' This is one of my New year resolutions. So I did it.but not good enough. I need to read more, and more difficult ones.

    Anyway, I read one. Now I try to write my review in English. 'Challenging'
    is important.

     I could read this book so easily, because this was the rewrited one for high school students (maybe). But I could know that Ruth Benedict was the great person, and simple words allowed me to think of this book. If I tried to read the original one, I might be able to understand the book but not think of it.

    At first, I was so surprised that Ruth Benedict wrote this book without visiting Japan because of the WWⅡ. Inspite of the fact, the discription about Japanese and Japanese way of thinking were so precise. I didn't notice that we tried to be in the 'proper station'. Do I?

    We might not realise that we were doing the war. We just tried to be in the proper station. That idea made us think that the war was necessary. And we might misunderstand that every other countries also must have thought like that. Because we didn't try to think of or search for the enemies such as Ruth Benedict wore this book. It was natural that we wer e defeated. I could change my way of thinking about the war and what we had done in the war.

     Chrysanthemums can be beautiful without wire racks.
    The sword is a symbol we can keep in a freer and more peaceful world.


     あーくそ!not good enoughだ。英語じゃ。

     日本は、「戦争をした」っつう意識がなかったんだよな。きっと。「いるべき所定の位置(proper station)」に納まらなくてはならないという国民的な思考を、あたかも全世界がそのように考えていると言う意識が、「戦争」「戦い」を必要不可欠なものにしてしまった。自分の意志ではない。だから、天皇が敗戦の御触れを出した時に、素直にそれを受け入れ、アメリカの支配を「笑顔」で迎え入れた。負けたと同時に、打ち負かされた相手に笑顔を振りまけるなど、そんな行動ができるのは全世界どこを探しても日本だけかもしれない。

     恐ろしく的確な分析ではないだろうか。私の英語の理解力が適当であるかは疑問の残る余地だけれども、遠くはないとは思う。アメリカは、そこまで日本の分析をしていた。日本だけじゃないはずだ。「戦うべき相手の分析」を行い、それに見合う「支配」を考える。日本はそんなことしただろうか。してないだろう。自分の意志で「敵」を見極めたんじゃないんだから。

     日本は、変わってないよね。いまにも立派に通用する「日本人とは」という分析。「グローバルスタンダードになろう」って、自分の世界の中で納まるべき場所を探しているという時点で何も変わってない。

     要は、その「変わらなさ」を受け入れ、どうあるべきかを考えなきゃならないのに、そこをすっ飛ばしている気がする。

     Ruth Benedictの言葉、温かく感じたのは私だけだろうか。

     「菊」は日本では「美しく見せる」ために、見えないワイヤーで花弁を広げ、整え、「自然の美」を演出する。盆栽もそう。植木鉢の中でその世界を確立させ、収束させる。

     でも、ワイヤーなんてなくても、菊は美しいのだと、わたしはアメリカナイズされた戦後に生まれ落ちて今、その言葉に勇気をもらえたと感じる価値観の中にいる。でもそれは、「変わらない国民性」がなくなったというわけではない。少し立ち位置を変えて、これからどうあるべきかを、わたしはこの言葉のなかに見出したい。

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    投稿日:2013.02.01

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