正しい答えを導くための疑う思考
岡佐紀子(著)
/かんき出版
作品情報
今の世の中は、VUCA時代〈Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)〉と言われており、私たちをとりまく「常識」は常に変化しています。ときには、白だったものが黒になるほどの極端な変化をすることもあります。もしも考え方をアップデートできないまま、社会の変化に取り残されてしまったら、単なる「時代遅れ」ではすまされないほどのダメージが出てしまうでしょう。これからは、自分で考え、行動する姿勢が今まで以上に必要になってきます。そのために必要なのが、本書で紹介する「疑う思考」です。「疑う思考」は、さまざまな視点で物事を理解し、問題を多角的にとらえる力です。現在の情報化社会は真実と誤情報が錯そうし、一見するとすべてが正しいと錯覚するほど複雑になっています。これらを取捨選択するは、自分の経験や知識、社会的な情報を批判的に吟味すしなくてはなりません。また、新しいアイデアや戦略を作るためにも、自らの視野を広げ、異なる視点から問題を考察することが重要です。クリティカルシンキングやロジカルシンキング、バイアス、思考のクセなどを総合的に学ぶことで、「疑う思考」は身に付きます。「疑う思考」が身につくと、視点が増えていきます。今まで当たり前にしていたことや、信じ込んでいたことに「それって本当?」と光を当てることによって、別の可能性が見えてくるのです。
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【概略】
大きく、そして早く変化していく現代において、今まで正解だった考えやアプローチが通用しないことがある。また閉塞感に苛まれた状況において、その障壁を打破するためには、時に従来のそれとは逸脱した…着眼点や考えが必要になる。その第一歩として、「疑う思考」を持ってみてはいかがだろうか?本書では、企業が抱えた壁を疑った思考で打破した事例なども交え、新しい思考回路を作るキッカケを与えてくれる。
2024年05月31日 読了
【書評】
著者ご自身からではないけれど、「喜餅さん、読んでみてください」とプレゼントしてもらった。プレゼントしてもらった本は、最近はなるべく早く読了しようということで、読ませてもらいました。ありがとうございます。
(ちょっとおこがましいかもだけど)「この著者の方は、自分と似たような考えの方かもなぁ。多分、世代もきっと近いよなぁ」と読み進めたら、あとがきが「それ、正解!」と教えてくれた。「~べき」「これが常識」で育った世代なのですよ。上手に言うとするならば、しなやかで強靭な日本刀のような造りを目指すために叩いて(叩かれて)叩いて(叩かれて)時々、水にジュッとしめられて、出来上がった世代。・・・ちょっとよく言い過ぎだな、これ。芯の強さといえば聞こえいいけれど、斜め上の発想であったり、異なる世代からの跳ね返りを期待するには、その強さが足を引っ張ることになる・・・。あ、これは著者の方の人物評価ではなく、大きな主語で申し訳ないけれど、そういう世代なのだと思ったりする。そしてその強さに悩む世代でも、あったりする。
本書で「おぉ~すごい面白い!これは怒りっぽいイライラしがちな自分には、ある意味、福音!」と思ったのが「7つの思考パターン」で紹介された、人の性質を犬にたとえたところ。「正義犬」や「批判犬」「負け犬」といった形で表現されてる。仕事柄、意見の衝突とかあったりする場面も多くて。実はちょうどこの本を読んだ一週間前も、複数年にわたってウンザリしていた顧客(の中の一人)にこちらの気持ちの糸が切れて、契約更新をこちらから辞退してね。もちろん今までの自分とは違う形で(その場での)表現をしていて。つまり、プンプンと怒ったり大きな声を出したりとかじゃなく、もうクールにしてたのだけどね。ひょっとして一週間前にこの「犬診断?」を覚えていたら、また違った局面に転換していたかもしれない。あとはアンガーマネジメントにも、とてもいいよ。
もう一点、「思考力があっても、対話力がなければ、仕事が円滑に進みません」というくだり、首がむち打ちになるぐらい頷いたなぁ。前述の一週間前の件も、もうね・・・本当に対話力が(以下自粛)。また上司の部下に対する指示の部分で、抽象的なところから具体的なところにおろしていくという部分、これまた別件でクリアしなければならない案件にすごくフィットした。ちょうど社長とマンツーマンで打ち合わせ(ヒアリング)をしないといけないところだったので、すごくありがたい。
いっこだけ、これは多分、出版社さんの意向とか、またアイキャッチ的な要素で意図的に選択をしたのだと思うけれど、本書内の著者の意図は終始(どちらかというと)常識を打破するため、世間に蔓延する「そういうものだから」に一穴を穿つための「疑う」ということだと思う。・・・のだけど、タイトルに「正しい答え」という言葉が採用されていて。(ごめん、また大きい主語だけど)日本人の多くが、失敗を怖がって正解を求めて挑戦をしない、前例に沿ってしまいがち・・・という点で、「正しい答え」という新たな常識のようなことを置いてしまうのは・・・今の「正しい答え」は、将来は正しくないという・・・あっ、ここで言う「正しい」は、正解・不正解というニュアンスというよりも「おかれた状況を打破するための最適解」かな。たしかに「最適解を導くための疑う思考」だと、タイトルとしては少し弱いものね。
ファシリテーターであったり、取材する相手に自発的に気づいてもらうような導きをする立場にある人には一度手に取って読んでおいて損はないかなと思ったよ。あらためてプレゼントしてもらってよかった。 続きを読む投稿日:2024.05.31
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