- 最新巻
隷属への道
フリードリヒ・A・ハイエク(著)
,西山千明(著)
/春秋社
作品情報
読まずに批判されつづけたハイエクの主著。ケインズ政策、ナチズム、スターリニズムに対抗して、自由主義、資本主義の価値を孤独に擁護した知の営為。今こそ読むべき傑作。
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商品情報
- シリーズ
- 貨幣理論と景気循環・価格と生産
- 著者
- フリードリヒ・A・ハイエク, 西山千明
- 出版社
- 春秋社
- 書籍発売日
- 2008.12.25
- Reader Store発売日
- 2023.07.10
- ファイルサイズ
- 150.5MB
- シリーズ情報
- 既刊11巻
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この作品のレビュー
平均 4.4 (15件のレビュー)
-
全体主義論の古典の一つ。
全体主義が社会主義と同じところから出てきている。経済や社会の問題を理性的・合理的・計画的に解決しようという善意、というか人間にそういうことができるという傲慢さが、全体主義を…生み出す。
経済問題だけを計画的にうまく政府が計画的にコントロールし、その他の人間の自由といったこととは切り離せるとかんがえることの欺瞞。
それは、いわゆる全体主義だけでなく、共産主義にも共通。そして、批判の対象は、ずっと緩やかな社会民主主義にも向けられる。さらには、第2次世界大戦時のイギリスの論調が、20年前のドイツの論調と同じであることを指摘する。(そういうわけで、この本はイギリスでは非難轟々となり、アメリカでは、反共産主義の理論的根拠として利用される)
ソビエトや東欧の共産主義が終わって四半世紀たつ、今となっては、中央集権的な経済の非効率性は誰にも明らかになっているが、第2次世界大戦時にそれを見通していた慧眼。。。。
いわゆるリバタリアン、市場経済重視の元祖みたいな感じの人だが、そのベースとなっているのは人間の能力に対する謙虚さ。
いわゆる新自由主義の経済学者は、人間の合理性、いわゆる経済人仮説を徹底する感じがあるのに対して、ハイエクは、合理性の限界から議論が始まっている。
一見、古典的なハイエクの思想は、認知心理学や複雑性、自己組織化などに展開しうる新しさがあって、かなり面白かった。続きを読む投稿日:2018.06.20
’当時と同様に今日においても集産主義の推進は、同時に個人主義に特有な諸価値も公言されることによって、後者と結合されてなされてきた。全くのところ、大きな政府のもとで実際に生活したという経験が、この不整合…に富んだ特異な価値体系を、いっそう強化することとなった。そして既存の権力組織に対する広範な異議申し立てがなされている。これは、社会的一致に対して抗議する、驚くべきほど強固な社会的一致だ。つまり、参加的民主主義実現のため、各個人の個人的ライフスタイルに沿って、「各個人が自分が思う通りにする」自由に対する、広範な要求が今や社会に出現しているのだ。この種の(異様な)体型へと縒り合わされた社会的要求を聞いていると、集産主義の波は今や、反転してしまっていて、個人主義の波が再び高まり始めたのだと、誤って信じてしまうかもしれない。
しかし、ハイエクが事実に基づいてはなはだ説得力に富んだ説明をしてくれたように、個人主義的な諸価値が樹立されるためには、個人主義的な社会をまずもって築かなければならない。というのも、この社会は自由主義的秩序のもとにおいてだけ、建築可能だからである(ここで私はハイエクと同様に、自由主義的(リベラル)という言葉をその語源である19世紀における「権力が制限された政府と、政府その他による外部からの干渉がない自由市場」、という意味において使うのであって、上記の意味とはまったく逆の意味を持つようになってしまっているアメリカ合衆国において、今やこの用語が意味するようになっている腐敗した意味においてではない)。そこにおいては、政府の活動は、各個人がそれぞれなりの目的追求のため、自由に活動して良い枠組みを限定することに主として限られる。なぜなら、自由市場こそが本当に「参加的な民主主義」を達成するためにこれまで発見された唯一のメカニズムだからである。
上述してきた問題に関連して、不幸なことに、目的とそれを達成するための諸手段との関係についての、大きな誤解がある。個人主義的な諸目的の大半を支持して公言する人々の多くが、矛盾だと認めることなしに、集産主義的手段をそれら諸目的達成のための手段だとして支持している。社会の諸悪は邪悪な人々の活動によって発生させられるのであって、(自分たちのような)善良な人々が権力を振るいさえすれば、すべてはうまく行くと信じることは、心をそそる考えではある。この考え方は人々の感情と自己称賛心さえありさえすれば十分だ。そしてこれらは容易く手にはいり、人々の心を満足させもする。
しかし実際は、邪悪を生みだすのは権力の座にある「善い」人々である。反対に、善い結果を生みだすのは、権力は持っていないが、隣人と自発的な協同のための活動ができる「普通の」人々だ。これを理解できるようになるためには、(感情抜きの)分析と思想とが不可欠であり、もろもろの感情を理性的な諸機能へと従属させなければならない’
(ミルトン・フリードマン 1994年版への序文)
言葉はすぐに裏返ってしまうものだ。だのに、たった2つの背反し合う言葉のどちらかだけに当て嵌まっていってしまうのが僕らだ。そのどちらかだけを選ばなければならないだなんて、そんな理由はどこにも見当たらないのに。言葉が頼りにはならない。例えば、同じ言葉を使っていたはずなのにいつの間にか、立っている位置が入れ替わってしまっていたりする。言葉が頼りないというだけで、自分自身というものさえ頼らないものになり、ままならないものとしてしか存在していられなくなる。ぼくたちには、言葉しかないのだけれど、言葉だけではだめだということを思い知らされる。言葉は道具でしかないということだ。意思、意識、認識、概念、想念。相対、絶対、具体、抽象、部分、全体。思考するということは、それでもそれはただの言葉でしかないと、受け入れることからようやく始められるのかもしれない。一瞬で裏返る。主体も客体も総体も、定かとなる姿形を維持し続けることがほとんどできない。肝心なところで頼りにならないものを頼りにすることしかできないぼくたちは、その頼りなさを誤魔化さないで、逃げることをしないで、立ち向かい続けることを止めないで、いることしかできない。そうでないとすれば、いまのこの社会のようになってしまう。この世界になってしまう。相対的なことが、総合的なことが、合理的であることが、科学的であることが、人間的であることが失われて、理性に塗れて、想念に溺れて、感情的というもっとも人間性からは遠いところへ、逃げ込むことしかできなくなってしまう。
つまり、ここに並べた言葉たちも、一方ではほとんどなにも役には立たない、と認識できることだ。
そう捉えることが、そうではない何かを導く。考えることはそうやって、いまを手繰り寄せた自分に、ちょっと待ったを懸けてあげることだ。
世の中なんてものは、ぼくたちと無縁であるものなんかでは決して有り得ない。望んでいない未来なんて決してこない。やってくるのは僕たちが望んだものでしかないということだ。だから、こんなはずではなかったかとか、なんでこんな風になってしまったんだろうだとか、手に入れるべくして手に入れたものに対して、慨嘆するようなことは、頼むから、恥ずかしいから、やめてほしい。どこかのだれかの、碌に知らないものたちによって、自分たちの世界が変えられてしまったと、捉えているようだから、この社会はこんなにもままならないままでしかないんだ。ぼくが、あなたが、このいまに、この目の前に表れてくるものに対して、振る舞った結果が、必ず、自分自身のものになる。それでしか、自分の「世界」は作られはしない。そのことに自覚があるかどうかで、隷属することなく自分自身を、自分というものを頼りにして、生きているのかどうかを計ることができる。
社会が言っていることをひとまず、鵜呑みにする。それがまず自らの前提になるというのだったら、それが隷属しているということの意味にしかならない。自らという存在で真っ先に捉え、解釈し、比較し、分析し、理解し、導き、とにかく思考することによって、ようやく世界がどのようにあるかを定める。そうやってみてはじめて、そこに表れる自分をどうしていくのか、どうしたいのかを見立てる。それが、一人立つということで、自らで立つということで、そのどこまで行っても主体的でしかない個人的でしかない、姿勢によって、ようやく世界が、ほかの世界とともに並び存在することができるようになる。
誰かのせいにして生きる。そんな恥ずかしいことはやめなよ。
どこまでいっても、自分は自分でしかないし、世界は自分から始まる世界としてしか存在しないのに、考えることをしないで、考えることを誰かに丸投げにして、自分の生きることにエクスキューズを必ず付随させながら、言葉のとおりに、人任せに生きている。いまがいまのようになっている理由なんて、かんたんに解釈できる。というか、その程度のことでしかない。ぼくもあなたも、周りも、日本も、アメリカも、ヨーロッパも、中国も、世界のどこもかしこも、同じだ。人間がやることがほとんど同じでしかないという意味でしかない。
歴史というものの中に何度も何度も繰り返し表れてきて、人間の特性として浮かび上がってくるものと、その延長線上に、近代から現代、そしていまに続くまで、これからの将来にますます表れてくるだろう社会というものの様相に、ひとが仕出かすことの本質が仕込まれている。
全体主義的ものに巻かれていくしかない、この社会に繰り返し表れてくる意思は、ひとりひとりの人間の浅はかさとして、ひとといものの限界を認めさせてくれる。みんな左傾化していく。徹底的に自惚れることができて、自覚ということが何一つできなくて、足下を確認することから、世界を組み立てることができない。人類の可能性を無責任に勘違いできる、ポリティカル・コレクトネスで自分自身を雁字搦めにできる、差別を冗長させながら醸成させながら自らで差別を繰り出しておきながらまったくそれを無視していられる、二項対立でしか物事を捉えることができない、二重規範という意味を一つも把握することができない、ばかばかしくなるほどのろくでなしたちが、一丁前に社会的に生きて、世界を動かしていると勘違いできる世界をぼくたちはいまここに作り出している。そして、ほとんどだれもそのことに気づくことができない。
隷属の道をもうずっと歩いている。ぼくたちははじめから、手放してはいけないものを手放して、なくしたことにさえ気づくことができずに生きている。
人の生きる世界は、これからもっとズタボロになっていくだろう。それは、人が才能を存分に発揮する世界に近づいていってるからだ。進歩し、進化する、ひとの世界なんて、これまでもこれからも、表れることなんてない。
そう示してくれる、いまだ。続きを読む投稿日:2023.02.24
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