おどろきのウクライナ
橋爪大三郎(著)
,大澤真幸(著)
/集英社新書
作品情報
権威主義国家VS自由・民主主義陣営
プーチンは地獄の扉を開いた!
世界史的地殻変動を文明と宗教で読み解く
ポスト・ウクライナ戦争の世界
――人々はなぜ、おどろいたのか?――
それは自明だと考えていた前提が、あっさり崩れ去ったから。
自由と人権と民主主義と、資本主義と法の支配と、言論の自由と選挙とナショナリズムと。
(橋爪大三郎氏「はじめに」より)
◆内容紹介◆
2022年2月、誰もがおどろいたロシアのウクライナ侵攻。プーチンはついに地獄の扉を開けた。
アメリカ覇権の終焉後に始まる、ロシア、中国など権威主義国家と自由・民主主義陣営の戦いとは? 私たちは新しい世界にどう向き合うべきなのか?
この世界史的な地殻変動の本質を見抜くには、安全保障や経済政策の観点と同時に文明論、宗教学、歴史、社会学的な視座が不可欠だ。
日本を代表する社会学者が混迷の世界の深層に迫る、白熱の討論。
◆主なトピック◆
◎アメリカの戦略転換
◎急転のアフガニスタン情勢
◎「中国の特色ある」資本主義
◎資本主義にはふたつある
◎自信を失う西側世界
◎自由は普遍的価値なのか
◎どんな価値のために戦うか
◎ウクライナという国
◎ギリシャ正教は政教一致
◎ロシアとはなにか
◎プーチンの主権国家
◎西欧コンプレックス
◎合理性を超えた決定
◎ウクライナのナショナリズム
◎この戦争を歴史のプラスにできるか
◎ロシア非難決議を棄権する国々
◎ロシアと中国の違い
◎自由と平等はなぜ説得力がないか
◎ポスト・ウクライナ戦争の新世界
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商品情報
- シリーズ
- おどろきのウクライナ
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2022.11.17
- Reader Store発売日
- 2022.11.25
- ファイルサイズ
- 1.9MB
- ページ数
- 400ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (10件のレビュー)
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冷戦におけるソ連の敗北と日本の敗戦を対比
フットワークの軽い社会学者は、すべてが守備範囲なのかもしれないが、漁師に不漁の原因を問うべきなのに、なぜか八百屋が答えちゃってる感がしないでもない。
国連と別の"新国連"を創設すべきだとか、独裁政権…の核兵器を無力化する装置が必要だとか、現実感に乏しい夢のようなお話も。
キーウ侵攻の際、一列に進撃しているロシア軍がまんまと立ち往生しているのに、なぜウクライナ軍は攻撃をしかけないんだ、さては密かに内通してるんだなと軍事もご専門の様子。
「軍事侵攻の原因は、やっぱりプーチンのロシアの西側コンプレックスにある」というのが本書の結論。
ここから大澤の最も望ましいロマンチックな戦争の終わり方が開陳される。
西側に対する羨望が強いルサンチマンに転じて、ロシア性の自己主張になっている。
キリスト教文明として成功している西側に対し、よりもっと徹底した本物のキリスト教の精神を発揮すれば、コンプレックスを乗り越えることができるはずだ、と。
それは隣人愛の原理で、西側のそれは、アフガンの難民は受け入れないけど、ウクライナからは受け入れるといった中途半端さが目立つ。
ロシアの民衆が立ち上がって、侵攻作戦全体を自滅に追い込み、プーチン政権を打倒すれば、一石二鳥ではないかと。
ロシア人のポジティブな自尊心の源泉には、ファシズムとの戦いの勝利があるため、ヨーロッパの最悪の部分の否定から転じて、すべての敵をナチズムと同一視して語りたがる傾向があると指摘。
自分たちを大国とみなしてくれないことに対する怒りは相当なものがある。
核兵器が、プーチンにとっての精神的な拠り所みたいになっているため、事あるごとに使用をちらつかせている。
国が貧しくなると、真に大国同士の間では成立していた相互確証破壊の均衡が崩れ、核を使うぞと脅すなど、政治力を肥大化させる事でしか、バランスを維持できなくなっている。
冷戦におけるソ連の敗北と日本の敗戦を対比しているところは面白い。
両国とも、敗戦を真正面から受け止めることを避けた。
日本は"敗戦"を"終戦"と言い換え、自らは"解放された"んだと捉える事で、または世界第二の経済大国として復活する事で、敗北の痛みを感じずにきた。
ロシアも冷戦において敗北したが、自分たちは負けたのではなく、自らの手でソ連を解体し、新しい国を打ち立てた勝者として自己定義した。
それなのに敗者として屈辱的なポジションに甘んじ、除け者扱いされる事で、「ヨーロッパとしてのロシアではなく、ヨーロッパではないところのロシアに依拠せざるをえなく」なったと説明する。
橋爪が、中国のような権威主義的な資本主義がどれだけ危険か、あんなの”反社"じゃないかと言えば、大澤は、西側こそ中国に寄生していて、経済制裁なんて不可能なくらい依存しちゃってると反論。
すると橋爪が、いや中国共産党の方こそ資本主義の機能不全に寄生しているんで、中国に進出している企業も早々に撤収すべきだ、と。
大澤は大澤で、いやそもそも資本主義の本質からして、先進国とは異質のルールで公正さが未発達の周辺国を探して、そこから利潤を搾り取るという構造になってるんだから、デカップリングなんて無理なんだと言い返す。
ただ基本的には、両者「なるほど」「そのとおりですね」など、相づちの打ち合いに終始しているので、対論の意義は薄い。続きを読む投稿日:2023.04.26
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ウクライナ、ロシアのみならず中国、いわゆる西側諸国、中東、グローバルサウスに対する見方が非常に参考になった。
投稿日:2024.05.10
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