緑内障の真実~最高の眼科医が「謎と最新治療」に迫る~
深作秀春(著)
/光文社新書
作品情報
日本の失明原因第一位、数百万人の患者が存在する緑内障。「眼圧のコントロール」が重要とされるが、それだけでなく、視神経への血流不足や機械的圧迫なども原因と推測されている。欧米では失明しない病気になりつつあるが、日本では多くの人が正しい情報を知らずに放置し、症状を悪化させている。本書では世界最高レベルの眼科外科医が、最先端の国際眼科学会で結論付けられた知見や技術に基づき、正しい知識と最新治療法を解説。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (6件のレビュー)
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眼圧を下げただけではだめ
面白い。
自身を「最高の眼科医」と言っちゃってるのには少し引くが、日本の眼科医療がいかに遅れているかを数多くの事例とともに紹介している。
半ば常識化している医学知識をひっくり返す事実も満載なので、…自分は緑内障でないから大丈夫と思っている人も読んでみた方がいい。
ただ内容は、術式だけでなく脳神経レベルからディープに解説しているので、少しややこしいかも。
でも、著者が読者に覚えてもらいたいことはウザいほど繰り返されるので、嫌でも頭に叩き込まれる。
まず1つ目の誤解。
緑内障を眼圧が上がることで起きる病気と思っていること。
これは困ったことに、患者だけでなく医師も、このように認識していたりする。
相も変わらず「点眼薬で眼圧を下げましょう」といった、ワンパターンの治療が繰り返されているが、緑内障の原因の3割は確かに眼圧だが、他の7割は眼圧以外が主な原因となっている。
緑内障の患者の7割ほどが、いわゆる正常眼圧の中に入っている。
これは裏を返せば、「正常眼圧というのは緑内障を起こさない眼圧ではない」ということでもある。
そもそも正常眼圧という概念が、問題の本質を見失わせ、医師をも惑わす指標となっているのだ。
2つ目の誤解。
「正常眼圧とは10㎜Hgから20㎜Hgである」という誤解。
眼圧の標準的な値が10~20㎜Hgであるという考えは、日本人より角膜の厚いドイツ人(600ミクロン)の目で測定して出したものだ。
目の角膜の歪みを診ているので、角膜の薄い日本人(550ミクロン)では、眼圧測定値は低く出る。
そうなると、角膜の厚みに合わせた眼圧測定値の補正が必要。
なのに、補正もされず標準値がまかり通っている。
たとえば、角膜の厚みが450ミクロンと薄く、重症の緑内障なのに、眼圧が12㎜Hgなので問題がないと放置されている患者もいる。
3つ目の誤解。
「緑内障の根本的治療はなく、進行を遅くできるが、やがては失明する」という誤解。
世界の失明原因疾患を調べると、確かに日本では1位の緑内障が30%近くを占めている。
だが、欧米先進国の1位は加齢黄斑変性で、緑内障での失明は少なくなってきて、8%しかいないのだ。
さらにもう一つ、日本で加齢黄斑変性が少ないのは、単に診断できるスキルがないからだとチクリ。
日本の緑内障患者は、軽いものも含めると1000万人はいると語る。
軽いとは、視神経障害が始まっているのだが、視野障害が現れていない状態のことだ。
4つ目の誤解。
「視神経障害が現れると視野検査で発見できる」という誤解。
初期緑内障でも、網膜神経細胞の約20%から50%もが障害され、消失しているのだが、この程度の障害では、視野検査のみでは判別できない。
そもそも視野検査は、自覚的検査であるため、信頼度は完全ではないのだ。
光ってもいないのにボタンを押したり、光ってもタイミングが合わずに押さなかったり、中央に目を固定してと言われているのに、点灯した光を目で追う人もいる。
さらに問題なのが、最低20%以上の神経節細胞の異常がないと、視野には異常所見が出ないことだ。
まとめると、緑内障の原因で眼圧が主たる原因なのは約3割であり、その他は眼圧以外に「血流」などに問題がある場合が多いのだ。
つまり、「視神経の出口である篩状板付近の神経が圧迫されたり血流障害で起きる病気」と捉え直すべきなのだ。
具体的に見ていくと、近視が極度に進むことで緑内障につながることがある。
強度近視によって眼球が伸び、視神経が「機械的圧迫」を受け、それにより血流が悪くなって視神経の細胞を殺してしまうのだ。
さらに視野障害の原因が眼内にないこともある。
脳外科でのMRI検査により、脳内腫瘍などにより視神経が圧迫されている場合も。
さらに糖尿病によっても視野障害が起こる。
糖尿病は血流障害をきたす血管病であるという点で、緑内障と同じだ。
つまり緑内障の本質は、かなりの部分で「血管病」なのだ。
そのため欧米では、視神経での「血流低下」や「機械的圧迫」への治療や予防法が重要となってきている。
さらに従来の医学的知識である「失われた視神経機能は二度と回復しない」との医学常識も、実は間違っている。
なぜなら著者は、サプリメントを治療に積極的に活用することで、失われた視機能が改善する症例を増やしているからだ。
それと、点眼数を少なくするため配合剤を使用している患者は多いが、角膜障害が出て見えなくなった実例も紹介される。
これは、単剤の時よりも多く入っていた保存剤により、重篤な合併症を起こしたケース。
しかも一般的に、単剤の方が合剤より眼圧降下は総じて高い。
続きを読む投稿日:2024.03.04
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眼圧だけが原因ではないと知っていたが、手術的治療がそれほど積極的に選択されることは知らなかった。視神経に栄養療法が有効であることも初めて知った。深作先生にお近づきになれたらと思う。
投稿日:2024.02.12
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