この作品のレビュー
平均 4.1 (14件のレビュー)
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いやぁ〜、面白かった。
なんと言っても文体が面白かった!
かなり砕けた文体で、分かりやすく書いてくれています。たとえば頼朝が伊豆に配流されたあたりのところでは、
>頼朝は四月生まれなので(『武家…年代記』治承四年条)、この時、数え年では十四歳だが、満年齢なら十三歳になる直前、もうすぐ卒業式を控えた小学六年生である。
「頼朝の武士団」より
このように、初心者でも非常に分かりやすく書かれています。
他にも、面白くて分かりやすくたとえたり、「ちびまる子ちゃん」のナレーションのようなツッコミが入っていたりと、とても楽しく読み進められました。
特に、史料に残っている頼朝や政子などが話したことの”意訳”が面白いんです。承久の乱においての政子の演説の”意訳”は、
>「みんな。心を一つにして、きいて。あたしの最後の言葉よ。あたしの佐殿(頼朝)が、悪いヤツらを全部やっつけて、この関東(鎌倉幕府)を作ってくれてから、官位(官職と位階)でも、シノギ(収入)でも、佐殿が、みんなにしてくれたことの恩は、山よりも高くて海よりも深いでしょ?(後略)」
「頼朝の武士団」より
このような感じです。
初心者でも本当に読みやすいので、鎌倉時代が苦手で「鎌倉殿の13人」の予習をしたいけど…という方はぜひぜひ公式サイトの人物相関図を見ながら、この「頼朝の武士団」を読んでみて下さい。続きを読む投稿日:2021.12.25
源頼朝は鎌倉幕府を開いた。これは日本初の本格的な武家政権であり、日本の歴史上、画期的な出来事である。しかし、征夷大将軍就任で鎌倉幕府を開くという視点は古い歴史観になっている。頼朝は鎌倉殿としての私的権…威を拠り所にしていた。
鎌倉幕府の成立をいつとするかは諸説ある。主な説は以下である。
・治承四年(一一八〇年)の鎌倉殿誕生
・寿永二年(一一八三年)の十月宣旨
・元暦元年(一一八四年)の公文所と問注所設置
・文治元年(一一八五年)の文治勅許による守護・地頭の設置
・建久元年(一一九〇年)の近衛大将就任
・建久元年(一一九〇年)の日本国総追捕使の地位確認
・建久三年(一一九二年)の征夷大将軍就任
これらのいずれかが唯一の真実というものではない。ある日突然、鎌倉幕府が成立したというものではないためである。
源頼朝は治承四年(一一八〇年)に鎌倉に入り、ここを本拠地と定めた。邸宅(大倉御所)を建設し、一二月一二日に完成して入った。この時のことを吾妻鏡は「しかりしより以降、東国皆その有道を見て、推して鎌倉主となす」と書く。この時から東国の武士達は頼朝を鎌倉主(鎌倉殿)と推戴したする。
これを鎌倉幕府の始まりとする説が有力になっている。これは鎌倉幕府自身の歴史観になる。「『吾妻鏡』が右の一文を記していることは、鎌倉幕府自身がこの頼朝の大倉邸入りをもって、鎌倉幕府の正式なスタートであったと考えていたことを示している」(細川重男『頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」』朝日新書、2021年、155頁以下)。
鎌倉殿誕生を幕府の開始と見る立場は、朝廷から何かを認められたことが重要ではなく、東国武士団が朝廷とは無関係に頼朝を自分達の主と認めたことが重要とする。一方で、この時点では南関東を勢力圏とする地方政権であり、日本史上の制度としての幕府の始まりとしては弱い。
その後の出来事は鎌倉幕府の発展過程となる。故に2022年のNHK大河ドラマのタイトルは『征夷大将軍の13人』ではなく、『鎌倉殿の13人』となる。続きを読む投稿日:2022.11.19
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