キャッシュレス・マーケティング ウィン-ウィンの仕組みを築く
長谷部智也(著)
/日本経済新聞出版
作品情報
決済業界のイノベーションの波に乗れずに衰退していく企業、企業としては生き残るが、大きくビジネスモデルを変革するものが出てくる時代がやってきました。一方で、大きなチャンスを手にする新規参入企業が登場するのかもしれません。今後、決済の世界で覇者となるのは、従来のカード会社か? 小売や通信などの異業種のプレーヤーか? やはりGAFAなのか? それとも、これまで以上に国際ブランドが力をつけてくるのか? あるいは、いまは誰も想像もしていないプレーヤーが勝者となるのか? 生き残りを賭けた戦いはすでに始まっています。本書では、ともすると供給者側の論理に終始してしまうことも懸念される、昨今の消費者不在のキャッシュレス推進に一石を投じ、日本であるべきキャッシュレスと、キャッシュレス社会で勝ち抜くための要諦を、決済事業者と加盟店それぞれの経営戦略の観点から論じます。日本におけるキャッシュレスは、加盟店と決済事業者がWin-Winの関係を構築し、キャッシュレスを通じて企業の売上成長に貢献し、消費者も自らが気づいてすらいなかったニーズが満たされるような形で進展すべきです。いまは残念ながらそうはなっていません。真のキャッシュレス時代到来へ向けたアクションを本書では考えます。
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商品情報
- 著者
- 長谷部智也
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2020.10.20
- Reader Store発売日
- 2020.10.20
- ファイルサイズ
- 12.6MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (2件のレビュー)
-
とはいえ、きっちりと日本でもキャッシュレスは市民権を得ました。それは利用者側であり、その先のハナシもあるわけですと言う仕組みなハナシ。でもっても一般利用者や、世間的な認知度を広めない限りは、その先はな…いわけなんで、ここ1,2年ってのは、その分野はまさにもう大量発生の類でありました。で、そんなお祭り騒ぎも落ち着いた先には、その先があり、こういうのって数年度再読しても面白いんだよな。続きを読む
投稿日:2021.10.06
キャッシュレスは間違いなく進む。
それが、どう進んでいくのか?
そして、進んだ先に何が待っているのか?
こういう視点で考察すると、意外にも今まで語られていた文脈とは違う点が見えたりする。
事象を正しく…捉えるには、まずは現状を認識することから始めるべきだ。
それも歴史から学ぶことが大切なのだろうと思う。
歴史を流れで捉えてみると、改めて見えてくる世界がある。
それが「お金」という世界だ。
単純に貨幣や紙幣の歴史も興味深いのだが、ここ数年間の「キャッシュレスへの流れ」を見るだけでかなり面白い。
現金の取扱いが極めて安全な日本という国。
クレカなどのインフラがある程度整っていたが故に、モバイル決済が進みにくくなってしまった日本。
これら背景の影響で、キャッシュレス化への転換に対するモチベーションが低かったのは事実だ。
キャッシュレス化することで、目に見えるメリットがあれば、転換のモチベーションも高まるだろう。
例えば「売上が増える」となれば、キャッシュレス化は進むと思うが、事はそう単純ではない。
キャッシュレス化が進んでも、現金が何かに置き換わっても、売上そのものが増えるとは考えにくいからだ。
考えて見ればそれはその通りだろう。
他のモチベーションで言えば「手間や経費が下がる」も要因にはなり得る。
しかし本書でも記載があるが、例えキャッシュレス化は進んだとしても、現金の流通量がゼロになることはない。
それであれば、店舗などでのレジ締めの手間はあまり軽減されないのではないだろうか。
これも置き換えのモチベーションとしては、あまり高まらないということになってしまう。
こういうトピックだけで、自身の思考を巡らせてみるのも面白い。
確かに今まで気づかなかったことに気がつくものである。
果たして「キャッシュレス化」とは、誰が一番得することなのだろうか?
確かに現金決済ではなく、キャッシュレス化すれば、購買データは確実に貯まる。
それを元としてマーケティングに活かせるのも事実。
しかしそれによって本当に「売上が増える」のか?
考えれば考えるだけ難しさだけが頭をよぎってしまう。
それは「自分ならどうするだろう」という問いや、「キャッシュレス化でこうなってほしい」という願望があるからだろうと思う。
未来でテクノロジーが益々進化すれば、キャッシュレス化と並列して、AI化・ロボット化も当然に進む。
そういう時代には、空気を吸うように買い物も自動化されていくのだろうか。
歯磨き粉が切れて自動で補充されるのはありがたいが「今日のランチは、パスタ?定食?ラーメン?」なんて思考を巡らさせただけで勝手に家に届いてしまっては迷惑この上ない。
「このスポーツカー格好いいな」なんて考えただけで、勝手に何千万円もする車がキャッシングされて届けられてもそれこそ困る訳だ。
何でもかんでも自動化されればよいという話な訳がない。
購買データは確かに貯まるかもしれないが、それもほんの一部なのかもしれない。
生活のすべての決済を、例えばAmazonや楽天などの1社で完結させない限り、購買データは結局不完全なものとなってしまう。
現在日本で普及しているクレカもQRコードも、1~2社で独占という状態にはなっていない。
各社に分散している以上、これも購買データはいつまでたっても不完全なままと言える。
そんなデータで、果たして正しく買い物を判断してくれるのだろうか。
キャッシュレス化が進むのは間違いないと思うのだが、それによって誰が一番恩恵を被るのか。
やはりもっともっと思考実験をしていく必要がありそうだ。
そういう考えるきっかけになる本だとは思う。
やはり日本の状況を考え、キャッシュレス化することで全体のお金の流通量(総量)が増やすのであれば、インバウンドに対応するということか。
旅行者向けに買い物をしやすくする。
サービス面を向上させることは、それは旅行者にとってもメリットだと言えるだろう。
いずれにしても、他の視点も出てくるかもしれないので、もうちょっとキャッシュレス化のことについて調べてみたいと感じたところである。
(2022/6/7)続きを読む投稿日:2022.06.11
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