学校の「当たり前」をやめてはいけない! 現場から疑う教育改革
諏訪哲二(著)
/ボイジャー
作品情報
ベストセラー『学校の「当たり前」をやめた。』徹底批判!
麹町中学校長、工藤勇一氏のベストセラー『学校の「当たり前」をやめた。』(時事通信社)を徹底批判。学校の「当たり前」を廃止して教育を合理化する工藤校長の学校改革は、はたして子どものためになるのか。教師は、個人の力量や経験だけではカバーしきれない部分を、学校の「当たり前」で補っているという持論を基に展開。同書を適宜引用しながら、学校共同体の大切さや定期テストの意義、担任の権威性、近代的人間が備えるべき教養など、著者の現場での経験を踏まえて幅広く言及し、学校のあり方を考える。
【目次】
第一章 学校が子ども・社会に果たすべき役割
第二章 「人間形成」か「経済的利益」か
第三章 工藤勇一著『学校の「当たり前」をやめた。』を読む前に
第五章 『学校の「当たり前」をやめた。』が目指すもの
第六章 「教育の原点」の既視感
第七章 学校を動かす四つの「ちから」
第八章 社会と学校のつながり
第十一章 学級はいらない?
【著者】
諏訪哲二
1941年千葉県生まれ。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年に定年退職。「プロ教師の会」名誉会長。作家。著書に『オレ様化する子どもたち』『いじめ論の大罪』『尊敬されない教師』など。
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この作品のレビュー
平均 3.5 (4件のレビュー)
-
1年半くらい前に出て話題になった某書に対して、真っ向からもの申した1冊。なかなか読み応えがありました。
最初に、学校教育の役割とは、ということで、著者の考えが整理されます。この論点が納得できない…と、その後は読んでもよくわからない、ということになると思います。詳しくはフレーズに登録しておきましたが、「人間形成」と「人材養成」という筆者の造語で定義された、教育に対する根本的な考え方の違いを理解して読み進める必要があります。簡単に言えば、「人間形成」は、勉強以外に人格形成まで学校が担っているという立場で、この本では、現場がその立場ということになります。一方、「人材養成」は、子どもはすでに人格を保有しているため、自己の利益のために勉強するのであり、学校の役割は、その勉強を教えればいいという立場で、この本では、教育行政がその立場のようです。ちなみに、筆者は現場の代表であり、この本で反論されている某書の筆者は教育行政側の代表ということになります。
さて、某書で「やめた」と書かれている「当たり前」には何があるのか。この本では、「服装頭髪指導を行わない」「宿題を出さない」「中間・期末テストの全廃」「固定担任制の廃止」を取り上げ、考察しています。やめたと言いつつ実際にはテストの回数は増えているとか、そもそも担任はクラスに固定しているから担任というのに、なぜあえて固定担任制というのかとか、そうした表面的なところから、そもそもその「当たり前」にどんな意味や価値があるのか、あるいは、「当たり前」をやめるために校長がどのようにそれを学校に持ち込んだのか、その手続きなどについても、某書を読み解きながら考察しつつ本書は展開していきます。
面白かったのは、某書の筆者が掲げている「教育の原点」であるとか「最上位の目標」に対する反論です。私は某書も読みましたので、そのときは、某書の筆者があえて子どもや保護者にわかりやすい表現を使っているのかなととらえていましたが、本書では、教育の歴史的な経緯であるとか、最初にご紹介した「人間形成」と「人材養成」の整理で考察しています。特に、歴史的な部分は、私はよく知らない部分でしたので、興味深く読むことができました。
某書を読んだ感想で、私は次のように書いています。
「さて、この実践が、本当に未来からも評価される実践となっていくのでしょうか。それを確かめるには、もう少し長い目で見ていく必要があると思います。楽しみです。」
教育というような、評価が難しいものを、いろいろな視点から論じることはとても大切です。某書のようなアプローチもあれば、本書のような考え方もあるわけです。私は現場の視点も教育行政の視点ももっているのですが、どちらの本も納得しながら読むことができました。ただ、この本の中にも、p.118「<出題範囲が事前に示されない>とわざわざ言い切っているところをみると、授業でやっていない内容と範囲も出題するというのが本意だろう。」というように、やや筆者の推測となっている部分もあるので、できれば、筆者と某書の筆者の直接対決、あるいは対談のようなものを聞いてみたいと思いました。逆に、今度は教育行政の立場から本書検証するような本がさらに出ると、盛り上がると思いますが、誰か出さないですかね。
2020.9.29追記
本の感想を送ったら、図書カードが当たりました。ラッキー続きを読む投稿日:2020.08.30
わたしは公立中学校に17年勤めており、現在3年生の担任兼学年主任をしている者です。工藤氏の著書は既読しております。わたし個人の感想としては、本書の著者である諏訪氏の意見に頷ける部分もあるものの、若干工…藤氏の主張に分があると感じています。その前提として、今の学校教育の現場は、遠くない未来に破綻するという実感があるからです。諏訪氏の現場感覚は素晴らしいのですが、彼の主張を裏付ける体力が現場にはもうありません。一番顕著なのは、担任制です。担任は確かにやり甲斐はあるのですが、その重責に耐えきれず、休職してしまう教員が後を断ちません。さらに、その代替教員は補充されることはありません。その結果、残された教員たちは疲弊し、子ども達への指導が不十分になります。なら、最初から全員担任制をひき、責任を分散させる工藤氏のやり方は理に適っていると感じます。諏訪氏の意見で頷けたポイントは、教育に方程式はなく、生徒は一人ひとり心の通った「個」未満の存在であるということです。学校生活での経験を積んで、近代社会の生活に適応していくのだと。(自律と自立のくだりは屁理屈のように聞こえましたが…。)いずれにせよ、工藤氏の理論が上手くいくかどうかは分かりませんが、現状維持では学校が立ち行かなくなることは明白です。「学校の当たり前」を変えていく時期なのではないかと思います。続きを読む
投稿日:2023.12.12
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