モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方
島村 華子(著)
/ディスカヴァー・トゥエンティワン
作品情報
「すごい!」「よくできたね!」「さすがお姉ちゃんだね!」よかれと思って、そんなほめ方をしていませんか?「ダメって言ったでしょ!」「早くしなさい!」「どうして約束が守れないの?」しつけのために、そんな叱り方をしていませんか?じつは、「ほめる」「叱る」の声かけ次第で、親子関係や子どもの育ち方に大きな影響が見られます。日本人に多いとされる「自己肯定感」の低い子どもは、謙遜文化による「ほめ不足」が原因ではなく、「非効率的なほめ方や叱り方」が原因かもしれないのです。注目が集まっているプログレッシブ教育(進歩教育、オルタナティブ教育)の代表格である「モンテッソーリ」と近年最注目の「レッジョ・エミリア」を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士による、エビデンスに基づく最先端の教育メソッドをほめ方・叱り方という「声かけ」に落とし込んだ画期的な最新子育てバイブルです。*本書は、おもに3~12歳の子どもを対象としています。
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商品情報
- 著者
- 島村 華子
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 書籍発売日
- 2020.04.17
- Reader Store発売日
- 2020.04.17
- ファイルサイズ
- 16.8MB
- ページ数
- 200ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (160件のレビュー)
-
【感想】
本書では、従来の褒めかたや叱りかたである「条件付きの接しかた」をタブーとし、子どもと親が対等で尊重し合いながら言葉を交わす大切さを論じている。
何故家族の間で尊重し合う必要があるのか?
そ…れは、子どもは意外と「大人びている」からだと、私は思っている。
子どもは意外と空気を読む。気まずい空気では黙り、神妙な空気では厳かになり、楽しい空気ではいの一番にはしゃぎだす。先生(偉い人)からのえこひいきが嫌いであり、当たり散らす怒りかたと、自分のためを思った怒りかたの違いを見抜いている。
子どもは行動こそ幼稚だが、行動を引き起こす心理面は、実年齢よりもある程度発達しているといえるだろう。子どもは想像以上に大人なのだ。(逆に言えば、いい大人でも行動原理は子どもと大差ないということだ)
それを前提とすれば、子どもをしかる・ほめるときは、大人相手と近い形で、対等な関係性のもと言葉を選ばなければならない。
ほめる・しかるとは本来、上の立場の者が下の立場の者に評価を下す行為だ。そうした一方的なコミュニケーションを繰りかえしていては、例え投げかける言葉がポジティブであっても、「自分をきちんと見てくれていないな」と感じてしまう。結果、ほめ言葉を安っぽく捉えてしまい、親のご機嫌を取るようになってしまう。
大切なのは愛をもって尊重することだ。言い換えれば、「対等な立場からあなたを尊敬していますよ」と態度で示すことなのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
この本で私が一番気に入っているのは「おわりに」の部分だ。
「おわりに」で書かれているのは、「無理しない子育て」の方法である。
本の中では子どもを正しく褒めて正しく叱る方法が紹介されていたが、それよりも大切な心がけがある。それは、「子どもに対して過度な期待をせずに、親自身の心の満足度を高い状態で維持すること」だ。育児の一丁目一番地とも言える優先事項である。
その言葉は、子どものためを意図して書かれたものではない。むしろ、育児に悩む親に対して向けられた金言であり、抱えきれないほどの子育てに潰されないようにするための予防線である。
自分がせっかく教えたのに、今日も部屋の片づけをしない。せっかく買ってきたおもちゃなのにすぐ飽きて放ってしまう。上手くいかないイライラが余計口を悪くし、子どもにもっともっと強くあたってしまう……。
勉強しろ、早く寝ろ、好き嫌いをするな……。育児にはさまざまな小言がつきものだが、全て子どものためを思って口にしていることだ。しかし、子どもがそれを「愛情の裏返し」と受け取ることはほとんどない。結局のところ、あれこれと口を出したとしても、そのほとんどは徒労に終わることになる。
であれば、親に必要なのはむしろ、子どもに対して「期待していること」と「期待していないこと」を線引きし、その枠内で無理のない育児をする、ということではないだろうか。そして、万事が親の思い通りにならない以上、子どもが言うことを聞かないなんて取るに足らないと割り切り、ストレスとして抱えこまない――それが健全な育児なのではないだろうか。
子育てに見返りを求めてはいけない、まさにこれに尽きるのだ。
本書は一生懸命な子育てを教えているわけではない。むしろ、肩の力を抜いた子育てを教えてくれているのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【本書のまとめ】
1 従来の褒めかた・叱りかたの罠
日本人に多いとされる「自己肯定感」の低い子どもは、「非効率な褒めかたや叱りかた」が原因かもしれない。
ほめるという行為で褒美を与えることは、罰と同じように、無意識であったとしてもやりかたによっては子どもたちの行動やモチベーションを外的にコントロールし、その子の本当にやりたいことの妨げになる可能性がある。
モンテッソーリ教育などのオルタナティブ教育は、子ども一人ひとりを生まれながらに能力を持ち合わせたパワフルな学習者であるだけでなく、権利をもった一市民としてみなす。
2 無条件の接しかた
子育てにおいては「無条件の接しかた」、つまり行動の良し悪しにかかわらず愛情を注ぎ、子どもの気持ちに寄り添うのが有効である。子どもの考え方や行動の理由をまず考えるやり方だ。
反対に、条件付き、つまり愛情や褒美を餌にする接しかたを繰り返すと、褒められたときに愛されていると感じ、逆にそうでないときには愛されていないと感じてしまう。
一つ大切なことは、無条件子育てとは、子どもに好き放題させることではない。無条件に子どもの言うことを聞くことでもない。具体的には、次の5つの原則に沿って子育てをすることだ。
①ほめかたと叱りかたに気を付ける
②子どもに対するイメージを見直す
③子どもにとって良きリーダーである
④子どもへの要求を考え直してみる
⑤子育ての長期的なゴールを持つ
①ほめかたと叱りかたに気を付ける
→能力や見た目に集中した声かけではなく、努力や経過に言及したり、子どもの行動について具体的に声をかける
②子どもに対するイメージを見直す
→大人は、無意識のうちに大人に「迷惑」をかけない子どもを求めている。大人の勝手な思い込みが、子どもの可能性と経験を狭めることになってしまう。
③子どもにとって良きリーダーである
→子供の自立したい気持ちを尊重し応援しながらも、自由に伴う責任の大きさも提示する。また、子どもを頭ごなしに批判したり、子どもの意見を一蹴したりせず、話し合いをもとに解決策を見出す。
⑤子育ての長期的なゴールを持つ
自分の子どもにどういう人間になってほしいかを考え、普段の自分の接しかたがこの子育ての長期的なゴールの妨げになっていないかを考えてみる。
3 ほめるときのポイント
①成果よりも、プロセスをほめる
②もっと具体的にほめる
③もっと質問する
子どもが本来求めているのは評価ではなく、何かを達成したとき、新しいことを発見したとき、嬉しいことがあったときに、大好きな両親や先生とそれを共有すること。そのために、結果よりも過程、漠然よりも具体、YES/NO質問よりも自由回答形式の質問をする。
(例)才能あるね!→すごく集中して何度もチャレンジしていたね
さすがお兄ちゃんだね!→自分から進んで挑戦してくれたんだね
えらいね!→最後まであきらめないのがよかったね
4 叱るときのポイント
①ダメ!違う!をできるだけ使わない
②結果ではなく努力やプロセスに目を向ける
③好ましくない鼓動の理由を説明する
④親の気持ちを正直に伝える
(例)
・壁に落書きをしたとき
何て悪い子なの!→壁以外にどこに描けるか一緒に考えてみようか
・ジュースをこぼしてしまったとき
なんでそうやっていつもこぼすの!→どうしたらこぼれずに済むかな?
・門限を守らないとき
どうしていつも遅いんだ!→遅くなるとすごく心配だから、時間どおりに帰ってきてくれると嬉しいな
5 子どもと親が対等で両方幸せなとき、子育ては上手くいく。
「子どもを尊重する」というのは、好き放題にやらせ、まったく叱らないということではない。叱る前に、自分の期待が子どもの発達にふさわしいものか?大人にとって不都合だから叱っていないか?をもう一度問い直してみる。
ポイントは、「無理しない子育て」をすること。
現代の親にとって、社会が期待する「完璧な母親像」というのは大きなプレッシャー。そのため、理想の母親像に到達していないと自分で感じている場合、強く罪悪感を覚えてしまう。
大切なのは親自身が幸せであること。仕事と子育ての両立で焦ったり罪悪感を感じたり、あるいはストレスを感じている母親と一緒に時間を過ごすほうが、子どもの心にネガティブな影響があることがわかっている。
親自身が幸せであれば、子どもに与えられることも増える。
全部やろうとしなくていい。ときには大げさに褒めたりイライラして叱ったりしてもいい。反省・成長を繰り返しながら、自分にできることをできる範囲でやる、そんな子育てでいいのだ。続きを読む投稿日:2021.05.18
◾️なぜこの本を手に取ったか
子供が産まれて、この子をどう育てたら良いのか、どんな子に育って欲しいのかを考えるきっかけになったら良いなと思って。
◾️読んでみての感想
この本を読まなかったら知らなか…った、親としてのやりがちな声掛け、価値観の押し付けをしていたかもしれないと感じた。
モンテッソーリ教育って知れば知るほど、子供扱いせず1人の人間として平等に接すること、成長をサポートしていくことがわかって面白い。
シチュエーションも細かく設定されていたり、箇条書きでポイントごとに分かれているので、気になる章から読んでも理解しやすい。モンテッソーリ教育について気になる人にとっての入門編としてわかりやすい。
◾️響いた文 以下抜粋含む『』内は抜粋
一章 親の声掛け次第で、子どもは変わる
P.19
『子育てにおける2種類の子どもへの接し方
①条件付きの接し方 例、早く〇〇しないと何々してあげないよ
②無条件の接し方 例、考え方や行動の理由をまず考え、できるようサポートする
愛情を餌にするら接し方を繰り返すと、褒められた時に愛されていると感じ、逆にそうでない時には愛されていないと感じてしまうのです。』
→子どもは自分のことがまだうまくコントロールできない、言葉にできない、泣いたり喚いたりすることで自己表現をしている。だからこそ、大人が子供の気持ちを理解して代弁してあげることで気持ちを整理していく。
P.20 8行目
『子どもは親からの愛情をつねに欲しています。そのため、愛されるために褒められる行動をする、愛されるために親の機嫌を伺うような行動をしようとします。』
という文に、まだ0歳児の我が子を見て、涙が溢れた。これからこの子が自我を身につけ、イヤイヤ期が訪れ、成長していく中でも、忘れてはいけない言葉だなと思った。
•p.6 はじめに
6行目
『モンテッソーリ教育とは、子ども一人ひとりを生まれながらに能力を持ち合わせたパワフルな学習者であるだけでなく、権利を持った一市民とみなします。』
→モンテッソーリについて知らなかった前提部分。ちなみにモンテッソーリの歴史は、マリアモンテッソーリといつイタリア初の女性医師によって110年前に築き上げられた教育方。発達の遅れがあるとされる子どもたちを見ながら、子どもの発達を助ける環境や大人の関わり方を模索し、いまのモンテッソーリ教育に繋がっている。
P.23『表面上の行動だけに囚われると、子どもの本質を見ることを忘れ、ほめるか罰するかという観点だけで子供を見るようになる。』
P.57 2章 自分で出来る子に育つほめかた04
『ほめるときの3つのポイント
①成果よりもプロセス(努力、姿勢、やりかた)をほめる
②もっと具体的にほめる =見たままを具体的に描写する
③もっと質問する=大切なのは子どもがどう感じたからどう思ったかということであり、親がどう思うかは重要ではない。会話のキャッチボールができるような自由形式の質問をしましょう』
P.103 3章自分でできる子に育つ叱り方07
『上手な叱り方4 / 07 親の気持ちを正直に伝える
私メッセージの作り方 4要素
行動+感情+影響+提案
例、
•行動→ おもちゃの取り合いになって弟のことを蹴ったのね
•感情→ 蹴ったりして暴力を振るうのを見ると、ママはとても悲しい気持ちになるよ or
蹴られた時に弟が泣いて落ち込んでいたよ
•影響→ けんかをして椅子が壊れたから、もう使えなくなった or
蹴られて、弟は落ち込んでずっと泣いちゃっていたよ
•提案→ 暴力を使わずにおもちゃを2人で使う方法をみんなで一緒に考えてみよう』
→親として怒るのではなく、叱ること。
怒るのは感情、叱るのは親の責任。
親の感情ではなく、事実とその影響、最後にどうすればよかったのかを話し合う。
P.140 4章 子供とつながる聞く習慣03
『実際にアクティブリスニングをやってみよう
反復、言い換え、明確化、要約をしながら、子ども目線で考える。』
まずは子どもを観察すること、そこで気づく成長や変化を言葉にして、何を考え思っているのか聞いてみる。対話を楽しむ気持ちが重要。
続きを読む投稿日:2024.06.04
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