松井石根と南京事件の真実
早坂隆(著)
/文春新書
作品情報
“大虐殺の首謀者”として裁かれた軍人は中国を深く愛していた。ついに明らかになる南京戦の全貌──。
折り重なる屍体。過酷な戦場の現実。押し寄せる日本軍に中国軍司令官は逃亡する。軍律に厳しい松井と血気にはやる師団長の確執。中国便衣兵の無法と日本兵の混乱・・・・・・。その時、南京城内で何が起きたのか?
南京事件の罪を問われ東京裁判で処刑された松井石根を、中国人は今も「日本のヒトラー」と呼ぶ。著者はこの悲運の将軍の生涯を追いながら、いまだ昭和史のタブーとされる事件全貌の解明に挑む。
【目次より】
第1章 日中友好論者への道
第2章 大亜細亜協会の台頭
第3章 上海戦
第4章 南京戦
第5章 占領後の南京
第6章 興亜観音
第7章 東京裁判
最終章 歿後
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商品情報
- シリーズ
- 松井石根と南京事件の真実
- 著者
- 早坂隆
- ジャンル
- 教養 - 戦記(ノンフィクション)
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2011.07.20
- Reader Store発売日
- 2019.07.19
- ファイルサイズ
- 2.4MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (5件のレビュー)
-
南京大虐殺で殺害された人数は30万人とも言われるが、実際のところ当初よりその数字については根拠に乏しく、何を以ってか正確な数とするかは未だ分からない。ただ歴史の事実として、当時の日本と中国の外交関係と…日本軍の進軍の跡を辿れば、南京に対して帝国陸軍が侵攻し兵士だけでなく民間人に死者が出たのは間違い無いだろう。それが誰の手によって行われたのかすら、未だもって謎は残っている。そこにも日本軍兵士の中にも軍規を破り殺害や強姦などを犯した者もいるだろうし、中国側にも撤退を許さず味方を殺害したり、攻め込んでくる日本軍に対して糧秣を渡さないよう民家を焼き払う行為もあったであろう。何も大小程度の差こそあれ両軍が民間人に対して犯した罪である。
これを戦時下において逐次厳密に処理するのは難しく、だからと言って仕方ない事だと無視する事は出来ない。広く捉えれば、全てはそこに至る戦争の過程に原因があり、さらには両当事者の関係性を正常に維持できなかった政府、そしてその政府を選んだ国民にまで責任は広がる。その結果の一部が南京という当時の首都機能の破壊に繋がり、そこに暮らす人民の殺害を引き起こした。
こうなるとその責任を誰に求め誰を処罰すべきかという話になるのだが、本書「松井石根と南京事件の真実」は責任を負って東京裁判で絞首刑となった松井石根の中国に対する考え方、戦争との向き合い方について新書にしてはページ数はやや多く、多くの逸話を以て我々に教えてくれる。
我々が認識する松井石根とは南京攻略の指揮官、事件の首謀者としてのものが大半であろうが、本書では親中派として中国との和を実現しようと、蒋介石との関係に苦悩する姿が見えてくる。表面的にはあれだけの(数字については未確定ではありながら)事を起こしておきながら、中国との未来建設的思考を持つのは俄かに信じ難いが、中国に対する強い思い入れと国民党政府の態度に起因する軍事行動と、その反動の大きさが松井に強く衝撃を与えていたことがよくわかる。
松井は死刑になる最後の瞬間まで中国との恒久的な和平、親交を願っていた事が容易に想像できるのだが、歴史とは残酷なもので、彼を刑場の露として葬り去る。前段に書いた様に、誰に責任があるかを考えた時、真に和平を願いながら歴史の大渦に抗いきれなかった人間と、遠い地に居ながら好き勝手言う人々。確かに兵士を統率統制不十分の罪は大きく許されるものでは無い。だが1人に責任を押し付けることも間違えている。国民全員が考えなければならない問題である。
戦犯問題は戦勝国の好き勝手に行われた印象が強く、インドのパール判事が言うように、事後法に基づく審判は裁判のあるべき姿である罪刑法定主義の原則を覆す惨事である。だが本質を見極めれば国民全員を裁くのは不可能であり、中には戦争に心底反対しながら不当な扱いを戦時中に受けた人々も居るから、それを正確に選別する事など時間的にも作業量的にも無理だ。わかりやすく間違いの無いところで1人に負わせ処断した事はある意味では正しい。それを靖国合祀問題に取り上げて議論する事も間違いでは無い。だがその1人の犠牲者に全てを負わせて自分たちは蚊帳の外と言うのは虫が良すぎる。現在もなおロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ侵攻など多数の戦争が継続されている。国民は皆自分の意思を強く声に行動に出さなければならず、それを放棄する事は太平洋戦争に一喜一憂した時代の国民と変わらない。あなたはどう考えるか、そう問いかけてくる一冊である。続きを読む投稿日:2024.04.05
読む前と後では、松井石根に対するイメージがガラリと変わった。そこまで、中国の事を考えていたとは、思ってもみなかった。
投稿日:2015.01.08
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