この作品のレビュー
平均 4.1 (96件のレビュー)
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ラストの2人が微笑ましい
前巻で謎のままだった薄刃家のことが明らかになりました。美世の母のことも。まさか黒幕が***だったとは。ラストは、微笑ましい清霞と美世の姿が見れて良かったです。
投稿日:2023.07.29
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美世さんつえー!清霞さんつえー!
おれつえー、ならぬ夫婦つえー!を楽しめる回でした。
え?短すぎ?
はい。もう少し詳細にお話させていただきます。
※
以下、ネタバレを含みま…す。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
今回初登場の新くん。そしてまさかの美世さんの実のおじいさんまで会えるという衝撃の展開。
表沙汰こそ、家のしきたりや、古来からの慣わしに則り、対立者に侮られぬよう、秩序を守り続けるよう、まるで人格や意思を軽んじたような振る舞いを見せますが、他の誰もいない家族だけの時間になれば、それはそれは深い愛情を示してくれました。
トランプ大統領の側近である人が、これまたトランプさんの理解者である、饗庭さんに伝えた言葉の中で、印象的なものがあります。「饗庭さん、弱さは、挑発だと私は思います」と、彼は言いました。結局、永く、世の中を守り続けるためには、侮られてはいけないのです。カラスをはじめとした鳥たちが何故、餌場一つのためだけにあれだけ縄張りを争うのかといえば、メスへのアピールもありますが、それ以上に、実力を示して侮られなければ、一族を絶滅させるような争いにまで発展することはないからです。超人的な武道家を前にすると、どんなに戦いの素人であってもその気配を悟り、自ずから、その人と戦うことを諦める姿に似ています。
戦うことを諦めさせることが、平和になるのです。そのためにはどうしても相手に侮られない強さが必要です。そしてそうした強さというものは、その価値観の外からいる人から見たとき、大層、居丈高で、窮屈なものに見えてしまうのです。私は、薄刃の力が、国家を転覆させることも可能なほどの恐ろしいものであることを、誰よりも薄刃の家系の者たちが理解しているからこそ、そうした振る舞いを惜しまず続けているのであろうことを鑑みると、深く尊敬の気持ちを覚えます。
それにしても、新くん。新くんですよ。
ReLIFEのファンであることも相まって、どうも私は「あらた」と名前のつく人物に弱いです。笑 強烈に感情移入してしまいました。
歴史の視点で省みましても、日本人には貨幣経済は似合わず、また学歴秩序も似合わないことは確かです。江戸の老中になるために必要なのは、科挙のようなペーパーテストではなく、その実力を認められる機会で十分に働くことでした。家柄があってもその力が及ばなければその座には長くとどまることもできなかったのです。
そこを鑑みますと、ちょうど貨幣経済により、諸外国との軋轢の中、急速に生活を変えざる得ない状況となり、誰もが生活の中で、自分の心と周囲の環境との動きの差に追いついていけなくなり、苦しむ思いを抱えた人は多かろうと思います。新くんは、本来の姓を変え、強大な企業として生き残るための努力を続けて来ました。まさに彼の場合は、個人の自由を獲得したいという誇りと、陛下に任された家の使命があり、伝統的な価値観と変わりゆくリバタリズムを同時に抱えた人だと分かるのです。
そんな彼の一生懸命な姿を見ていると、なんとも応援したくなります。第1巻の幸次さんによろしく、彼も今後、幸せが満ちていくことを願います。・・・とはいえ、もちろん、路頭に迷ったり、まさに霊障によって実際に家族を失ってしまった人たちもいたであろうことを鑑みますと、新くんはすでに幸せではあるのですが。
また、皇太子の父、つまりは陛下が薄刃を恐れて、鶴木家の経営を傾けさせ,齋森家に美世さんの正体を知らせ、あまつさえ、清霞さんがオクツキ荒らしの悪霊によって死に至ることさえ謀略を企てていたという件は衝撃的でした。
しかしこの件も、実在の歴史、特に、室町時代や南北朝時代にまで遡ると、それほど珍しくもないことです。あるいは菅原道真さんが他界された後の、藤原家絶頂期における皇族をめぐる陰謀や、もっと前の、蘇我一族が天皇簒奪をおそらく歴史上初めて企てたこともまた、陰惨なものでした。近衛文麿もまた、皇位にとって代わろうとしたように見える行動が多かったです。※占領神話の崩壊/西俊夫 近衛文麿/林千勝 等参照
しかしその度に、中臣鎌足や一条経嗣などが現れ、歴史は必ず皇位が滅ぶことを避けてきたのです。本編におかれましても、皇太子様によってそれは防がれました。世界史を学ぶと、それはそれは残酷な戦争の歴史であるのに対し、日本は水に囲まれていたこともあり、とても穏やかな時代を過ごしました。これは島国にはよく見られる傾向で、ケルト文化などと融和したイギリス国教会もまた、歴史が長いことがその証明となります。文明は基本、大陸の大国ではなく、むしろ海に囲まれた小国の長い平和によって育てられたのです。
とはいえ、そんな平和も永遠ではなく、航海の技術が進んだり、貿易、戦争を避けられなくなってくると、望まざるとも、大陸の、常に戦争をし続けるしか、裏切りと謀反に怯えて支配するしか出来なかった歴史の思想に影響され始めます。やがて日本にも貨幣経済が入ってくるに連れて、そして、からごころから始まる西洋かぶれに続いて、格差が明らかとなり、そのことを憂いたり、驕ったりする者も、現れます。南北朝の時代などはまさにその象徴ですが、本編中に見られた陛下の疑念や、鶴木家を貶める陰謀を立てなくてはやっていけないほどの恐怖というのは、まさに中国の諺の「枕を高くする皇帝は早くに亡くなる」というものに似ています。安心して眠ることが癖になると、あっという間に裏切られて死んでしまうほど、彼らは圧政を妬みながらも、誰もがその位につきたいと日頃から羨んでいるのです。
厳密にはそれとは違うかもしれませんが、少なくとも、薄刃の者も、その力も、この国を、朕(われ)とともに生きるおほみたからだ、と認めることが出来たのなら・・・こうはならなかったのです。もし、南北朝時代に「天皇は必要ですか?」とアンケートを取ったら、「いりませーん」と答える人が多数となり、歴史は変わってしまっていたかもしれません。皇族の方々も、人の心をお持ちです。繊細で、時に怯えてしまう弱さも当然にあるでしょう。
だからこそ、その弱さを認めた上で、親善と祈りに尽くされる姿に、今尚つづているその尊さに、日本人は・・・いえ、日本のことが大好きな海外の人たちも含めて、感動されるのではないでしょうか。
皇太子様が、父の企てに本気で怒っている姿は、父が敗戦を企てて、その後の占領時代でのしあがろうとしていたのに対し、ソ連に幽閉されて、毒殺されることが決まっていても、決して国への忠義を躊躇わなかった・・・近衛文麿とその息子・近衛文隆の関係を彷彿とさせます。ゾルゲ事件に深く関わっている風見章も同様で、本人とは関わりなく、その子供たちは、何を愛し、何のために生きたいかを見誤らないことも少なくないのでしょう。薄刃の秘密が明かされ、少しずつ自由になっていくにつれ、もちろん争いや、その利権を得ようとする悪意もあるでしょうが・・・少しでも、彼らの幸せを願った皇太子様の想いが、報われ、叶いますようにと祈っています。
つくづく、原作者のあくみさんは歴史に詳しくないとのことですが、見方ひとつで史実の繋がりをこうも奥深く楽しむことができますので、知らずに描いてらっしゃるとしたら、すごいことだなぁと・・・むしろ感心しきりでございます。今回も最高の胸キュンと激アツの殺陣の数々、楽しませていただきました。ありがとうございます。続きを読む投稿日:2024.07.14
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