AIに心は宿るのか(インターナショナル新書)
松原仁(著)
/集英社インターナショナル
作品情報
AIに執筆させた小説が、「星新一賞」の一次審査を通過したことで脚光を浴びた「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」。同プロジェクトを主宰する著者は、「鉄腕アトムのような汎用AIの実現」を目標に掲げ、研究を続けてきた。独創的な物語を紡ぎ、絵を描き、プロ棋士を凌駕する知能すら獲得したAIが、アトムのように「心」を宿し、限りなく人に近い存在として社会へ進出する日は来るのだろうか? 研究の最前線から、AIと人間の未来を予見する。
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商品情報
- 著者
- 松原仁
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社インターナショナル
- 書籍発売日
- 2018.02.12
- Reader Store発売日
- 2018.04.27
- ファイルサイズ
- 1.4MB
- ページ数
- 176ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (10件のレビュー)
-
AIに心は宿るのか。このテーマはAIに興味あるなしに関わらず、誰しも気になるところだろう。著者は、「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」で星新一のショートショート作品全編を分析し、AIに小説を…創作させるという研究によって、創造性とは何か、AIが心を宿すためには何が必要か述べている。AIが心を宿す(人間のような汎用性のある知能を持つ)ためには身体を備えることと結論づけているが、私の感想としては直近AIは人間が創造性を発揮していくための一つのツールになると思う。
著者が引いる研究チームは、第三回日経「星新一賞」にAIに書かせた小説を応募し、人間の応募者の作品と同様に審査され、一次審査を通過した。勿論、人による修正はしていない。タイトルは、
「コンピュータが小説を書く日」で、webに掲載されている。
https://www.fun.ac.jp/...ai/.../617.pdf
この小説を読んだとき、脳から脂汗が出るような感覚を覚えた。「作家ですのよに負けた」。心のどこかでAIは別世界だと思っていたのが、急に強力なライバルが出現して追い越すことができない敗北感を味わった。現段階ではまだ人間が設定やシナリオを与えているらしい。
因みに、小説に出てくる数列は順番に、素数、フィボナッチ数列、ハーシャッド数を表している。
素数・・・一(イチ)とその数自身との外には約数がない正の整数
フィボナッチ数列・・・最初の二項が1で、第三項以降の項がすべて直前の二項の和になっている数列
ハーシャッド数・・・各位の和(数字和)が元の数の約数であるような自然数である。 例えば、195 は各位の和が 1 + 9 + 5 = 15 であり、15 は 195 の約数であるので 195 はハーシャッド数である
(Wikipediaより)
なぜAIは人間が創造性を発揮していくための一つのツールになるかというと、次の場面を読んでそう思った。
「第二期電王戦第一局で佐藤天彦叡王(当時)と対局したポナンザは、佐藤に対し、「3八金」という奇妙な第ー手を指しました。将棋のプロ棋士の第一手は、飛車や角行が早く相手陣地へ進めるよう、それらのコマの通り道を塞いでいる歩兵を動かすのが基本です。よって、3八金はこの10年間の棋譜にはない。玉の守りから外れ、十字に動ける飛車の動きを妨げるのもおかしい。羽生さんは「守りも薄くなるし、飛車の動きも弱めるし、進展性もない」とこの手を解説していました。
しかしこの後、第九手目で、ポナンザは3八金を礎とした「中住まい(居玉より玉が真上にひとつ上がった形の将棋の囲い)」という強固な守りを築きました。それはもはや、人間のいかなる棋士にも着想できない手でした。
コンピュータ将棋は創造的な手を次々と編み出し、人間の棋士を超えているのです。」本文P92
日本創造学会によると、「創造とは、人が異質な情報群を組み合わせ統合して問題を解決し、社会あるいは個人レベルで、新しい価値を生むこと」とある。つまり、棋譜の中での話だが、将棋AIポナンザは過去データから「今までにない組み合わせ」をコンピュータが自ら考え出してしまったところに凄さと可能性を感じてしまったのだ。
ハリウッドでは既にAIを制作に活用しているらしい。「ヒットする映画には◯分に一度笑いかどよめきが起こらなければならない」といった類の法則性を学習したAIを活用して脚本製作に活かしている。
AI将棋が当たり前にあったAIネイティブの藤井聡太氏の活躍を見ていると積極的に創造性の分野でAIを活用するのも悪くないのかもしれない。
身体を備えると心を宿す可能性が出てくることを理解するためにはAIの入門書として松尾豊氏「人工知能は人間を超えるか」を読んでおくと理解が深まるので、ご参考に。続きを読む投稿日:2018.04.02
・参考図書指定科目:「AI(人工知能)入門」
<OPAC>
https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/duW85iM1qXM66Z-e…gC1pTy8SC_d/description.html続きを読む投稿日:2024.04.04
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